表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/15

五の段 両陣、相まみえる(二)

酒呑  は~いみんな、愛し合ってる、か~い


玉藻  旦那様ぁ、さすがにそれは空気読めてないでありんすえ


酒呑  そっかー


頼義  酒呑童子・・・だと!?


金平  おいおい、大将御自らご登場かよ


酒呑  ごめんねえ、本当はもっとゆっくり来るつもりだったんだけど、女どもが思ったより早く進撃して言っちゃってさあ。すごいね、女のあの瞬発力って


頼義  あれは、貴様の魔術の成せる技か、酒呑童子


酒呑  みんな僕のために張り切っちゃてさあ、僕はホント幸せ者だなあ


頼義  女を盾に使うとは・・・この下郎、()く地獄へ帰れ!



  頼義、酒呑童子を睨みつける。酒呑、頼義の「瞳」に気づいて



酒呑  ん?んん?んんん~?玉藻~、驚いたなあ、この子()()()()だよ  


玉藻  おやまあ、まっこと、同じ瞳を持つ御仁がいらしやるとはなあ


頼義  なんのことだ?


酒呑  知らないのかい?気づいていないのか、こりゃあ罪深いことだなあ


頼義  無礼な!私を馬鹿にするか!



  頼義、激高して酒呑童子に斬りかかる、すんでのところで薔薇(そうび)に止められる。



薔薇  酒呑童子様を傷つけるものは許さぬ、この薔薇そうびの毒を浴びて死ね!


金平  あぶねえっ!


酒呑  あははは、気をつけたほうがいいよ~、この薔薇(そうび)ちゃんはねえ、全身が毒で出来てるんだ。爪で一かすりでもされれば、あっという間に全身に毒が回ってのたうち回ることになるよ~


頼義  くっ・・・


酒呑  と、いうわけで、僕たちはこれから天皇絶対殺すマンになって内裏まで向かうんだけど、どうする?


金平  「どうする?」だあ?ぬかしてんじゃねえよ、てめえらを目の前にして黙ってそのまま通す坂田金平様だとでも思ってんのかよこのボケがあ!



  金平、マサカリを振りかざして襲いかかるが酒呑童子躱す。童子の前に玉藻の前。



玉藻  ご挨拶が遅れて失礼しおす。白面童子・・・もっともこの名は好きではないおすえ、「玉藻の前」と呼んでおくれやす


金平  あ?上等だ、タマモだかマリモだか知んねえが女でも鬼が相手なら手加減しねえぞオラぁ!


玉藻  (呪符をかざして)()()()()()()()


金平  ぐっ!?(動けない)


玉藻  名前に「しゅ」をかけましたえ、動けましやせんよう


季春  な・・・!?道家(どうか)仙道!


貞景  くそう!



  貞景、竹綱、玉藻に打ち込みをかけるが、玉藻それをよけながら



玉藻  貪狼(とんろう)巨門(こもん)禄存(ろくぞん)文曲(もんごく)廉貞(れんじょう)武曲(むごく)破軍(はぐん)紫薇(しび)大帝来臨(らいりん)守護(しゅご)急々(きゅうきゅう)如律令(にょりつりょう)



  貞景、竹綱、動けなくなる。


 

季春  「北斗踏み」・・・北斗七星をかたどることで紫微大帝、つまり北極星のごとく動かなくさせる仙道の秘術・・・か?


玉藻  ご解説感謝どすえ、これで残るは主さんたちだけだわえ


頼義  くっ・・・


茨木  ここはこの茨木にお任せを、渡辺綱の息子の生肝、さぞ精がつくであろうな


薔薇  いやわしがやる。一人一人できる限り長ぁく苦しみ続けるようにゆっくりと毒をそそいでいってやるわ


酒呑  まあまあ君たち、君たちはよく働いてくれているよ。そんなに気張ってたら疲れちゃうじゃないか、みんなが苦しい顔をしているのは僕はつらいなあ


三人  きゃ~☆童子様やっさし~い♡


酒呑  だからここは僕にお任せよう、な~に首をちょんちょんちょんっと切り落とすだけだもんね、非力な僕でも簡単さあ


金平達 ぐっ、うぬぬ・・・


酒呑  だから二人は生き残りを片付けといで。ああ、()()()()()()()()()()


二人  は~い☆(去る)


頼義  ふ、ざけるなあっ!



