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淫魔の御付き  作者: aono
第一章 現
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第3話 巫女の血筋



俺は何かしらの能力を持っているのだろうか?

祖母の能力は遺伝で受け継がれるものなのだろうか?

様々な疑問を胸に、俺は起き上がり、膝立ちでかえでさんに詰め寄る。

「どうなんですか、かえでさん!」

誰もが一度は夢見るであろう超能力や魔法。

ある種の憧れめいた期待と緊張を持って、俺はかえでさんに掴みかかるように問う。

「お、落ち着いて透弥君、--ちゃんと話すから……」

かえでさんの困惑した態度を見て、俺は少し冷静さを取り戻す。

「すみません、つい……」

「いいのよ、話すのを忘れていた私が悪かったわ」

かえでさんは俺の態度に気を悪くするどころか、逆に殊勝な態度をとった。天使かな?

「私にも何かあるのかしら?」と、母。

「ええ、それを今からお話します。……透弥君的にもマッサージは後にした方がいいでしょうし」


再び俺と母、かえでさんは畳の上で座り向かい合う。

「単刀直入に言うわ。透弥君達はいわゆる巫女の血筋の家系よ」

巫女……?

「巫女っていうと神社とかにいるアレですか?」

俺の親戚に神社に関係のある人なんていたっけ?

「あっていると言えばあっているけど、現代日本の巫女とは少し違うわ」

「と、言いますと?」

「現代のいわゆる『巫女』はなろうと思えばアルバイトなんかで簡単になれるの。特に資格も必要としないしね。それに対して透弥君達『巫女』は、神様の言葉を聞くことができるの。シャーマンと言ってもいいわね」

……イマイチピンとこない。

「えっと、それってどういう……?」

「簡単に言うと透弥君達には神様とのご縁、つまりご加護があるわ」

「加護っていうと、何か危険から守ってもらえる、みたいな……?」

かえでさんは首肯した。

「そうね。ーー透弥君、運が良いと思ったことはない?」

「ええと……。あ、ありますあります」

昔から何故か運が良いのだ。

いわゆるクジ運があるわけではないが、ここぞという場面で外さない勝負強さが、ーー運が俺にはあった。

「巫女の家系はオイシイ思いができるのよ。そのご縁を大切にしなさい」

「ーーはい!」

かえでさんから優しげな眼差しを注がれながら、俺は首肯する。



「……あの、それで俺の能力っていうのは……」

肝心なことを聞き忘れるところだった。このまま話を終わらせてたまるか。

「あー……それなんだけど」

「はい」

「えっと、その……」

「はい」

「うぅ……ゴメンね、わからない、です」

「はい」

は?

いやいや、ここまでいってそれはないだろ。

かえでさんの口ぶりからなんとなく、いい辛そうなことはわかってた、が……。

「透弥、顔が怖いわ」

母に窘められる。まあ当たり前だ。

 「あー、いや、わからないなら別にいいです、はい。気にしてないんで、ホント」

 「ゴメンね、変に期待させちゃって……」



 何か能力があるのかわからなかったが、ともあれ、神様とのご縁があると言われて悪い気はしない。神様などの超常的な存在がいるとは本気で信じてはいないが。まあ、いればいいなあ、といった気持ちだ。

 この後はかえでさんのマッサージを心ゆくまで堪能して、俺は母と共に帰路についた。

 

 





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