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私は俺らしく  作者: きのこる先生
序章『いおり・リジェネレーション 』
11/16

第11話 『いおりショッピング』

4/11 ストーリー改変、加筆を行いました。

前略、センスが無いなら、センスのある人に聞けばいいのよ



ここはショッピングモールのとあるショップの中。


着替え終えた俺は、試着室のカーテンを開けた。


「どうかな?」


「いいわね、大人っぽいわ」お眼鏡にかなったようだ

「おお!似合うぞ。馬子にも衣装だな!」それは褒めてないでしょ

「い、いんじゃない⋯凄くいいです」 それはどこを見て言ってるのかな


三者三様だが、概ね好評のようだ。


女の子のファッションに疎い俺は、自分に似合いそうな服を着たマネキンの服をセットで試着する事にした。

いわゆる『マネキン買い』だ。


お母さんに相談しつつ、ショップが用意しているマネキンの服を着てみるのだ。

今来ているのは細身のシャツにスキニージーンズに編み上げブーツだ。

大人っぽくていい感じだ


「じゃあ、これそのまま着ようかな。」


「ありがとうございます。ではタグだけお預かりします。」

店員さんにチョキチョキとタグだけ回収してもらう。


お父さんがお会計を済ませてくれた。


これで2セット目をお買い上げだ。

さて、当面の余所行き用の服は何とかなった⋯あとはラフなTシャツ、パーカー、ジーパン、スニーカーが欲しいところだ。

お父さんが「軍資金ならある」と言っていたので、有難く服を買ってもらっているのだ。

逢妻家はデカいから大丈夫 うん。


あ、そろそろお腹空いたなぁ


「ボクお腹空いた〜。」

悠人が昼食の提案をしてくる。ナイス!


「そうだな⋯じゃあ、中華の食べ放題でも行こうか。」


「食べ放題!?」

目が輝いてる 俺の目が!


「あぁ、ここに最近出来たお店なんだけど、中々美味しそうだったからな〜。」

お父さんが目を付けてたのなら期待できるね!


「いいね!ボクも中華の気分。」


「私も賛成よ。」


満場一致で、逢妻家は中華料理の食べ放題へと向かったのであった。




□□昼食後□□


少々並んだけれど、美味でありました。

特にお肉料理が美味しかったですねぇ


この体は胃袋も男と大差ないので、あまり量を気にせず食べられるのは有難かった。


さて、午後からの買い物だが

「ボクはゲームとか見に行きたいな。」

という提案もあったので、今度は男女に別れて買い物をする事になった。


「それじゃあ5時頃に正面入口で!」

お父さんと悠人はメンズショップやホビーを巡るようだ。


「はーい、また後でね〜」

依織()とお母さんは下着から廻るつもりだ。


そうして俺達はランジェリーショップまで来たのだが⋯


「う⋯」

やはりインパクトというかこの『下着しか売ってません感』には圧倒される。

男だった時も入ったこと無いし、そんな機会にも恵まれなかった。


「どうしたの?」


「な、なんでもないよ。」

虎穴に入らずんば虎子を得ず


いざ!


