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勝て······

長めにしました

「最優秀賞三年六組⋅⋅⋅⋅⋅⋅」


 俺達のクラスじゃ、無かった。自然と涙がこぼれてくる。白露は唇を噛みしめ、トーラーは拳を血が出るほど握りしめ、まひは静かに上を向いて涙をこぼしていた。

 それからの事はよく覚えていない。帰りのホームの後、家に帰ったのまでは覚えているが何を話したのかも、どうやって帰ってきたのかすらもわからなかった。

 ──それからおよそ8カ月がたった。

桐花祭が終わった後一ヶ月はかなりブルーな気分が続いたがそれからはいつも通りだった。それまでは頻繁に来ていた刺客もピタッと止まって少し不気味なくらい平和だった。今は何をしてるのかって?そりゃ⋅⋅⋅⋅⋅⋅


「主様、入学式は終わりましたよ」

「あぁ、ごめん。ちょっと昔を思い出してたんだ」

「君達は相変わらず仲良さそうだね」

「そちらは仲良くないんですか?」

「もちろん熱々さ」


 そう、今俺達は松葉高校の入学式を終えた所だ。え?まひはどうしたのかって?もちろん⋅⋅⋅⋅⋅⋅


「俺を忘れないで?まるで落ちたみたいじゃないか?」

「ごめんごめん」

「これから甘々なラブコメのような日々が始まるんですね⋅⋅⋅⋅⋅⋅。楽しみです!」

「話題ぶったぎらないで!?」


 白露がまひをからかいながら自分の願望を述べるという高等テクニックを駆使した。憧れるほどではないけど痺れる。

 どうして喋ってて平気なんだよ!!という天からの声が聞こえてくる。ふっふっふっ、お忘れか?我々には無音結界があるのだよ。

(入学早々メタいです。主様)

 白露にツッコまれてしまった。だがしかし、これは辞められない。こういうメタ発言風脳内アナウンスめちゃくちゃ楽しいしね。しょうがない。その後、俺達は教室に行き名前も知らぬ先生から書類をもらって家に帰った。

 電車内にて


「うーん、やっぱり電車は慣れないですね」

「白露はいつもこれ以上のスピード体感してない?」

「それは違うぞ。この間空を飛んだんだが、ジェットコースターとは感覚がまた違ったからな」

「空を飛んだ!?」

「奏多くん、そこは突っ込んではいけないよ」


 トーラーが珍しく突っ込んだ。新鮮、新鮮だけども、それよりまひが空を飛んだっていう方が気になる。


「まさか、タナカさんと同じ感覚を味わっていたとは⋅⋅⋅⋅⋅⋅!!」

「なんでなんか残念そうなの!?」


 まひがいつも通り不遇ポジに居ることに安心感を感じていると、俺達の最寄り駅⋅⋅⋅⋅⋅⋅二俣川駅に着いた。ちなみに高校の最寄り駅はいずみ野だ。未だに田舎の見た目を保ってるけど駅周辺はめちゃくちゃ発展してる。

 まぁ、勇者排出してる高校に通いたい思ってる陽キャ学生がたくさん来たからね。儲かるんでしょうね。


「しかし、文明の発達というのは目まぐるしい物だね。昔、この日本は隣国に技術面で負けていたらしいじゃないか。それが今や世界が憧れる先進国さ」

「まぁ、異世界の技術を受け入れる下地が他より有ったからね」

「あぁ~、なるほど。確かにそうだね」


 トーラーが俺達の方を向いてニヤニヤしながら言ってきた。うんまぁ、最たる例だから仕方無いけどちょっとニヤニヤはイラつく。


『次は~、二俣川~、二俣川~です。お隣の海老名線、横浜線へはお乗り換えです』

「おや、着いたみたいだね」

「降りよっか」


 俺達は電車から降りてもうピヨピヨとならなくなったICカードで改札を通り、駅前の西口を通り過ぎ、そのまま南本宿公園に抜ける道に向かった。


「日陰だから多少日差しが防げるかと思ったけどそうでもないね」

「まぁ、今は花が散って少したったくらいですからね」

「くっ、暑い。なぜこう毎年日本の夏は暑いのだ!!」


 俺達がリーマンがよくやるワイシャツバフバフをしていると、トーラーが玉のような汗をだらだらだらだらだらだら流しながらそう言った。トーラーが暑さに弱いなんて初耳というか初目視なんだけど。


