境界線『ラグナロク』
「僕たちの空はもう青くないね」…と。
君が言う。
僕らと同じ。
積み重ねられたスクラップ。
鉄くずの塊…残骸。
色を無くしたまま歩く君。
いつしか見えていた景色さえ色褪せて。
煙の中…消える『モノクローム』。
誰しもが『太陽』の『光』求める『境界線』。
『命』がけの『境界線』。
誰しもが見たこともない『夢』を求める。
かつての『青い空』と…。『青い海』。
これから生まれて来る『子ども』たちに『課せられた』『宿命』。
『瓦礫』の中で『転がる』『運命』。
『絵空事』でしかない『革命』。
ひどく痩せ細る『人命』。
積み上げられた『命』。
『スクラップ』の上。
『残骸』。
僕らはその『天辺』で『灰色の空』を見上げてる。
もう青くない…『空』。
『冬空』は、とても『僕ら』に『近い』。
『願い』より『使命』。
求められるのは、『人形』のような『僕等』。
積み上げられた『残骸』の中から、『君』を拾う。
かつて『君』だったもの…。から『翼』を作る。
一緒に願った『青い空』が見たくて。
一緒に戦った『境界線』飛び越えたくて。
『君』と『僕』とが混ざりあった…。いつかの『時間』。
『黒い翼』と呼ばれる『黒い機体』。
『操縦席』の二人の『視界』が『天地』『上下』『逆さま』に『回転』して混ざり合う。
『灰色の空』…と。『灰色の海』。
いつか君と見た『境界線』を見上げる。
君と信じた『青い空』目指して。
『高度計』の遥か『彼方』を…。振り切って。
尚も『銃弾』と『砲撃』を『搔い潜る』。
目の前に現れる『人形』たち『飛来』する『空』。
『灰色』の『群像』。
『シェイクスピア』にも似た『魂』の『終末劇』。
『ワレ。カミノ。イシニ。ソムクモノナリ。』
姿見せぬ『主』の『天雷』の『極光』に抗う。
『制御装置…作動。【防御展開領域】開始します…。』
いつかの『操縦席』にいた『君』の『声』が響く…。
【黒い翼】。【黒い機体】。
【君】。
いつかの『君』と『操縦席』の『僕』が、『脳神経』と『電子回路』で『結ばれる』。
君の本当の名は…。
…。
『暗証…承認』。『制御装置…解除』。
『標的』の『全殲滅』…。
灰色に塗りつぶされた『空』を白に透けた『青色』の『空』に変える。
虚ろな『魂』の『容れ物』…。『人形』たち。
僕の知らない『誰か』…。
『神』より送られた『人類』の『殲滅』の『使者』か。
それとも、いつか…。すれ違った『誰か』…なのか。
分からない…。『誰』と戦っているのかさえ…。
守りたかった【君】。【黒い機体】…。【君】。
ただ、誰もが、見たかった『青い空』と『青い海』。
それだけは、間違いない…。
神様さえも、取り戻したくて…。
僕らだって…。取り戻したくて…。
何よりも…『君』。を…。取り戻したくて…。
…。
『基地』に戻り…。苦味の過ぎた…。『珈琲』を飲む。
いつか…の、『君』が淹れた…。『珈琲』…。
かつての『青い空』と…。『青い海』。
『鳥』舞う『空』に…。君が見える…。
「僕たちの空はどこまでも青いんだね」…と。