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修業

 トーラー達は右に進んでいった。俺達の課題がスペースを使うからその配慮、もしくは二人もスペースを使うから移動したのかもしれない。


「主様、後ろ向いてください」

「あ、うん」


 白露が消えた。······難易度爆上がりじゃないですか。俺だけかんたんなのかな?と思ったらそういう事なのね······。


「では、始めます」

「うん」

「ごっはぁぁぁぁぁぁぁ」


 空気の流れを感じ、れないっ!やばいこの悲鳴のせいで白露の邪魔になってない。

 耳栓でもしてるのかな?魔力の反応と空気の流れを意識しようとしてみる。

 ッ!?空気中の魔力の反応と白露の魔力の反応が区別できない!


「あぎっ」


 連打ッ!!早い!そして強烈なアッパーを喰らって打ち上げられた。

 上空なら分かるかもしれない······。上がってきている!


「ごふぅっ!」


 登ってきたのは分かっても殴る軌道が分からずに俺は為す術もなく撃ち落とされてしまった。

 魔力の反応を見分ける事に集中しよう。時間は沢山有るんだ。

 細かい挙動は分からなくても、位置が分かれば対策のしようがあるはずだ!


「ごへらぁぁぁ!!」


 連打が、緩くなってきている······。白露のスタミナが無くなってきたのか!

 それでも魔力の反応も空気の流れも掴めないけど。


「うごぉぁぁぁっ!」


 俺は物凄い勢いで飛ばされた。体の傷は治っている。これは逃げろという事だろうか?

 白露は多分スタミナを付けるための修行をしてるはずだ。

 これなら俺のスタミナも付いて一石二鳥って訳か?わ〜い、要らないサービスだ〜。

 俺の顔の真横を矢が通り過ぎた。なるほど、俺の訓練も兼ねてるわけね?

 一石三鳥というわけか。サービス精神旺盛だな畜生!


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ······ひっ」

「ぜーはー、ぜーはー、ぜーはー·····」


 後ろから白露の声だけが聞こえて、凄い不気味だ。後ろからの物なら何となく察知できるy


「うごっ!はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」


 追いつかれたら大変な事になるのは目に見えているので矢が刺さっても走り続けた。慢心はいけない。空気の流れに集中するんだ。


「ぜひゅー、ぜひゅー、ぜひゅー······」


 白露がその場で崩れ落ちて、必死に呼吸をした。俺が同じく崩れ落ちると、上から何かが落ちてきた。


「お、重い······」


 なるほどこれで腕の筋肉も付けようと言うわけですね。ホントに特大サービスだなこのやろう!!

 しばらく時間が経つと白露が体力を取り戻した。

 それと同時に上に乗っていた重りも消えた。修行の再開だ······。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 何日、経っただろうか?一日も経っていないかもしれない、はたまた何年も続けていたのかもしれない。

 ここには時計も日数カウンターもないから把握のしようが無いけど······。


「ごふぅぅぅ!!」


 相変わらず俺は白露に殴られ続けているが、魔力の反応で大体の位置は分かるようになっていた。

 それに加えて今では目を閉じていても魔力の反応で大体の地形の把握すらできるようになった。


「ッ!!」

「うぎっ!」


 ごくたまにではあるがこんな風に白露の攻撃を避けることが出来るようにもなった。 

 ······まぁ、即座にそのまま攻撃されるから結局殴られるんだけど。


「うがぁっ!」


 白露のラッシュの時間が段々長くなっている気がする。スタミナが付いてきている証拠だ。


「ぎゅふぅっ!」

「はぁー、はぁー、はぁー、はぁー······」

「ごっはぁぁぁぁぁぁぁ!」


 殴り飛ばされた。またアレか·····。最近はこの最初の矢を叩き落とせるようになった。だから何だという話ではあるけど。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ······うっ」


