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母
「ゆう、ちょっときてー」
その日の夜、もう夕食も食べ、風呂も入り終え、あとは寝るだけというときに、一階のリビングにいる母から呼び出された。
まずい…母がこういう時は必ず何かある。
おそるおそるリビングに入ると、やはり不機嫌そうな母の姿があった。
「ねえ、もうすぐ三者面談があるでしょ?お母さん、まだ手紙もらってないんだけど」
やっぱりそのことか…
「ごめん、渡し忘れてた」
そう言って、三者面談のお知らせのプリントを渡した。
「今日、担任の先生から電話があったのよ。
ほら、やっぱり提出期限一昨日じゃない。」
「ごめん…」
部屋に戻った僕は、そのままベッドへと潜った。
「三者面談か…嫌だな」
あの手紙は忘れてなんかなかった。
むしろ、ここ最近はあれのことで頭がいっぱいだったぐらいだ。
それでなくなるようなものでもないし、何か変わるわけでもないが、三者面談が嫌すぎて渡したくなかっただけ。
次話、今夜23時投稿