堕ちたな
タイトルで察せるって?まぁまぁ、見ていってくださいよ。
私達はどんどんダンジョンを進んで行った。そして遂に、私達はボス部屋っぽい扉の前にたどり着いた。
ダンジョンのボス部屋っぽい扉前にて
「ん?ねぇ、みんなここに神官さんから渡された帰還アイテムっぽいクリスタルがあるよ?」
「あ、本当だ。じゃあ、触ってみるよ」
「え、ちょっ、罠か」
私の言葉より早く龍宮院君がクリスタルに触ってしまった。
ピカァァァァァァァァァァァア!!物凄い光が溢れだした。
「目が!目がぁぁぁぁぁ!」
私は目を押さえて悶絶していたけど、ようやく落ち着いてきたので目を開けると、入り口に戻っていた。そしてそこにはボス部屋前のクリスタルが会った。おお、ショートカットだ。
「麗次さん、ちょっと迂闊ですよ」
「次からは気を付けるよ」
本当にどっかのラノベ主人公かよ?ちなみに最近はラノベのファンタジー作品が日常系になってるよ。
「今日はもう遅いし、戻ろう」
「そうだね」
私達はお城へと戻った。いや、本当に今日は疲れた。そしてお風呂に入って平装に着替えて会食をして各自の部屋に戻った。
「さーて、今日は連絡来てるかな~。お、来てる来てる」
そこには、最近あっちの雲行きが怪しいけど大丈夫?という心配の旨が書いてあった。ふふっ、心配性だな。
しかし、好感度上げが上手いなぁ。卑屈に振る舞わずにさりげなく心配する。心配されて嫌な気分になる人なんて居ない。さて、
「大丈夫だよっと」
私は奏多くんからのメッセージに答えた後、そのまま寝た。疲れてたからね。
翌日、私達は会食を済ませた後、ダンジョンに向かった。慣れって怖いね。もう会食が当たり前になっちゃったよ。
ボス部屋前にて
「皆、これからボスだ。だからきを引き締めて欲しい。くれぐれも慌てたりしないで欲しい。分かった?」
「「「「うん」」」」
「よし、行こう」
私達は龍宮院くんを先頭にボス部屋に入っていった。そこにはゴブリンエンペラーやゴブリンメイジエトセトラエトセトラが居た。エンペラーは筋骨隆々なマッチョ、メイジは祈祷師みたいな奴だ。
「彩夏さんと俺はキングを足止めする。だから二人はサポートを!」
「わかった!」
「任せてください!」
「了解!」
私は目の前に立ちはだかるゴブリンキングを見た。隙だらけだ。でも、攻撃が通る部位が少なすぎる。
「ダブルスラッシュ!」
一瞬で二回攻撃が出来るという剣姫固有の技だ。さすがにこれは効くでしょ。
「え?効いて、無い。ぎゃん!」
豪腕が私を掴んでいた。く、苦しい。誰か、助けて。空気、嫌!死にたくない!!
「レゾネンス」
私を掴んでいた肉がはぜた。いや、腕どころか体そのものが全てはぜていた。当然私は重力に従い自由落下を⋅⋅⋅⋅⋅⋅せずにお姫様抱っこされていた。
「大丈夫?」
「うん///平気だよ」
ちょっと待って、龍宮院くん格好いいんだけど。あ~、頭がポワポワする~。
龍宮院くんに地面に下ろされてしまった。もっとお姫様抱っこぉ!ゲフンゲフン、足がいたいな~。これはもうお姫様抱っこしかないな~。チラッ、チラッ。
「もう倒したし、彩夏さんの事を考えると不安だから戻ろうか」
チッ!っと、いけない、いけない。龍宮院くんの好きそうな淑女はこんなことしないもんね。
「「「分かりました」」」
私達はお城へと戻った。道中怪我の心配されて嬉しかったな~。特に、顔辺りに傷が付いてない事を確認されたのが凄くポイント高い。
お城に戻った後、私達は王様達と会食をしていた。最近この風景に慣れてきている自分が怖い。
「まぁ、あのキングを数分で?聞いていた以上に勇者様はお強いのですね」
「いえいえ、私なんてまだまだですよ。先代は山をも砕いたと聞きますし」
「ふふっ、謙遜しなくても良いのですよ」
くっ、あの女!!龍宮院くんにベタベタベタベタ!!政略結婚する癖に距離が近いのよ。
私達は会食を終えた後、入浴の為に大浴場に向かった。
「七葉さん?ちょっといいですか?」
「ん、あぁ、良いですよ」
私が一行に育たない胸を見て絶望に浸っていると、園山さんが話しかけてきた。何の話かな?
