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黒髪のボッチだけど、振られたらアラクネに拾われて溺愛されました  作者: 電誅 萬刃
第三部 私を幸せにするのは⋅⋅⋅⋅⋅⋅
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あなたじゃ、無い

はい、白露編が終わり主人公に戻ってきました。ここが序盤の盛り上がりどころですからね!張り切って行きましょう!

 どうでもいい世間話とか、思い出話をしながら歩んでいけるこの時間が凄く楽しい。凄く幸せ時間だ!

 でも悲しいかな、そんな時間は長く続いてはくれない。なぜか?いつの間にかカフェに着いてしまったからだよ!!特殊相対性理論め!呪ってやる!!あ、皆よく知ってる方のやつだからね。


「どうしたの?早く入ろう?」

「あ、あぁ。それで席はどこにする?」

「うーん、見つけてもらえるように道路側にしよっか」

「そうだね。それが良いと思う」


 僕達はカフェの中に入った。内装がオシャレだ。いや、まぁ、そんな店を探してもらったんだけどさ。


「いらっしゃいませ。二名様ですね?」

「はい、そうです」


 店員さんの対応が凄い。おもてなし精神が全身からにじみ出ている。これならすらすら答えられる。


「席の希望などはございますか?」

「道路側でお願いします」

「分かりました。では、こちらへどうぞ」


 僕達は、店員さんにしたがって窓側の席に座った。メニュー、メニュー⋅⋅⋅⋅⋅⋅有った。僕はもう一つのメニューを七葉に渡した。


「ありがと。えーっと、どれにしようかな?」


 七葉がメニューを見ながら悩んでいる。かわいい。七葉の破壊力がインフレしすぎてヤバい。


「奏多くん、メニュー決まったの?」

「あぁ、決まってるよ」


 可愛すぎて死ぬから不意討ちはやめてくださいお願いします。不思議そうな表情がかわいいよぉ~。


「え、何にするの?」

「このブルボンポワントゥにするつもり」


 ブルボンポワントゥ。それは2006年に復活した一杯2500円という伝説のコーヒーだ。え?やんでそんなの知ってるのかって?

 白露がコーヒーを飲んで酔ってからというものおやつの時間に色々コーヒーが出てくるようになってからコーヒー大好きになったんだよ!!いつもはノンカフェインなんだけど今日は奮発した。


「へ、へぇ~。私もそれにしようかな」


 メニューを見て値段に驚いたと思ったけど、多分僕がこんなに高いコーヒーを知っていることに驚いてるんだろうなぁ。


「いいんじゃない?聞いた話によるとこのコーヒーって甘味のあと、柑橘系に似た酸味が追いかけてきて甘いながらもほどよく酸味が効いた上品な味がするらしいからさ。僕も楽しみなんだよね~」

「そ、そうなんだ、よく知ってるね⋅⋅⋅⋅⋅⋅」


 七葉がなんでそんなこと知ってるの?っていう表情で僕を見てきたんだけど。なんで?


「じゃあ、ブルボンポワントゥ2つで平気?」

「あ、うん。大丈夫だよ?」


 僕は七葉の返事を聞いてすぐに店員さんを呼んだ。

「ご注文はお決まりですか?」

「はい、ブルボンポワントゥ2つお願いします」

「それを頼むとは、もしかしてお客様分かる人ですか?」


 店員さんが目を見開いて僕に話しかけてきた。店員さんがコーヒー好きなんて、ここほんといい店だ。


「ええ、良い家族に恵まれたので」

「そうなんですか、大切にしてあげてくださいね」

「もちろん」


 店員さんに絡まれてしまった。確かに伝説のコーヒーを頼んだのは失敗かもしれない。でも飲みたいじゃん!伝説のコーヒーがこんなところに有ったんだよ!?飲まない訳にはいかないでしょ!!

 数分後、ブルボンポワントゥが僕達のテーブルに運ばれてきた。


「失礼します」


 店員さんがコーヒーをテーブルに置いた。音一つしなかった。凄い!プロの置き方だ!!