「うわぁ⋯。」

ついつい、キョロキョロ見回してしまう

落ち着かない


「すみません 。この子のバストサイズ計ってもらえますか?」

お母さんが店員さんを捕まえる。


「かしこまりました。では、奥へ、どうぞ。」


店員さんへ連れられ、俺は魔境の奥へと進んで逝く。


試着室の前で測るようだ。


「服はそのままでいいので、バストサイズを測っていきますね。」


「は、はい」


「あんまり力まずに、リラックスして下さい。」

お姉さんは、にこやかに服の上からサイズを測っていく。


「はい、大丈夫ですよ。今使っているブラジャーのサイズは分かるかな?」


「ええと、 今はD-65です。」


「あら⋯? 随分前に作ったのかしら、今のサイズだとG-65かF-70になりますね。」


「え?」


「前に使っていた物では、随分窮屈だったと思います。」


「確かに⋯かなーりキツかったですね。」

詰め込んだ感あったし、ぱっつんぱつんだったけど、そういうものかと


「では、サイズが合うものをお持ち頂いて、試着される。というのはいかがですか?」


ふむ、そだね 適正サイズの着け心地とか分からないし


「お母さんに聞いてみます。」

とりあえず、お伺い立てる


「はい、ではG-65かF-70で気に入った物があれば、お声かけくださいませ。」


「ありがとうございます。」


えーっと、お母さんは いた


「お母さん、サイズ測ってもらったよ。それで、試着してみたいんだけど、いいかな?」


「いいわよ、サイズはいくつだったの?」


「G-65かF-70だったよー」


「あら、去年の冬から成長したわね」


「お母さんの遺伝子だと思うんだけど⋯」

ジト目で見上げる


「そうね、私も中学生くらいの頃には苦労したわ⋯本当にね。」

やれやれと肩を竦めるお母さん


「やれやれ じゃないんだけどなぁ⋯」


俺はとりあえず、その辺にあるテキトーな下着を手に取る。


地味なものから派手なものまでかなり種類があるけど⋯ん?


「えっと、このハンガーのタグを見ればいいのかな?」

アルファベットと数字が書いてある。C-75


「そうよ、この数字で自分に合うのを探せばいいのよ。」


「んー、でも見当たらないんだけど⋯」

G-65とかF-70なくない?


「大きいサイズって、あんまりデザイン選べないのよね〜。」

困ったわ とお母さん


あ、奥の方にあった


「え、大きいサイズ高⋯くない?」

下着そのものも高いし、大きいものは他のサイズよりも高い

マジか⋯


「そうなのよね〜。あ、コレとコレも試着してきなさい。」

お母さんも見つけてくれたようだ。


「はぁい。」

F-70も2つね


「お決まりですか?」

店員さんスタンバってましたね


「あ、はい。この四つです。」


「店員さん、ついでに、娘に正しいブラの着け方をレクチャーしてあげてくれない?」

お母さんが店員さんにお願いしてる。

ブラに正しい装着方法なんてあるのか⋯


「はい、かしこまりました。」


「よく分かんないので、お願いしまーす。」

聞くのは一時の恥、聞かぬは一生の恥って言うし⋯デジャヴだ。


「では、こちらへどうぞ。」

少し広い試着室に一緒に入る


ゴソゴソ

「よいしょっと」

すぽーんと脱いで上だけ裸になる。シュールだ


「いいな⋯では、失礼致します。」


ん?何か言われたかな?


「まずは、後ろのフックを手前に持ってきて、前でホックを引っ掛けてしまいます。」


なん⋯だと

こんなやり方があったのか


「次に、カップ側を前へ持ってきます。アンダーテープはあまりキツくない方が楽です。あとは肩紐をかけて⋯指が1本入るくらいでアジャスターを調節します。そうしたら、胸を下に向けてもらえますか?」


下?


