第19話 初の2層!
俺達は、再びダンジョンの奥へと入っていった。
途中、コボルトやゴブリンに遭遇するも、よもや俺達の敵では無かった。
残念ながら、宝箱は出なかったが……
敵を全滅させる度に、ハルナとリザの視線が俺に来ていた。
俺に宝箱を触らせまいとしているのだろう。
分からなくもないんだが、さすがに俺にも学習能力というものがあるんだ。
少しは信用して貰いたい……!
ハルナを先頭に、ダンジョンを歩いてしばらく。
ついに、俺が初めて見る場所に来る。
「これが、2層に行く入り口です」
「おお……」
洞窟の入り口も、かなりおどろおどろしい感じだったが……
その雰囲気が、更に増しているように思える。
「では、行きましょう」
「な、なんか緊張するな」
「大丈夫です。今のユウジなら行けますよ」
「そうです。ユウジさんなら余裕です」
「お、おう」
女の子2人に押され、俺は入り口に足を一歩踏み入れる。
そこは、緩やかな坂が続いていた。
少しずつ。
少しずつ。
俺達は、下へ降りていく。
その先には……!
「あんまり変わらん風景だな」
「まぁ、一層下がっただけですしね」
残念ながら、緊張感の割に拍子抜けしてしまった。
1層と全く変わらないと言って良いほどの光景が広がっていた。
「ま、出てくるモンスターも変わってくるんだろ?」
「いえ、2層はそんなには」
「そうなのか……」
「ですが、障気は確実に濃くなっています。「里帰り」ほどではないですけど、下層に出てくるモンスターが勘違いのように上がってくることがあります。注意してください」
「なるほど。やっぱり、下に降りればリスクは高まるわけだな」
「そういうことです」
ハルナが解説しながら、俺とリザの前を陣取ってくれる。
本当に頼もしい。
「さて、どうあれ最初の玄室です。恐らくこの先にモンスターがいます。心の準備は良いですか?」
「おう、さすがに慣れてきたしな」
「さすがです。では、行きますよ!」
静かにドアを開ける。
すると、その先にいたのは。
《何だ、コボルトか。しかも3だけ?》
《何だと言えるようになっちゃいましたね。でも、油断はしないでください》
《そうです。気だけは抜かないでください》
《ああ、了解……!》
俺はゆっくりとコボルトに近づく。
そして、後ろから一気に剣を叩き込む!
「ギャン!」
悲鳴と同時に塵になって消えていく。
体重が乗った剣の一撃は、確かな攻撃力を持っていた。
残りの2体がこちらに気づく。
「グルルルル!」
だが、それが命取りになる。
「はぁっ!」
「ご、ごめんなさい!」
一瞬で駆け抜けるハルナ。
疾風と共に首が飛び、塵となった相棒に気を取られた瞬間。
1tと書かれたメイスが襲いかかり、コボルトは一瞬で消えてしまう。
「リザ、勢い余って魔石まで潰してますよ?」
「ごめんなさいね。でも、コボルトくらいの魔石なら大したものじゃないし、いいじゃないですかぁ。それとも、ちょっとした小銭も貯めるようなケチンボさんですかぁ?」
「1リムを笑うものは1リムに泣くって言葉、聞いたことありません?」
ニコニコしながら、怒りマークをつけて互いに視線の火花を散らしている。
いやー、ホントこの2人、相性悪いわぁ……
などと考えていると。
「ゆ、ユウジさん……!」
突然、大きな声を上げるリザ。
指は俺の後ろを差している。
その方向に視線を向けると。