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第七話『機密文書』

〈△月○日(金)3時54分〉


 ふれあい広場まではそんなに遠くなく、あっさりとたどり着く。真っ暗な空に、星の輝きを邪魔するかのように輝く遊園地。どこにでもある普通の遊園地のはずなのに、なんだか変な違和感を感じる。まぁ、廃遊園地が輝いている時点でもうおかしいのだが。時計を見るともうすぐ4時になろうとしているところ。

 暑いこの季節は明るくなるのも早いはずなのに未だに暗いのは絶対におかしい。ここは本当に私の知っている世界なんだろうか。

 もしかしたら、私は何かしらの心霊現象に巻き込まれて、死後の国にでも迷い込んでいるのかもしれない。

 ま、そんなのはどうでもいいっか。私の目的は秀樹に会うことなんだから。その目的が達せられるんだったら、後はなんでもいい。

 ミラーハウスが目に見えるところまでたどり着いたのだ。目的を果たすまであと少しというところだろう。もうすぐ、もうすぐ会えるんだ。そう思うと心が躍る。


 私は迷わずにミラーハウスに向かおうとする。でも、あいつが邪魔をする。

 ミラーハウスのを含む三本の道。ふれあい広場から伸びる道は始点が一つになっていてそこから三本に枝分かれしていた。その始点を塞ぐかのように富岡が立っていた。まるで誰かが来るのをまっているかのようだ。今飛び出したら殺されてしまうようなものだ。ここから先は進めそうにない。


 幸い、近づいていた私のことは気づいてないらしい。これはラッキーだったと思いつつ、慎重に行動するよう心がける。富岡にバレなさそうな距離を離れると、私は「ふぅ」と息を吐いた。そして、これからどうするか考える。


 これ以上進めないが、富岡がずっといるとは考えにくい。一定時間が経過したらどこかに行くだろう。それまでどこかで時間を潰そうか。ちょうど目の前に建物がある。きっとあれはレストランだと思う。あそこの奥でジッと待つことにしよう。



******



 時間を潰すために入ったレストランの中はあまりにも酷すぎた。

 内装はボロボロであり、あまり隠れられそうな場所はない。奥の方は厨房らしいが、なにか危険な感じがする。

 でも他に隠れそうな場所がないし、一体どうすればいいんだろう。

 このまま中でぼーっとしていても、いつ富岡がくるかわからない。


 隠れられる場所がないなら、逆にこの場所は危ないかも知れない。一旦離れたほうがいいかも……。


 そう思ったところで地面が沈んだ。まるで家の取り壊し工事のような大きな音が鳴り響き、足元に闇が広がる。そして空を飛んでいるような浮遊感があった。そう、私の足元が崩壊したのだ。


 え……なんで。

 わけがわからなかった。なんで今ここで落ちるの?

 ちらりと下に視線を向けると、真っ暗で何も見えない。もしかしたら私はここで死ぬのかもしれない。そう思うと心がゾッとした。


「嫌だ、嫌だぁぁぁああぁぁあ」


 だけど現実は理不尽で、嫌だと思っても現状は変わらず、私は真っ直ぐ落ちていく。


 でも、ただ暗くてよく見えなかっただけで、底は浅かった。

 ちょっとした打ち身程度で済んだのだ。ラッキーだと思えばいい。見ればすぐ近くに階段がある。多分そこを登れば上に行けるだろう。だけどまだいいかな。ここはいい感じに隠れられそうな場所だから、少し時間を潰すことにしよう。


「それにしても……この場所は一体」


 穴から降り注ぐ微かな光を頼りに周りを確認すると、本棚がたくさんあり、クリアファイルがしまってある。

 私はその中の一冊を取り出した。カバンからライトを取り出して、本の中を確認する。


「こ、これは……機密文書?」


 赤く**機密と書かれていた。一部は汚れてしまって読めない。なぜこの遊園地にこんなものがあるのかわからない。

 多分、あの日記に書かれていた、今ある噂が出る前にあった噂。それが関わっているんだろう。きっとそうに違いない。

 私はこの機密文書を開いて中を確認する。するととんでもないことが書かれていた。


『****を復元す*こと**る死者蘇生に**した実験記録


〈****年**月**日**曜日〉


 我々の実験は次の段階に進むことになる。

 本日、捕虜の一人を被検体とし、*****関する実験を行うことになった。**のメカニズムを解明し、結*と共同*究の末*見し*霊的現象の場で見られる****の発生と*み合わせれば、死者が復活できるかもしれないからだ。

 そのため、一人の少女、名を朽葉くちば百合子ゆりこという。彼女の****て、**触って*応を確かめると、*る場所によって、違う**を見せた。

 苦しそうに歪む顔、快楽に溺れたような顔、楽しそうな顔、様々な表情が見られた。

 人の感情、想い、それは全て*から*生される****であり、本物などそこにはなかった。人が見ている全ては決まった構造によって成り立っており、それを別のものとして再現できれば、人ではない何かが完成する。つまり幽霊とはそういうものなのだ。

 だから我々は、この*女の**を、*をいじくりまわすことを決行する。

 激しく暴れまわるため、台にくくりつけ無ければいけないのは、きっと*****的な部分が*れられていることにより、機能していないのだろう。まだ調査は始まったばかりなので、ゆっくりと進めていく。死者蘇生の実験が成功するのも近いかもしれない』


「つまり、これに書かれている事は、幽霊は死者にすら何かしらの影響を与えてる。それによって死んだ人間が復活できるかもしれないってこと?

 所々読めなくなっているんだけど、多分、綺麗な死体を用意すれば蘇生は可能だと言っているに違いない」


 そう思って、私は機密文書をカバンの中にしまった。もしかしたら、『裏野ドリームランド』が立つ前に、この土地にはとんでもないものがあったのかもしれない。機密文書を読んでいるだけで、そのことが強く感じられる。

 でも、これを見つけられて本当によかった。推測でしかないけど、ミラーハウスに死体を連れて行けば、死者が生き返るかもしれないということだ。


 なんたって、あそこのミラーハウスでは、人が入れ替わったようになる。それは中身、つまり魂が入れ替わってしまったことが原因だ。中身が変わってしまったら、別人のようにもなるだろう。じゃあ生きている人ではなく、死んでいる人だったらどうだろう。

 別の器を用意すれば、そこに秀樹が入ってくれれば、秀樹が生き返るんじゃないだろうか。きっとそうに違いない。ならミラーハウスに行く前に、入れ物を手に入れないと……。でもどうやって手に入れよう。

 いまはそんなこと考えても仕方ないか。ここなら安全だと思うし、少し休もう。

 私は物陰に隠れてカバンを置き、座って休むことにした。

読んでいただきありがとうございます‼

次回もよろしくお願いします‼


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