  頼義、再び酒呑童子に躍りかかる。



酒呑  おおっと、なかなかやるねえ、すごいすごい


頼義  おのれえっ!


酒呑  ストップ!



  頼義、ピタリと止まる。



酒呑  女の子がそんなものを振り回しちゃあいけないなあ、僕悲しくなっちゃうよ。さあ、刀なんか捨てちゃってリラックスしなよ


頼義  ・・・はい、童子、さま・・・


金平達 !?


酒呑  そうそう、そんな怖い顔しないでさあ、もっと笑顔におなりよ、そんで僕らと一緒に楽しく生きようよ、人間どもを皆殺しにしてさあ


頼義  はい・・・♡はい、童子様、あなたのお望みのままに・・・


金平  な、何言ってやがんだコラ!てめえ、なにしやがった!?


酒呑  さあいい子だねえ、おいで



  酒呑童子、手を差し伸べる。頼義、その手を受けようとした瞬間に季春が割って入り、スマホのフラッシュをたく。



酒呑  うわっ、まぶしっ!


頼義  (術が解ける)はっ!い、今のは・・・!?


季春  頼義どの、こやつの眼を見てはなりませんぞ、これなるは「魔魅(まみ)の瞳」、見つめた相手を意のままに従わせ、人形のように操る邪眼でござる


頼義  邪眼!?


季春  令・百・由・旬・内・無・諸・衰・患!



  全員の金縛りが溶ける。



金平  うわっ、ととと


玉藻  あらあら、わらわの禁足の術を破るとは、とぼけたお顔をしてとんだ狸どすなあ


季春  驚いたのはこちらじゃわい、まさか「魔魅の瞳」を持つ者に()()も続けて出会うことになるとはのう


頼義  二人・・・?


酒呑  ほら、この子気づいてないんだよ、なんで教えてやらないんだよ意地が悪いなあ


頼義  なにを、さっきから何を言っているのだ貴様!?


酒呑  君さあ、昔から男の人に頼み事をして断られた事ってないでしょ?


頼義  な、なにを馬鹿な


酒呑  ないでしょ?


頼義  う・・・


酒呑  君のその瞳は、あらゆる男を従わせる悪魔の瞳、僕のはすべての女性を従わせる聖なる瞳、僕らは似た者同士だねうふふふ


頼義  ふ、ふざけるな!貴様と同じであるものか!


酒呑  同じだよう、人を操り、意のままに従わせるのは楽しいだろう


頼義  違う・・・違う!


酒呑  違わないねえ!君も、僕と同じ、()だ!


頼義  違う!違う違う違う!



  頼義、むちゃくちゃに太刀を振り回す。酒呑童子なんなく頼義をねじ伏せる。



金平  ガキんちょ!


貞景  くっ、かくなっては作法も是非もなし、全員でかかるぞ!



  子四天王、4人がかりで攻め立てるが、酒呑童子一人に全く歯が立たない。



竹綱  ぐはっ!


貞景  な、なんと、酒呑童子、これほどとは・・・!?


季春  どこが非力でござるか!肩書に偽りありですぞ、JAROに訴えるでござるよ〜!


酒呑  違うよう、僕が強いんじゃなくて、君たちが弱いんだよう


四人  ・・・!


酒呑  まあいいや、そろそろ殺そう、もう飽きた


頼義  く・・・


玉藻  旦那様ぁ、もうそんなのほっといて内裏に向かいましょう。宮中ではきっと妾達を歓迎してくれるためにごちそうをたーっぷり用意してくれてはりますえ。ふふふ、文字通りの「酒池肉林」どすなあ


酒呑  うん、そうだね、行こっか



  酒呑童子と玉藻、キャッキャウフフとはしゃぎながら去る。残された五人、満身創痍。



金平  ・・・くっ、そおおおおおおおおおおおお!



暗転


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