私の白馬の王子様
白馬の王子様と聞いて、どんな人を想像しますか?
「私、白馬に乗った王子様を待ってるのかも」
照れ臭そうに笑った友人の言葉を聞いて、私の脳裏を駆け抜けたのは白馬に乗った将軍様だった。ついでにBGMも流れるが、途中から金色の着物を着て、色鮮やかな腰元達を従えてサンバを歌い出した。
違う、違う。
あれはお殿様で、将軍様だ。王子様じゃない。
昨日、一昨日と、祖母と共に見た時代劇が原因かもしれないが、白馬の王子様を改めて思い描くもカボチャパンツで白タイツな王子様しか浮かばない。
私の想像力の貧困さに笑えてくる。
「現れるといいね」
「あ、ちょっと馬鹿にしたでしょ」
「してないしてない。自分の想像力の貧困さに呆れてただけ」
「言っとくけど「白馬の王子様」って比喩だからね。言葉通りに受け止めないでよ」
良かった。
相変わらず私の脳内では白馬の将軍とタンデムする友人の図しか浮かばない。
カムバック想像力。
いや、元から無かったわ。カムバックする物が無かったわ。
「あーあ、なんでもいいから彼氏ほしー」
「王子様な彼氏でしょ」
「それな、マジな、ガチな」
「うっぜっ。いいじゃん、彼氏とかめんど」
「えー、見た目カッコよくて優しい彼氏とか自慢じゃん。『デートしました』って上げてさ、イイネたくさんもらうの」
またしても馬上で将軍と自撮りする友人の姿が思い浮かぶ。
青空の背景には遠くに江戸城が見える。
映えてんじゃん。
いや、違うってば。
……将軍様とタンデムするなら腰元姿か町娘じゃないとダメじゃない?
そう思ったけど、痛んだ金髪にカラコン常備している友人の着物姿なんて想像できない。
カムバック想像力。……いや、無かったわ。
湧け想像力。いや、生えろ?
まぁ、いいや。
「撮ったらイイネしてあげるわ」
「やった。絶対ね」
その前に白馬な彼氏を‥‥違った、白馬に乗った彼氏を見つけなきゃいけないけどね。
私の乏しい想像力を遥かに超える写真を全力で期待している。