「あなた、龍宮院さんに惚れちゃいました?」
「べ、別にそんな事無いよ」
「ふふっ、隠す必要らないわ。あの状況なら仕方無いわよ」
園山さんは自分のライバルが増えたのかもしれないというのに落ち着いていた。別に好きじゃないし。
「園山さんはライバルが増えた、とか思わないの?」
「まぁ、勇者パーティーが勇者以外全員女性なのはそういう目的もありますからね。それにガミガミ怒って麗次さんの機嫌を悪くしてもあれですからね」
何て言うか、達観してる。勇者の正妻は私!園山よ!!と言わんばかりの自信だ。
「まぁ、答えが出たら聞きますよ」
私は園山さんの意味深な発言を聞いた後、浴場から出て自分の部屋に戻った。例によってまた奏多くん達こらのメッセージがたくさん来ていた。
「ダンジョンのボス戦は平気だった?その場に居られないのが凄く悔しい。ふふっ、本当にいい人。ちょっと怪我したけど平気だよっと」
龍宮院くんが好きなのか、それとも奏多くんが好きなのか、私には全く分からない。でも、あの、四人とはずっと友達でありたいな。私は明日からの訓練に思いを馳せながら眠りに就いた。
──そして二年が過ぎた。え?学校?大量に課題と予習プリントが有ったけどなにか?
今日は遂に黒き悪魔の討伐の日だ。今までのは何かって?訓練だよ。訓練。黒き悪魔は世界中を規則的に巡っているらしく、今年がちょうど黒き悪魔襲来の年らしい。じゃあ、二年前に呼ぶ必要無いだろって?いやいや、この二年が無かったらきっと私達負けてるから。それくらい有意義だった。
「皆、これから討伐だ。気を引き締めて行こう」
「「「おーー!!」」」
そして、私達は王都の前に広がる平原に向かった。もう飛蝗見えてるけどね。
平原にて
そこでは既に戦闘が始まっていた。鎧姿の騎士さんとか、コンバットボウを持った弓兵さんとか、物理攻撃を半減するスライムの残骸を使用して作った盾を持った兵士さんとかが一メートル位の黒い飛蝗を攻撃している。
「勇者様方、ようこそお越しくださいました!本当なら歓待したいところではありますが、状況が状況ですので早速戦場へご案内します」
「あぁ、よろしく頼む」
私達はその兵士さんの案内に従って前線に向かった。
「こちらです」
「これは酷い」
「面目ないです」
黒い飛蝗がそこら中に蔓延っていた。さっきの戦場がいかに生易しかったか分かる。これを、倒すのか~。と二年前の私なら思っていただろう。でも、私はこう思った。
あぁ、余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)だわ。と。
「さぁ、行こう!」
「「了解!」」
「分かりました!」
私達はそれぞれ配置についた。私達の仕事は麗次くんが黒き悪魔の固有振動数を解析し終えるまでの時間稼ぎが主だ。
「100A!」
横山さんの魔法が炸裂し、飛蝗達が絶命していく。どれくらい凄いのか分からない?人間が感電死する200倍の電流が流れたんだよ。
「千刃切り!」
私は、剣を振った。そして次の瞬間、飛蝗達が真っ二つになった。ひと振りで斬撃を千個飛ばすのは疲れるなぁ。飛蝗が私の前に踊り出てきた。改めて見ても大きい。
「ほいっ」
飛蝗は真っ二つになった。そこから体液が辺りに降り注ぐ。汚いな~。
「レゾネンス」
飛蝗達ははぜていった。やっぱり私達要らなかったか。悔しい。
「皆さん、終わりましたよ」
「「「「うぉぉぉぉぉおーーーーー!!」」」」
「良かった。良かった」
周りの兵士さんが涙を流しながら喜んでいた。そりゃそうか。死ぬかもしれないもんね。
私達はそのままお城に戻った。そして血を落として着替えた後玉座に向かった。
「面を上げよ」
私達は顔を上げた。相変わらず渋いイケオジだなぁ。
「この度の黒き悪魔の討伐、誠に大儀であった。ゆえに貴殿等には月桂冠勲章を授ける」
月桂冠勲章!?この世界を管理する主女神ヴィクトリアのシンボルを模した勲章だよ!?改めて凄い事をした実感が沸いてきた。
麗次君が王様の前に歩いていき、王様の前で片ひざを着いた。そして姫が麗次君に月桂冠を被せた。
「おぉ、新たな勇者の誕生だ⋅⋅⋅⋅⋅⋅!!」
「我々は今、伝説を見ている⋅⋅⋅⋅⋅⋅!!」
近衛兵達が仰々しい反応をしている。大袈裟だなぁ。そして私達は最後の会食を迎えた。
「勇者様、こちらを私の自信作ですのよ」
「これはこれは、ありがとうございます」
これは、姫様も落ちましたね。まぁ、身近に二年も強いイケメンが居たら、ねぇ?しかも勇者だし。はぁ、格好いい。
「勇者様、こちらを私の自信作ですのよ」
「これはこれは、ありがとうございます」
後わざわざ手に触れながら、手作り料理を進める必要は無いよね。そんな事はあったものの会食は順調に進み終わりを告げた。
翌朝、私達はゲートの前に来ていた。ようやく帰るのか。久しぶりにお母さんお父さんに会いたいし話したいことも山ほどある。後、四人で会いたい。
「勇者様、お気をつけて。次のご来訪を心から待っています」
「貴殿等を何時でも歓迎しよう」
「ありがとうございます。絶対にまた来ます」
そして私達はゲートをくぐった。
やっぱタイトル通りじゃねえか!って?いやいや、でも七葉がチョロイン属性だった事が分かって良かったじゃ無いですか。