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黒髪のボッチだけど、振られたらアラクネに拾われて溺愛されました  作者: 電誅 萬刃
第二部 嵐の前のような静けさ
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表彰式

皆さんお待たせしました。それではどうぞ。

「これより、勇者の三大災害指定級種、黒き悪魔飛蝗の討伐決定発表兼表彰式を行います」


 黒き悪魔飛蝗──それは災害の名前だ。子犬程度の飛蝗が群れをなした竜巻のように見える群体の名前だ。それぞれの最大ジャンプ力は2000メートルをこえており、通った後には何もかもが食い尽くされているだけという恐ろしすぎる災害だ。そんな魔物を討伐する?勇者(アレ)が?無理だろ。

 その後運動会の表彰式のために僕達は黙々と準備をした。

 表彰式にて


「それでは優勝チームの代表前に出てください」


 その声と共に勇者が壇上に上がる。そして優勝旗を受け取った。物凄い拍手が響き渡る。


「準優勝のチームは前に出てください」


 僕は壇上に上がりトロフィーを受け取った。拍手はまばらだった。まぁ、当然か。

 そして勇者パーティーの発表になった。まったく誰が選ばれたんだか。


「勇者龍宮院さん、聖女園山さん⋅⋅⋅⋅⋅⋅」


 名前を呼ばれた生徒が壇上に上がっていく。全員がどこかで聞いたような名字だ。どこで聞いたっけ?あ、対戦相手だったわ。


「賢者横山さん、そして剣姫⋅⋅⋅⋅⋅⋅」


 その時、時が止まったかのような錯覚が僕を襲った。剣姫?そんなの一人しか居ない。あのトーラーに知恵熱を出させたあの娘しか、居ない。まさか、まさか、まさか⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅!!


「彩夏さんです!!」


 そして、周りから万雷のような拍手が響き渡った。でも、そんなことを気にしている余裕は僕には無かった。

 何で、何で?何でよりにもよって独孤家最大の宿敵の勇者パーティーなんだ!!勇者パーティーなんて、勇者のハーレム要因に選ばれたようなものじゃないか。なんで、七葉なんだよ。

 そして、放課後


「七菜、勇者パーティーおめでとう」

「ありがとう。私が栄誉ある勇者パーティーの一員なんて信じられないよ」


 僕だって信じたくないわ!だが、現実から目をそらしても何も始まらない。僕は感情を押さえて七葉を祝福した。


「もしかして、起こってる?ごめんね。勇者チームのせいで優勝を逃しちゃって」


 ホントだよ!勇者の野郎!ぜっっっっったいに許さない!!


「それより、七葉くんはこれから討伐に行くわけだろう?連絡先を交換しておきたいんだが、良いかな?」


 トーラーナイッスゥゥゥゥゥゥウ!!自然な流れで聞いてくれてありがとう!これから足を向けて眠れないよ!まぁ今までも足向けて寝たことなんてないけど。


「そうだね!交換しよっか」


 僕達は連絡用のアドレス等々を交換した。七葉の連絡先ゲットだぜ!ピッピカチュ!

 あれ?ピッピカチュ!ってどっから来たんだろう?ま、いいや。

 その後、僕達は下校すべく学校から出た。いつもなら短く単純な道は嬉しい。だが、今日は違った。


「それにしてもまさか、君が勇者パーティーの前衛に選ばれるとは⋅⋅⋅⋅⋅⋅驚きだ。これはボクが勇者パーティーよりも強い事が証明されたね」

「そんなこと⋅⋅⋅⋅⋅⋅無いとは言い切れないね」


 周りをいたたまれない空気が支配した。沈黙に耐えられなくなった僕は口を開いた。


「そうだ!討伐遠征が終わったら皆で集まらない?」

「唐突だね、でも、いいんじゃない?」

「ボクも賛成だ」

「俺も良いと思うぞ」

「私も良いですよ?」


 よし、全会一致!良かった。話の流れが唐突すぎたから駄目かと思った。


「じゃ、決まりだね!ここのお地蔵さんのところで集合だよ!」


 僕達は、その後家に帰りそのままご飯を食べて寝た。

 翌日、ゲート前にて。僕達は学校を休み、七葉を見送りに来ていた。ゲート、それは異界とこちらを繋ぐ扉。異界の各国に対応して行き先を決定できるらしい。


「皆休んでるみたいだけど良かったの?」

「友人の門出だ。行かない方が間違っているとボクは思うが?」

「右に同じ」

「主様に同じく」

「左に同じく」


 全員一致してる。それはそうだ。場合によっては数年間ずっと離れ離れなのだ。そんなの、来るに決まってるじゃん。


「そっか。ありがとね!もうそろそろ皆来ちゃうから私行くね!」

「「「「いってらっしゃい!」」」」

「いってきます!」


 行っちゃったか。しばらく手を振り続けていたが、僕は手をおろした。ふと、何か暖かいものが僕の頬を伝った。


「あれ、何で。別れくらい笑顔でって思ったのに、涙が⋅⋅⋅⋅⋅⋅」

「主様、泣きたいときは、泣いていいんです。主様はそんなに強くないですから。私たちの前でくらい強がらないでください。寂しいじゃないですか」

「そうだぞ。友達だろ?」

「君には常日頃から助けてもらってる。存分に泣くといい」

「ぐすっ、何で、何でだよぉ。何で勇者パーティーなんかに選ばれちゃうんだよぉ。まいにぢだぐざんごえから思い出をだぐざん⋅⋅⋅⋅⋅⋅うぅ゛っ、ああ゛っ!」


 そこから先は声にならなかった。ただ、ひたすらに泣き続けた。そして、ふと優しいものが僕を包んだ。


「よしよし、頑張ったね。もう大丈夫だから。私が居るから。安心して?」

「うぅ゛っ!ぐすっ!ひぐっぐす!!」


 僕はそのまましばらく白露の胸の中で泣き続けた。

これからは七葉視点が入ります。ご理解ください。

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