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第45話 桃から生まれるハニーピンク!?

ブルーハワイのアジトに向かう途中、敵とのトラブルに見舞われて朝比奈が離脱した。

京子と柳町は、先にアジトに向かっている弥生達3人を追うように先を急いだ……

 京子先生は走った。

 キックボードに乗った僕を牽引しながら。

 僕にとっては、それはそれは恐ろしいスピードだったが、京子先生にとっては歩いているくらいの感覚なのだろう。


「あっ!! 思い出した!!」

「何ですか京子先生~!? 急に止まんないで~!!」


 キックボードから放り出されそうになった僕はかろうじてキックボードにしがみつき、投げ飛ばされるのを回避した。


「確か今日、DA PUMPの誕生日よ!!」

「何の話ですか!? っていうか、誰のですか!?」

「カーモンベイビーのあれよ!!」

「分かってます!! 京子先生こそDA PUMPって何人かいるの知ってるんですか!?」

「4人でしょ?」

「それ初期のメンバーね!! 今は7人体制です!! っていうか、誰の誕生日か分からんけど何かややこしくなりそうだからこの話やめましょう!!」

「じゃ行きま~す!!」

「ちょっと待って! まだちゃんと乗ってな……」


 何故このタイミングで止まったのかを考える余裕もなく、僕はキックボードにしがみついたまま引き()られていた。


「痛い痛い痛い!! 京子先生!! 僕、引き()られてます!! 一旦止まって!! 一旦!!」

「着いたわ」

「着いたんかい!!」

「この岩山があの有名なウィーウィルロックね」

「クイーンをエアーズロックみたいに言うな!! それにこの国にエアーズロックは無いですし、僕は血だらけです!! っていうかまだアジトじゃないじゃん!!」


 走ってきた一本道の先には大きな岩山があった。僕はもの凄い距離を引き()られてきたが、何とか『欲望の氾濫(リーリングアイズ)』を発動させて身を守った。が、そこらじゅう擦り傷だらけ……

 何とか顔だけは守ったぞ! って、そんな事を言っている場合じゃない!


「京子先生。ここはまだアジトじゃありませんよ!? 何でこんな所で……?」

「柳町君、これを見て」


 京子先生はスマホを出して1枚の画像を見せてくれた。


「ってこれ、僕が女子トイレの前を通り過ぎている時の画像じゃないですか!! 隣の男子トイレに入ろうとしているだけで、たまたまこのタイミングで撮れただけでしょ!? 変な切り取り方しないでください!! 何かこれだと僕が女子トイレに入ろうとしている変態に見えますから!!」

「ごめんなさい。拡散するの忘れてたわ」

「だから謝る所違う!! むしろ忘れてください!! っていうか、これドローン使ってる!?」

「そうじゃないの。見て欲しいのはこれなの」


『ドローンを手にしている挿し絵』


「やっぱドローンじゃん!! 絶対盗撮に使わないで!! このデカさで気付かない僕も僕だけど!! っていうかどっから出した!?」


 気を取り直して再度見せてもらったスマホには、ジョニーさんからの動画が映し出されていた。

 そしてそこにあったのは、今目の前にある岩山と同じものだった。

 遠目から撮影された映像では見えにくい部分もあったが、岩山の中から出て来たのはブルーハワイの連中だった!

 岩自体に入口があった訳ではなかったが、すり抜けるような感じで突然岩から出て来た様子だった。

 ど……どういうカラクリなんだろう?


「柳町君。この映像どう思う?」

「何か不思議ですね。どこでもドアみたいに岩山の向こう側が異次元みたいな感じにも見えます。以前3組織の会合を行った時に使った、ブレイブハウンドの移動屋みたいな感じなんですかね?」


 京子先生は少し考え込んだ後、ブルーハワイの人達が出て来た岩山に石を投げた。

 驚いた事に投げた石は岩に当たってもはね返らず、そのまますり抜けるように消えてしまった!