「トーラーさん、いつもならそこまで暑がってませんよね?」

「今年はハンドクーラーが壊れたんだ」

「うん、ハンドクーラーの性能がクソ高いのは分かる」

「ん?なん⋅⋅⋅⋅⋅⋅い⋅⋅⋅⋅⋅⋅が」

「主様!!」


 白露がマッハで、比喩とかじゃなくマジのマッハでこちらに近付き、回復魔法をかけてきた。そのお陰もあってか少し呼吸が楽になった。

(主様!一体何かあったんですか!?)

 白露が久しぶりに念波を飛ばしてきた。なんか急に息が苦しくなったんだよ。十中八九、刺客の攻撃だと思う。

(くっ、常時リジェネ状態では気づけなかった!待っててください!今極大魔法を!!)

 白露、待って。相手がまだ攻撃を仕掛けてきている以上今MPを消費されるとポックリ死んじゃう。


「ぞぉい!」

「え、何!?」


 まひがトーラーに飛ばされた。そして何故かトーラーがミカサ並の物凄い体さばきで舞っている。


「トーラーさん、何を⋅⋅⋅⋅⋅⋅?」

「恐らくボクの異能が毒を全自動で避けているんだ!」

「なら、異能使いを叩いてください!お願いします!!私は主様に手一杯なんです」

「わかった」


~~~~~~~~~sideトーラー~~~~~~~

 さて、白露君のお願いを簡単に引き受けてしまったが、そう簡単にはいかなさそうだ。ボクの能力は自分の周囲を完全に知覚し、体が自動で反応するという物だ。

 だから、あまり頼りすぎると知恵熱が出てしまう。持って後10分といったところだ。

 範囲を広げる訳にもいかない。ならばッ!


「行けッ!Dethknight!!」


 ボクはDethknight達を円状に空に繰り出した。

ボクの完成させたかわいいかわいいDethknight達がどんどん毒に侵されていく。クソッ!辛いが仕方無い。だが!このお陰で場所が分かった。そこだね?


 ゴスッ!


「はっ、なるほど、空高くに生体を放ち、毒の侵食の早い場所に向かいナイフを投げた。中々の手前だが、甘いな」

「ふくくく、くくくくくくくく⋅⋅⋅⋅⋅⋅」

「何を笑っている?」

「ボクがわざと失敗すればこうやって相手が攻撃してくるかと思ったらその通りすぎて可笑しくてね」


 ヒューーーーーーーーーーーーン、ゴスッ!!

ふむ、時間通りさすがボクが調整しただけはある。


「ふっ、投げたナイフが戻ってきてゴスッ!とやるからね。プロの癖にずさん⋅⋅⋅⋅⋅⋅いや、プロだからこそ止めを刺しに来たのか。まぁ、どちらにしよ、プロ根性が仇になったね」


 ボクは今殺した奴をゾンビにして仲間の元に向かわせた。ふっ、これで毒のやつはなんとかなった。


「ぐふっ!!はぁ⋅⋅⋅⋅⋅⋅はぁ⋅⋅⋅⋅⋅⋅はぁ⋅⋅⋅⋅⋅⋅。早く傷を直しに行かなくては⋅⋅⋅⋅⋅⋅」

 スカッ!


 ナイフをボクの体が避けていた。これが表す事実は一つ。まさか、急ごしらえとはいえボクのゾンビだぞ⋅⋅⋅⋅⋅⋅?


「な、なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

「ぐふぅ、くくく、お前の覚悟に、俺は、勝った⋅⋅⋅⋅⋅⋅」


 そこには全身ボロボロになり、足を引き摺りながらも目を執念でギラつかせた男が居た。そうか、なら仕方無い⋅⋅⋅⋅⋅⋅。


「叡知の隠した爪撃(Die verborgenen Krallen der Weisheit)」

「ハードポイズニング!!」

 勝った。だが、ナイフの傷からの出血が割と不味い、もうそろそろ回復しなくては⋅⋅⋅⋅⋅⋅。今頃になって副作用が⋅⋅⋅⋅⋅⋅。

次も三日後です!

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