「この体を倒した姿勢で、脇や背中から肉をこう⋯ググッと寄せてっ⋯寄らないですけど」

「ひゃー」

背中からお肉を胸に寄せて、そのままカップに収めるといった感じだ。

依織()の場合大して寄らないけど


「はい、こんな感じです。着け心地はどうですか?」


「おお⋯なんて言うか、フィット感あるし、キツくないし、何より跳ねても揺れないし快適です!」


パット入りタンクトップは緩くて非常に楽な反面、走ったりすると揺れて痛いし、安定感が無いのだ。


そんな感じで二種類ほど試着したが、メーカーなんかの違いもあって、G-65とF-70両方合う感じだった。



「いやぁサイズに合った下着って大事なんですね⋯。」

しみじみ⋯


「はい、サイズが合わないと痛くなったり、胸の形が崩れてしまったりするんですよ。」


「ひえ、サイズ変わると大変だなぁ⋯」


「依織ちゃん、どうかしら?」

お母さんがカーテンの向こうから声をかけてきた。


「うん、いい感じ!前のやつ結構キツかったから、凄く楽だよー」


既に服を着ているので、カーテンを開ける。


「それにしても羨ましいです⋯。」

悲しそうに自身の胸を眺め、ため息を吐く店員さん。

うん、控えめに言っても豊かではないかな


コメントしずれぇ⋯



そんな感じで下着を数点購入したのだった。


「ありがとうございました〜!」


店員さんが落ち込む一幕はあったが、俺は自分に合った下着を入手できた。


「お母さん、ありがとね!」


「いいのよ、成長著しい娘の為だもの♪」


「成長著しい は余分。」

ジト目で見上げる


「さ、次はどこに行きたい?」

サラッと受け流される



「ん、普段着とかスニーカーが欲しいかな。」

今履いてるような女の子の靴は非常に動きづらいのだ。

やっぱり普通の運動靴とかスニーカーがいいよね


「じゃあ、行きましょうか。」


「うん!」




ーー15:50ーー


「はー⋯結構買っちゃったけど大丈夫だった?」


「大丈夫よ、お父さんが今日の日のために用意した予算だもの。」

お母さんが財布を振ってみせる


「ありがたや〜」

両手をすり合わせる


俺とお母さんは買い物を終え、待ち合わせ場所付近のカフェで優雅に休憩中といったところだ。


「それにしても、随分趣味が変わったのね。」


「えへへー、大人っぽくなったでしょ!」


俺が選んだのは、ジーパンやショートパンツにシャツ、タンクトップにパーカーなど、控え目に言ってもアピール()を活かすスタイルだ。

今までの甘い少女チックな服とは逆の方向だ。

タイトで体のラインが出る野性的でナチュラルなスタイル。

依織の劣等心(コンプレックス)を元男の俺は逆に活かす作戦に出たのだ。


「そうね、今の依織ちゃんに良く似合うわ。」


今の俺はシンプルなヘアゴムでポニーテールにしている。


「そそ、私もこれならいいかなーって」

俺はもしゃもしゃとタルトを食べながら頷いた。

ああ⋯幸せ⋯♡


「ほら、口元 クリーム付いてるわよ。」


「ん」

ぺろりと舐めとる。


「もう⋯お行儀悪いわよ?」


「てへぺろ」


「可愛いから許す。」

いつものお母さんに戻ってますやん



お母さんと楽しくお茶を飲んでいると、そこへ

「なっちゃん、お買い物は終わったかな?」

お父さんの登場だ。

座った姿勢から見上げると壁みたいだな⋯


「お姉ちゃん、来る前と何かガラッと変わったよね」

悠人もひょっこり後ろから出てくる。


「イメチェンだよ、いいでしょー」


「前とのギャップが強すぎて同じお姉ちゃんだとは思えないよ⋯」

まぁ実際中身は別人だしな


「お父さんありがと♪とっても嬉しいよ!」

ウィンクしちゃう


「うん、依織も一層綺麗になったからパパも嬉しいぞ。」

だらしない顔してるなー チョロすぎるでしょうに


「ふふ、依織ちゃんもすっかりお上手ね」



合流した逢妻家一行はモールを出ると、車へと戻る。



「さて、これから少しドライブだ。」

「ごーごー!」


「どこに行くんだっけ?」

夜は外でご飯を食べるとは聞いているけど⋯


「それはヒミツよ♪」


お父さんは車を走らせる。



「お姉ちゃん、ちょっと目隠しつけてて」

アイマスクを渡してくる悠人


「ふふ、ちょっとしたサプライズよ。 ほら、掛けてあげるわ。」


「しょ、しょうがないなぁ。」

口ではそう言いながらもワクワクしてに口元がやけてしまう


ーー視界が暗闇に包まれて10分くらい経っただろうか



「依織、着いたわよ。降りるから、手に捕まって。」


「まだ目隠しは取っちゃだめだよ。」


「はいはい、よいしょっ わぁ!?」

車を降りると ふわっと抱き抱えられる お姫様抱っこだ。


「ここからは俺が抱っこして運ぶよ。依織、あんまり暴れないでね。」


「う、うん」

俺は大人しく運ばれるがままだ。

潮の匂いと水の音 海かな?