 最近白露の命中精度が高くなった気がする。そのせいか体が痛みに慣れてきてしまった。いいのか悪いのか全くわからんけど。



「ぜーはー、ぜーはー······」

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、くっ!」


 白露が追いついてきた。最近ちょっと早くなった気はする。気がするだけですぐに追い付かれるから。実際はどうなのか分からないけど。


「ぜひゅー、ぜひゅー、ぜひゅー、ぜひゅー······」

「うぐっ」


 最近この重りが重くなった。厚みが増してるし。筋肉の成長はすぐ可視化されて嬉しい。地獄の様な筋肉痛だったけど······。

 白露とは最近話していない。仲が悪くなったとかではなく呼吸だけで精一杯なのだ。もう再開か······。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 物凄い時間が経った気がする。一年は確実に経った。なんで分かるのかって?勘だよ勘!!

 これだけ時間をかけたお陰か空気の流れという物が何となく掴めてきた。


「っ!!」


 今までは2回に一回は白露の攻撃を回避できるようになった。それに、連打もかわせるようになった。


「うぎっ!」


 白露の攻撃にもキレが出てきてる気がする。それにフェイントが多用されるようになってきた。


「そろそろ、使いますよ」

「分かった」


 モーニングスターが解禁されたみたいだ。白露の声を久しぶりに聞いて凄いやる気が出た。


「シィッ!」

「ぐふっ」


 やはり武器と素手では空気の流れが全然流れが違う。避け方も難しい······。長丁場になりそうだ。


「ごべらっ!」


 そろそろ走るのか······。アミノハバキリ!?叩き落とせる。けど、そんなことしてる余裕はない。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、うっ」

「はぁー、はぁー、はぁー······」


 早くなっている······!!体力が増えたから全力疾走出来るようになってるんだ······。捕まってたまるか!!


「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ」

「はぁー、はぁー、はぁー······」


 俺達は崩れ落ちた。二人共全力で走ったからだ。お、重い·······。この前までとは格が違う·······。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 長い長い時間が過ぎた。俺は空気の流れから白露のモーニングスターの軌道を読んで、叩き落とせるまでに成長していた。


「シィッ!!」

「ぐっ!」


 白露もそれを分かっていて弾かれた後に鎖で巻き取って俺を引き寄せ、肉弾戦に持ち込んでくる。


「シッ!」

「ごふぅっ!」


 しかし、肉弾戦での回避率はそこまで上がっていなかった。空気の流れとは全く違う方向に拳が飛んでくるからだ。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、っ!!」


 アミノハバキリを確実に当てられるようになってしまった。さらに、最近は鎖も使うようになってきてより避けるのが大変になってきた。

 大分痛みに慣れてきて、最近はぶつけた程度にしか感じなくなっていた。いい兆候だと信じたい。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ·····」

「ぜぇー、ぜぇー、ぜぇー······」


 ただ無心で走り続ける。たまに当たらずに掠るアミノハバキリを叩き落としてながら体力が許す限り走り続け、そして死んだように倒れ込む。


「ぐぐぐ······」

「ぜひゅー、ぜひゅー·····ケホッケホッ」


 この重りも初めと比べると大分重くなった······。今なら山だって持ち上げられる、そんな気がする。


『Congratulations!!』

「終わったんですか······?」


 ポケットを確認してみると課題クリア!!と書かれた紙が入っていた。終わった······。よっしゃぁあぁぁぁぁぁぁあ!!


「終わったみたいだよ」

「しゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!やりましたよ!!」

「長かった······凄い長かった!!でもこれで修行とはおさらばだ!!」


 俺は白露と抱き合ってしばらく喜びにむせび泣いていた。不意に胸を押し付けてきた。

 さらに、首に手を回してこちらを色っぽい表情でこちらをじっとみつめている。


「主様······。私は今まで我慢してきました。しかし、もうやるべき事もありません。だから百回くらい、いいですよね?大丈夫、百回くらいで修行の効果は切れませんよ」

「わ、分かった」

〜〜〜〜〜脳内補完してください〜〜〜〜〜

休憩なんてあるわけないじゃないですか

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