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強引すぎる?知らないね

ヤンデレシーンありヤンデレシーンあり

 白露には毎回助けられてばっかりだ。今回もそう。いつも任せっきりで本当に申し訳無い。

(主様、何度も言ったと思いますが私は好きでやってるんです)

 そう?それなら良いんだけど······。そういえばどうして白露はこんなに俺を大事にしてくれてるんだろう?

 ······こうやって思考に出てくる事自体が目的だったりするのかな?

 もしかして俺が何もできないように依存させてるのかな?······まさかね。


「敵襲!数は二人です!」


 斥候が俺達の存在を全体に伝えているが全く問題無い。それどころかうまく行き過ぎて怖い。

 白露が三人張りくらいはありそうな糸の弓を出して、槍並の矢をつがえる。俺は聖剣に魔力を限界まで乗せて、そして振るう。


「グランドッ!」

「クロスッ!」


 斜め十字に兵士や装甲車が極光の中に溶けてなくなっていく。ここまで損耗させれば撤退してくれると期待したい。


「狼狽えるな!!相手は二人だ!これだけの火力そうそう連発は出来ないはずだ!全軍ッ!突撃!!」

「ここはボク達に任せて、優雅にティータイムでもしていてくれ」

「範囲殲滅はそんなに得意じゃないだろ?」

「そうでもないさ。ほらね?」


 トーラーが指を鳴らした瞬間、さっき死んでいった兵士達が蘇り、同士討ちを始めた。改めて見るとエグい。


「フェイタル・エクス、プロージョンッ!!」


 いつものエクスカリバーじゃ、ない!?まひが言葉を発した瞬間、敵兵を同心円状に爆風が包み込んだ。


「あ·····悪魔だ!!」

「やってられるか!逃げろ!!」

「うわぁぁああぁぁぁあ!!」


 兵士達が撤退を始めた。いや、そんな言葉ではこの光景は形容出来無い。きっとこれが敗走と言うやつなのだろう。


「主様」

「どうしたn······」


 後ろを振り返ると何百人という魔人が涙を流していた。き、気付かなかった。その中から一際存在感を放つ女性がこちらへと歩いてきた。


「これは·····あなた方が」

「そうですが」

「ありがとう、ございますっ!!」


 白露の言葉を聞いた途端にその女性は泣き出してしまった。何か悪いことをしてちゃったのかな······。


「私ではあの大軍勢に手出しする事が出来なかった」

「何故です?あなた程の強さなら一捻りでしょう?」

「とある呪いによって枷が掛けられているのです」

「誰がそんな呪いを······」

「教会です。父の死の間際、教皇に人間を攻撃できないという枷を嵌められてしまいました」


 教会がそんな枷を······?教会はよっぽどの事が無ければ()()()()直接関与することは無いはず。


「私の父は初代勇者と相打ちになり、死にました」

「ま、まさか······」

「主様······?」

「あなたは······、もしやルミn」

「父の知り合いですか?」


 こんなところでかつて主従だった二人の子孫が会うなんて······。世間は狭いと言うがその通りすぎる。


「独孤家第5代、独孤奏多」

「主様!?」

「な、何が!?」

「なるほど、そういう事か」


 気が付くと俺は跪いて名乗っていた。周りがかなり驚いているが、それすら耳に入らなかった。


「おい主!!なに私以外の女に跪いてるんだよ?私以外いらないって言ったよな?主は私の物だってちゃんと分かってないみたいだな?」

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。ごめんなさい!!説明するから!耳がぁぁぁあぁぁぁああぁ!!」


 耳千切られたぁぁぁああぁぁぁ!!白露ごめんなさい!!見捨てられたら生きていけない!もう見向きもしないから許してぇぇええぇぇぇえ!!

(ならば許そう。今度やったら·····分かるな?)

 はい!もうしません!白露以外はもう見ません!!


「よしよし、痛かったですね······。いい子いい子。大好き(ボソッ)」


(今目の前に居る女があなたの何をしっているでしょうか?何も知りません。あなたが今までどれだけ頑張ってきたのか、何度それが踏みにじられてきたか······。私だけは知ってます。今まで私以外のからを信頼して良いことがありましたか?無かったでしょう?だから、私だけを信じてください)

 あの二人は······

(確かにあの二人はあなたに害意を持っていないかもしれません。でも、あなたとずっと関われる訳じゃありません。いつか、あなたをおざなりにする時が来るかもしれません。でも私は違います。私はずーっとあなたの事を一番に考えています。それが出来るのは私だけです。何にも不安に思うことはありません。あなたの悲しみも不安も悩みも全部全部なんとかしますから。寂しい思いも絶対にさせません。だから私を·······)

 う、うん。あの人は先祖のやり残したけじめそのものだから、きっちり精算を······

(······取り繕うのはもうやめです。不安なんです。あなたが他の誰かに意識を向けているのを見るのは嫌なんです!あなたはかっこいいし優しいから!放っておいたら私の元から離れていきそうで不安で不安で仕方無いんです。あの二人と話してるときもそうです。あの二人と親しげに話しているのを見るだけであなたがどこかに行ってしまう気がして、どうしようもない不安に駆られるんです!私は······怖い。目を離したらどこかに行きそうで怖いんですよ!!)

 ······ごめん。そんなに不安にさせて、ごめん。頑張るから······。

(っ!!謝るのは、私なのに······!!どうしようもなく自分勝手な私の愛情のせいで······!!)

 それは違う。あの時、遅かれ早かれこうなる事は分かってた。でも、それでも白露を選んだのは自分の意志だから。状況が選ばせたんじゃない。

 俺が、自分の意志で!白露を選んだから!白露が自分を責める必要なんか無い。何度白露の愛情に何度救われてきたか······。分かるでしょ?

(でもっ!それは状況が!!)

 違うよ。既成事実があるからとか、白露を選ぶのが楽だったからとかそんな理由で選んでなんか無い。

 それに、あそこで白露を選ばない事だって出来た。でも、俺はやらなかったんだ。やれなかったんじゃない。

(そんな事は······あれは私が状況を利用し)

 白露、あの状況程度で面倒くさい女を選ぶわけないでしょ?あの状況で攻めてくる女がまともじゃないなんてのは俺にだって分かる。俺達二人は相思相愛、これでこの話はおしまい!

(ぬ、主様······)


「私の夫の先祖がお世話になりました。私は奏多の妻、白露です」

「なるほど······。頼みっきりで悪いのですが、この後我々の都を取り戻す手伝いをしていただけませんか?」

「分かりました。やりましょう」

心の声でヤンデレるのは業界初ではないでしょうか。え?白露の沸点が分からない?don't think feel!!

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