「い……石が消えました!」

「良くその目で見えたわね。いつ節穴(ふしあな)の穴を(ふさ)いだの?」

「せ……先日……プチ整形で……って、最初から空いてません!! 何を言わすんですか!!」

「私の想像だと、あれは入口だけウィーウィルロックの映像を映し出しているんじゃないかと思うんだけど」

「え……映像ですか!?」


 確かに言われてみれば、何か投影されているような気がしないでもない。そしていい加減、ウィーウィルロックの下りはつっこむ気はない。


「近くに行ってみないと良く分からないわね。周りに注意しながらあそこまで行ってみましょう」

「そうですね」


 僕達は周りを警戒しながら、ゆっくりと岩山の方に近づいて行こうとした。


「そう言えば、弥生さん達はもう中に入っているんですかね?」

「実は私達が見つけたアジトの入口は2ヶ所あるの。弥生達にはここから遠い方にある入口を探ってもらっているわ」

「挟み撃ちにする作戦ですか?」

「そういう事ね。もうそろそろ向こうも着く頃じゃないかしら。切ってた通信機を戻して見るわね」


 僕も京子先生同様、通信機を通常に戻した。


「弥生、聞こえる? あなた達、今どの辺なの?」


 電波状況が良くないせいか、あまり良く聞こえないがかろうじて弥生さんの声が聞こえてきた。


「今、ナニナニが指定したアジトの入口から中に入った所よ。そっちはどうなの?」

「こっちももう一つの入口らしき所の前まで来たわ。これから中に入る所だけど、中の状況はどんな感じ? 何系? 中華?」

「中に入ってすぐに見張りが居た所はジャッキーチェンの映画に出てきそうな感じだったけど、ジェットリー並みに3人で秒殺したわ。だから他の奴らにはまだバレていない。この岩の中がどういう構造になっているか分からないけど、慎重に進んでみるわ」

「そうね。くれぐれも単独では深入りしないように。サモハンとユンピョウ……いや、モンチとずんだもしっかり弥生をサポートすんのよ!」

「「了解!」」


 何かあったらすぐに連絡をすることを約束し、心の中でプロジェクトAの曲を流しながら僕達も岩の中に入ってみる事にした。

 岩の近くま来てみると改めて大きいと感じる。全長500mくらいはあるだろうか。京子先生の言う通り良く見てみると、一部の場所がどの角度から見ても岩山に見えるように投影されていた。これだとよっぽど警戒していないと気付かないだろう。

 京子先生が先頭で中に入って行き、僕も恐る恐る後をつけて行った。この反対側から弥生さん達が侵入しているという事だから、どこかで合流出来るはずだ。中に何人くらい居るのか分からないが、相手にバレずに戦力を分散させて戦う方が利口かも知れない。向こう側の入口に見張りが居たって事は普通に考えれば、こちらの入口にも居るだろう。

 岩の中に入るとそこは洞窟のようになっていた。道幅は10mくらいあり、天井も思ったより高かった。全体的に暗がりではあるが、足下にはオートライトのような灯りが等間隔に点灯していて2~30m先までは見えている。


「多分近くに見張りが居ると思うから私が相手をするわ。柳町君は目立たないように、桃のモノマネでもしてじっとしてなさい」

「は……はい」


 僕は生まれてこの方、桃のモノマネなんかした事ないけど、とりあえず自分の思う限りの桃をイメージして桃になりきる事にした。

 僕は桃……

 僕は桃……

 僕は誰が何と言おうと美味しい美味しい見事な桃だ……


 僕が膝を抱えながら小さくなり桃になりきりながら瞑想していると、奥の方で少しだけ物音がして人が倒れるような音が何回か聞こえた。おそらく京子先生が見張りを倒したんだろう。

 音が静まったので顔を上げて見ると、僕の頭の上で白い付け髭をした京子先生が斧を振りかぶっていた!


「いゃあ~~~~!!!」


 つい大声を出してしまった僕は、京子先生に(あご)を蹴り上げられ岩壁に頭を打ち付けた!

 蹴んのかい!!と、つっこもうにも顎をやられて喋れなかった。

 それより僕が声を出してしまったせいで、奥の方では人の気配が慌ただしくなっている。


「きょ……京子先生……何か人が来そうな気配ですけど大丈夫ですか?」

「大丈夫。柳町君の顎が砕けなかった事以外は全て予定通りよ」


 僕の顎は京子先生が思っていたより丈夫だったようだ。


「とりあえず私が先に進んで道を切り開くから、柳町君は身を隠すのが下手くそなダメ忍者のように、壁に張り付きながらゆっくりと来なさい」

「ダ……ダメ忍者は余計ですけど、頼りにしてます……」


 僕は教育ママのような京子先生が用意してくれた(レール)を、エスカレーター式の学校に行くようにただひらすら言われるがままに歩き続けた。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

あきらさんです!

最近は少しずつPV数も伸びてきているので、嬉しくて執筆が進んでおります!

感想なんかをいただけるともっと嬉しいかなぁ~!!

今後とも宜しくお願いします!!

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