少し歩くと カツンカツン⋯と階段を上がっていく


え?階段? もしかして船?


船の中は賑やかだ、様々な言葉が飛び交う⋯英語も聞こえるな



また外に出た⋯

「依織、ゆっくり降ろすからね。立てるかい?」

お父さんは腕の中から優しく降ろしてくれる。


「うん、大丈夫。」


「目隠し外すよ えい」

シュルっと目隠しが外される。

一瞬眩しさに目を細める


目が慣れてくるとそこは__夕焼けの甲板だった


「わぁ⋯!!」


そこは豪華客船の甲板だった。

目の前には色とりどりの料理が並べられている。


「すごい⋯」


「今日は海の上でパーリィだぞ!」

「依織ちゃんの退院祝だもの。特別な場所でね♪」

「皆でパーティだよ!」


「「「退院おめでとう!!」」」


「みんな⋯私の為に⋯ありがとう!大好き!」

感激のあまり叫ぶ!

凄い 凄い! こんなサプライズ初めてだ!


こうして逢妻家による俺の退院祝いもとい、歓迎会は寄港した豪華客船の甲板で盛大に行われたのだった。

客船の乗客にもお祝いされてたり、花火が上がったり、どんちゃん騒ぎだった。


勿論パーティ料理も楽しんだ。

お母さんが撮った写真には、お肉片手にはしゃぐ依織の姿が写っていた。


その日は船の中で泊まったのだった。


□□逢妻家の女性組船室□□


「はぁ~楽しかったなぁ♪」


お風呂も終え、船室のベッドで寝転がってのびのびしている。

お母さんはお風呂に入っているところだ。


俺は豪華客船でのパーティなんて初めてで、エキサイトしてしまった

年甲斐もなく⋯いや、今は年相応かな 凄く楽しい時間を過ごせた。


「お父さん⋯色々企画してくれたんだな。」


退院が決まってから、急いで今日の為の準備をしてくれていたんだとか。

お父さんが退院の時に居なかったのは、コレの仕込みと打ち合わせだったのだ

「嬉しくてニヤニヤしちゃう」

こんなに自分の事を祝われたことは無いのだ

何もかもが初めてで、驚きだった。

浮かれてるな とは思うけど止められなかった。


逢妻家は裕福だし、依織の体は何を食べても美味しいし、本当に幸せだ。


思い返すと、まだ女の子になって5日目なのだが、随分と慣れた気がする。

女の子になって大変なことは多いけれど、慣れてくると楽しいし

まだ作法が雑だとか、座り方に気を付けなさいとは言われるが⋯概ね訓練も楽しくこなせている。

お母さんのお陰だ


比べるのもアレだけど、社畜やってた頃より絶対に楽しい人生だ。

生みの親もいない親戚も既に他界した孤独な男の__


「⋯⋯いかん いかん。男の頃の事は考えると暗くなる。やめよう」


今の俺は健康的で成長著しい美少女なのだ。

そう、今 幸せなんだ!

俺は強引に思考を切り替える。

「明後日から学校かぁ⋯中二の学力なら余裕だけど、人間関係とかはなぁ」


いくら2周目の中学校(母校)とはいえ、女子としては未知だらけなのだ。


「ま、何とかなるか」



俺はまだ知らなかった


参州学園中等部で、依織(彼女)が置かれてた状況を


4/9 アップデート関係での改変、加筆しております。


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