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対勇者パーティー(第二形態)中編

「ぐはぁっ!」

「〆糸!」


 白露が糸で勇者を締め上げる、しかし、勇者はその糸を引きちぎった。

 ただでは転ぶつもりはないっ!くらえっ!


「混沌時烈衝!」

「ヒールッ、ブロォォォォオォォォオオオオ!!」


 かっこよく叫んだはいいけど俺のやっていることはただの煙幕。目眩まし程度のこうかしかない。でも、それでいい。後は白露がやってくれる。


「ごべぇっ!」


 勇者が家屋に向かってふっ飛んで行った。白露はそのまま七葉へと向き合うと、おもむろに指を鳴らした。


「がァぁぁぁああァぁぁぁアあ!!」

「今、勇者の細胞が異様な増殖をしています。私がやりました。意味、分かりますよね?」


 七葉が白露に刺突をしかける、が、白露の糸に阻まれて刺すことはできなかった。そして、俺は背後から七葉を切りつけた。


「いつっ──」

「Erzwungener Aufstieg」


 俺が剣を振るったのと同時に切られた空間が爆発した。そして、俺はそこから半歩後ろに下がった。


「流太刀!」

「同じ手が通用」

「するわけ無いのはわかってるんだよ」

「っ!!何をっ!?」


 白露が七葉に斜め上から飛びかかった。七葉は俺の流太刀を攻略するために変な姿勢になっていたためまともに白露の攻撃を喰らった。


「ごふっ!!」

「まさか、致命傷を避けるとは」

「私はっ、あなた達にはっ、絶対に負けないっ!」


 七葉が俺に超高速で剣を振るう。全方向からの攻撃に、俺はじわじわと体を削られていく。白露が七葉に周りに張った糸を伝って飛びかかってはいるが全て的確に弾かれている。


「私の能力で剣で切られた箇所は今後修復不可能このままいけば出血多量で私の勝ちだっ!」

「くっ!」


 悔しいがその通りだ。避けようにも今の七葉には剣術では勝てない。くそっ、このままじゃジリ貧。覚悟、決めるしか無いっ!



「勝った!」

「いいや、お前の敗けだ」

「何を······」

「傷口をよく見ろ」


 七葉の剣は俺の胸を貫いてはいなかった。絶対障壁を突き破りはしたが、白露の糸製の服と俺の左上腕に阻まれていた。


「その血は左手のだよ」

「だからって······はっ!!」

「そう、この瞬間、この瞬間だよ。俺の覚悟の勝ち、だよ?」

「抜け、ないっ!まさかっ!」


 筋肉に力を入れれば蚊は針を抜けない。それと同じことだ。左上腕、犠牲がそれだけで済むなら安いものだ。でも、まだ油断は出来ない。


「塵も残さず消え去れっ!シャルル!!」

「最後の賭けといこうか?」

「いやーーーーーーーーっ!やだっ、死ぬっ、死にたくないっ、死ぬものかっ!」


 頼むぞ障壁、お前だけが頼りなんだから。そしてしばらく後、辺り一面を半球状の爆発が覆った。


「勝った?」

「勝ちましたよ。主様。完全、勝利、です」

「そう泣かないでよ、ちゃんと生きてるんだから」

「でもっ!でもっ!」

「あそこはああするしか無かった。むしろちゃんとやってくれた白露には感謝しかないよ」


 白露がボロボロの布切れみたいになっていた俺を元の人間に戻してくれて、そして肩を支えて立たせてくれた。白露の柔らかいはずの体の感覚がない。


「そっちも、終わった?」

「あぁ、そちらも怪我が無くて、とはいかないが無事で何よりだ」

「危ないっ!」


 急におれをちくっとした感覚が襲う。もう蚊の季節か。早いな。皆の声が聞こえない。どうして·······?不思議に思って辺りを見わたすと······

──俺の胸から剣が生えていた。


~~~~~sideトーラー少し前~~~~~~

「くっ!弾幕が多すぎるっ!」

「ふふふふっ、あはははははっ!」

「グランドクロス!」

「ふあっ?」


 まひが一人でグランドクロスを放った。本来二人でやるものなのに、さすがはまひ。末恐ろしい学習能力と応用力だ。


「そこの女は任せたよ!」

「善処する!」


 さて、この弾幕女をさっさと片付けるか。しかし、魔力切れしなさすぎやしないかい?先程からずっと電撃を避けっぱなしなのだが。


「千客万雷!」


 軌道が予測できる。どこに動けば最短であの女に剣を埋められるのか分かる。体が壁を走っている。そして、太陽と重なりつつ刺突。


「獄焔!」

「シッ─」


 このくらいなら大丈夫と、体が言っている。ボクはそのまま炎ごと弾幕女を切り裂いた。


「ぎゃぁぁあぁぁぁああぁぁぁぁぁああ!!」


 そして、弾幕女をそのまま組敷いて脳組織をぐちゃぐちゃにかき回して、肉を引きちぎる。これでも足りない。まだ心臓が動いてる。油断は出来ない。


「ふんっ!でりゃあ!」

「ぁぐ······ぉっ······」


 サクッ、サクッ、サクッ、サクッという小気味良い音が響く。まひは······終わって、いない!


「くつ、どうなってるんだ!削っても削ってもまるで効果がないっ!」

「ふふふふふふっ、あーっはっはっはっはっはっ!ふふふふっ!ひひひひひひっ!」

「ぢゃゃゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「?ふひひひひひっ!あーっはっはっはっはっはっ!ふふふふっ!ふひひひひひひっ!」


 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。これが痛み。初めての経験だ。だが、もう二度としたくはないな。 剣が、刺さったままだ。脳天にぶちこんだはずなのにどうして生きてるんだ······。


「ふぅ──────。治れ」

「なっ!」


 どうして、弾幕女がなおってるんだ······。生命の回復なんて、未だに誰にも到達できていないはz


「倒れないなら、こうするまでだ!凍れぇぇぇえええええ!!絶対零度!」

「不味いっ!」


 ボクはまひから超高速で離れた。この技はダメだ。まひの体は三秒ももたない!


「あ、がっ」

「ありえなっ」


 ──ここに、二体の氷像が完成した。ボクは倒れているまひに急いで近寄った。くっ、やっぱり臓器がめちゃくちゃだ。でも、治せなくは、無い。


「かっ、たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「終わったみたいだね」

「あぁ、疲れたが、あっちも大変だろうから早く行こう」

「そうしようか」


 ボク達は二人のもとへ向かった。かなり疲弊はしているみたいだけど勝っていたようだ。それは上々。


「そっちも、終わった?」

「あぁ、そちらも怪我が無くて、とはいかないが無事で何よりだ」


 良かっ·······不味いっ!

勇者強いでしょ?

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