競技
遅れて申し訳ないです。ちょっとバタバタしてたので。
翌日からはもう昨日の感覚に襲われることは無かった。
「おはよう、白露」
「おはようございます、主様。ご飯はもう出来てます」
白露が僕の服を用意しながら笑いかけてくる。なんというか、落ち着く。
「ありがとう」
「それより主様、大丈夫ですか?」
白露が心配そうに僕の顔を除きこんでくる。こんな表情させるなんて主、それ以前に人として失格だよ。
「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
白露がほっとしたように胸を撫で下ろす。ここまで心配してくれるなんて嬉しいかぎりだよ。
「あれ、そういえば、学校は」
「何言ってるんですか、主様?今日は土曜日ですよ?」
え?ちょっと待って。僕が寝たのって月曜日⋅⋅⋅⋅⋅⋅。ってことは5日近く寝てたの!?そりゃ、胸も撫で下ろすわ!
「心配、かけたね」
「ほんとですよ!」
ぽかぽかと胸を殴ってくるが痛くはない。これくらい許して、というかされて当然だ。
「ねぇ白露、もしかして今日って運動会第一部だったりする?」
「そうですよ」
「ホントに?」
「マジです」
「白露!行くよ!」
僕は母さんと父さんに、顔を見せてから超ダッシュで学校に向かった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
さすがにジ・アースを一呼吸毎に使うのは疲れる。
「君達!!大丈夫なのかい!?」
「心配したんだぞ!」
二人が物凄く驚いて僕達に近づいてくる。そんな、どうしてそこまで
「二人とも、どうしてそこまで」
「「だって、友達じゃないか」」
友達、この響きに僕の目からは自然と涙が溢れてきていた。
「大丈夫かい?」
「ごめん、心配かけたね。さ、行こう!」
僕達は校庭に向かった。途中先生に会ったので、先生にはきっちり来たという報告をした。
「独孤くん!?平気なの!?」
近い近い近い。睫毛が長いんだな~とか、わかっちゃうじゃん!
「大丈夫だよ。心配かけてごめんね」
「ううん、平気だよ。そうだ!これから私の出る競技だから見ていってね!!」
「うん!分かった!!頑張ってね!」
七葉は走っていたが、僕の声に振り替えって手を振ってくれた。可愛すぎかよ。
「さて、名一杯、応援といこうじゃないか」
トーラーが呼び掛けるその声に僕達は全員、即座に反応した。
「「「おーっ!」」」
僕達はそのまま、七葉が一番よく見えるところに行った。
「次は、200メートルリレーです」
七葉はどうやらアンカーのようだ。入場中に手を振ったら、微笑みかけてくれた、N・M・T(七葉マジ天使)。
そして、リレーが始まった。七葉を始めとする僕達赤組(トーラーに聞いたら僕達は赤組だと言われた)のトップバッターである細身の選手はなんと遅かった。いや、何でだよ。そしてあっという間に抜かされていく。続く第二走目の選手は、それなりに早く、頑張って差を縮めた。
「そこだ!行けー!!」
「「あぁ、」」
次の選手は⋅⋅⋅⋅⋅⋅!!あ、オワタ。よりにもよってかなりで⋅⋅⋅⋅⋅⋅ゲフンゲフン。重心に安定感のある選手だ。そう、俺達が絶望したときに彼が走り出す。
「動けないデブはただのデブだぁぁぁぁぁぁあ!!うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!唐揚げェェェェェェェェェェエエ!!」
なんと彼は、三人も抜かして七葉にバトンをつなげたのだ。す、すげえ!!
「赤組の中田選手!怒濤の追い上げをみせていきます!さぁ、そして七葉選手走る!」
速い!でも、白組がもっと速い!なんてスピードだ!
「「「「いっけぇぇぇぇぇ!七葉ぁぁ!!」」」」
七葉は俺達の声に押されるようにして、スピードを出し、そしてゴールで直前白組を抜かした。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
そして僕達は七葉が戻ってきたのと同時に彼女を取り囲んだ。
「凄いじゃん!七葉!!」
「あぁ、私も驚きを隠せなかったよ」
「全くだ」
「おめでとうございます!」
四者四様の反応だけど言ってることは変わんない。とにかく七葉を誉めている。
「皆、ちょっと落ち着いて、私も戻りたいからさ」
「「「「あ、ごめん」」」」
「もぅ」
七葉がちょっとプンスカしてる。かわいい。これは尊いわぁ~。
「つ、次の競技見るよ!」
照れてるその姿もかわいい。いや~、こんなかわいい娘作っちゃうなんて、神様も分かってますね~。え?お前が言うなって?聞こえないな~。
運動会一日目は無事、滞りなく終わった。
いや、嵐の前の静けさといった方が正しかったかもしれない。この後僕達は神の理不尽さを見ることになるのだから。
休校とかでバタバタしすぎて投稿する時間が無かったんです。許してください。