 さて、まずは匂いの確認。ブルボンポワントゥを顔に近付け匂いを嗅ぐと、ほろ苦い独特の香りがツンと鼻腔を刺激し食欲ならぬ「飲欲」がそそられた。七葉も目がキラキラしてる。これで、また1人コーヒーの虜になってしまった。まぁ、良いんだけども。

 欲望のままに一口飲むと、ぶわっと口のなかいっぱいに甘さが……! 


「あ、甘い」

「美味しい⋅⋅⋅⋅⋅⋅」

 そして甘さのあとは柑橘系に似た酸味が追いかけてきます。甘いながらもほどよく酸味が効いた上品な味。聞いていた通りの、いや!それ以上の素晴らしい味だ!

 朝からこんな1杯を飲めたらその日1日いい気分で過ごせそうだな~と思わせる味。白露にも飲ませたかったな~。そうだ!明日辺り一緒に飲みに行こ。


「ねぇ、独孤くん」

「ん?飲み方汚かった?」

「いや、別にそんなことはないけど」


 じゃあ何を言いかけたんだろうか?もしかしてバレた?


「何話そうとしたか忘れちゃったよ」

「なんかごめん」


 そして数分が過ぎた。まぁ、トーラー達が来るはずも無く。僕達はそのまま帰る事になった。まぁ、トーラー達には別の場所でデートをしてもらってるからね。


「結局、二人とも来なかったね」

「うん、心配だね」


 嘘だ。全然心配してない。というか、連絡したら邪魔になる可能性の方が高い。突然端末のバイブレーションが来た。気は進まないけど七葉にも聞こえてしまったので、端末を開いた。

 そこには、自分達はデートしてるから気にしなくて良いと書いてあった。


「何が書いてあるの?」

「ッ!」


 七葉が僕の後ろから端末を覗き込んでいた。無防備なかわいい顔が隣にあってドキドキする。


「デートって、心配して損したよ」

「そうだね。でも、二人らしいよね」

「そうだね。もう待つ必要もないし、帰ろっか」


 七葉が帰ろうと提案してきた。まぁ、そうだよね。待つ必要無いなら帰るよね。


「そうだね。あっ、ちょっと待ってて」

「いいけど、どうしたの?」

「コーヒーを持ち帰ろうと思ってさ」

「あ、そういうこと。いいんじゃない?」

「じゃ、行くね。マスターさん~、すいませんブルボンポワントゥの豆を売ってくれませんか?」


 僕は七葉を残して、マスターさんに豆を売ってもらった。くっそ高かったけど。


「じゃ、帰ろっか」

「うん、行こう」


 僕達は空がだんだん茜色に染まっていく中、お地蔵さんまで来ていた。


「じゃ、私はこれで⋅⋅⋅⋅⋅⋅」

「ちょっと待って!」

「ん?どうしたの?」


 遂に、この時が来てしまった。喉が乾いてうまく声が出ない。心臓が物凄い早さで脈打っている。寿命大分縮んでるな。


「七葉、聞いてほしい事が、あるんだ」

「何、ドッキリ?いや違うか、うーん、分かった!遅めの誕プレでしょ!!」

「確かにそれも怪しいけど違うよ」


 なんというか、出鼻を挫かれちゃったよ。でも、こんな風に振り回してくれるのも魅力だよね。


「七葉、」

「うん」

「出会った頃から、ずっと、好きでした。僕と付き合ってください」


 よし!やりきった。体を45度ほど曲げているから七葉の顔は見えない。


「奏多くん、ごめんね。私、好きな人が居るんだ。本当にごめんね。それに、私はあなたを恋愛対象には見れない。だから、さよなら」

「ま、待って」


 七葉は僕の言葉を聞かずに去っていった。ふふ、ふくく、くははははは!なんておかしいのだろうか。


「ははははははははははは!はーっはっはっはっはっはっはっ!ふぅーふっふっふ!なんで!なんでだよ!!なんで勇者に取られなくちゃいけないんだよ!!なんで()()()も奪われ無いといけないんだあ゛ぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぉぁぁぁぁぁぁ!!」


 ひとしきり泣き叫んだ後、僕は家に帰った。

じつは章のタイトルとこの話のタイトルを繋げて読むとネタバレになるという古典的な罠が仕掛けてあったりします。気付きましたか?

面白かったら感想とか、ブクマとか誤字報告お願いします!読者さんとの交流が無さすぎて辛いんです!

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