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命名

皆さん、こんばんは!作者です。ようやくヒロインが登場しました!長かった。

「白い、蜘蛛⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅?」


 極光が収まった後そこにいたのは子犬くらいのサイズの白い蜘蛛だった。知性を感じさせる金色の八つの目に、蜘蛛特有の流線型のフォルム、極めつけには極上のシルクのような光沢を放つ全身に生えた白い毛。こ、これは、かわいい。

 そして彼、いや彼女か。彼女は右前足をシュピッ!と上げた。

ちょっと待て、今なんで僕は“彼女”だと分かったんだ?蜘蛛の性別の見分け方なんか知らないのに。

 あ、やべ!早く何か返事しないとファーストコンタクトに失敗してまう!あ、名前!!名前を決めよう!


「⋅⋅⋅⋅⋅⋅白露(はくろ)、これがいい。これが馴染む。今日からお前は白露だ!分かった?」


 シュピッ!っと同意するかのように足を上げた。喜んでくれてると良いなぁ。いやでも、白露が偶々(たまたま)足を上げただけかもしれないし。


『わかりました!主様(ぬしさま)!!』


 なんか聞こえるな~、幻聴かな?うん、幻聴だね。さて能力はどんな感じかな~。


『主様~、無視しないでくださいよ~』

「幻聴じゃなかった!?」


 さっきから普通に話してたけど何でこんなことが分かるんだ?そうか!魔物語ってこういうことか!!魔物の言葉が分かるって、本当に魔物使いになるために生まれたみたいなものじゃん。


「よろしく、白露!」

『こちらこそ!』


 僕が白露とハイタッチした後、白露を持ち上げた。くっ、もふもふだ!なんだこれ、いつまでもさわりたい!

 頭の上に乗せて安定する位置を探していると厳つい男の人が話しかけてきた。


「次が迫ってるから、早く出てくれないか?」


 恥っずかしぃぃぃぃいーーーーーー!!

 何これはずかしっ!早く行こ。僕がそそくさと立ち去っていると、なぜだか他の皆の冷ややかな笑みが突き刺さる。何でだろう。白露の総合評価は450近くあるから、馬鹿にされるはず無いんだけど、やっぱりさっきの行動なの!?そして僕はお父さんお母さんの元に帰った。


「あ、おーい!」


 僕はしばらく晴れ晴れとした青空の下で伸びをした後、声を上げた。すると、父さんと母さんが駆け寄ってきた。


「さっき従魔と契約したんだー!」

「へぇ、そうなの!名前は決めた?」

「うん!白露っていうんだ」


 一瞬、本当に一瞬だけだけど、父さんと母さんの顔に驚きが浮かんだ。何でだろ?別に白露なんて名前珍しい訳でも無いのに。

 二人の驚いた表情がいつも通りにもどった。


「白露か、良い名前だな。どれくらい考えたんだ?」

「なんか頭に浮かんで来たんだよねー」


 父さんが白露の名前の由来を聞いてきた。得意気に教えてあげると、再び父さんと母さんの顔に驚きが浮かんだ。が今度はすぐに消えた。


「そうか、しっかり大事にするんだぞ。従魔は一生のパートナーだからな」


 父さんが実感のこもった感じで言ってきた。うん、だって母さんも父さんの従魔だったもんね。


「言われなくてもするよ」


 その後、僕たちは家に帰った。でも、皆からのブリザード並の冷ややかな笑みは止まらなかった。まじで

 帰宅後、白露が急に狩りに行きたいと言い出した。


「白露、ホントに行くの?大丈夫?帰ってくる?」

『主様は心配性ですね。大丈夫です。必ず帰ってきます!だから楽しみに待っててください!』


 白露は言うが早いか窓の外へと出て狩りに出掛けていった。大丈夫かな?蜘蛛ってこんなにアクティブな狩り苦手のはずなんだけど。(アシダカさんは別です)


「どうした?奏多、こんなところで」

「白露の狩りを見送ってたんだよ」

「へぇ、そうなのか。まぁ、白露なら帰ってくるさ」


 父さんが言ったら間違えないだろう。え?何でかって?父さんは今まで勘だけで生きてきた人種だからね。父さんが雨が降るって言ったら必ず雨が降る。それくらい勘が鋭い。


「なんか、失礼なこと考えられた気がするが、まぁいい。ご飯がそろそろ出来るから呼びに来たんだ」

「ほんと?分かった。行くね」


 その後、僕たちはダイニングへと向かった。近づいてくる毎に美味しそうな香りが漂ってくる。


「壮汰さん、奏多。今日の料理はなんとビーフシチューよ!」


 独孤壮大(どくこそうた)それが父さんの名前だ。ちなみに母さんの名前は独孤クレアだ。


「しゃあーーーーーー!!」

「そうなのか、楽しみだ」


 きっと僕達二人の声は浮わついていた事だろう。なにせ好物のビーフだからね!ビーフだからね!


「「「いただきます!!!」」」 


 僕達はビーフシチューを口に運んでいく。美味しい。でもなんだろう、何かが足りない。何でだろう?今までこんなこと思ったこと無いのに。 


「「「ごちそうさまでした!!!」」」

「奏多、さっきからそわそわしてたけど何かあったの?」

「白露が狩りに行ってるんだ」


 母さんはあぁと納得したように頷いた。こんな顔父さん好きそうだな~。え?なんで分かるのかって?察して?


「そう、なら早く迎えにいってあげなきゃね」


 ニヤニヤしながら母さんが言った。くっ、なんかすごく嫌な気分だ!!僕はそそくさと部屋に戻っていった。


「白露!戻ってきてくれたんだね!!」


 白露が僕の部屋に居た。ちゃんと戻ってきてくれた。本当に良かった。後ろに何かある気がするけど何もない。


『主様~、見てください!』


 そう言って?白露が引き摺ってきたのは、なんか凄そうな死体だった。ちょっとよく見えないな~。血なんか出てないし、お腹も裂けてない。うん、僕はなにも見てない。


『褒めてください!なんたってゴブリンキングですからね!』


 ゴブリンキング、たしかゴブリンの王様で物凄く身体能力が高かったはず。それをこんな子犬くらいの蜘蛛が狩ってきた?


「すごーーーーーーーーーーーーーーー!!」

『ふっふっふっ、ドヤァ!』


 白露の今のこの後ろの四本だけで立って腰に脚を当てているポーズ、多分ドヤってるんだと思う。を見て確信した。白露は褒めて伸びるタイプだ。


「すごいすごいすごい!白露天才なの!?すごっ!」

『やめてくださいよ~、照れるじゃないですか』

「白露サイコーーーーーー!!」

『あーっはっはっはっはっ!そうでしょそうでしょ!』


 そしてこんなやり取りを後数回繰り返した後僕は寝た。ちなみに白露はハンモックを掛けてそこに寝ていた。

え?ヒロインなんてどこにもいない?居るじゃないですか。お母さんかって?違いますよぉ。白露ですよ。



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