表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/21

8話 闇夜に浮かぶ緑瞳

数少ない乏しい灯りが、不気味な闇を漂わせる車両トンネル。

そんな中、走って逃げ出した幽霊ーー露草菜乃(つゆくさなの)の父親は、その男の声に立ち止まる。


「お前はもう死んでるんだ。人間みたいな事を言うな」

男はうっすらと見える闇の中で舌を鳴らし、瞳を緑色に変える。

声から感じる若さから、高校生くらいの少年であると感じ取った菜乃の父親は、見下した態度で言い返す。

「何だと!?子供が調子に乗るなよ!その緑の瞳……!お前もその若さで死んだのか!?ご愁傷様な事だな……!」

男はそう言って、闇の中へと姿を溶け込ます。

霊力発動ーー『インビジブル』

スーッと姿を消し、行方を眩ませる。

けれど緑の瞳の少年は、鋭い目付きで力を放つ。

少年は腕を真横に、大きくその場で振るう。刹那ーー

バチーンと鋭い音をトンネル内に響かせて、まるで見えない鞭状の刃で切り裂いたような切り跡が、トンネルの壁に刻まれた。


「お前らと一緒にするな……!反吐が出る……!」

次の瞬間、透明になっていた幽霊が浮かび上がるがーー身体が上下分かれた姿で浮かび上がった。

「な……に……!死にたくな……い……」

切られた菜乃の父親は、サラサラサラと煙になって消滅した。

少年はそれに背を向け、表情を変えることなくゆっくりと歩き出すのだった。

「僕を、お前達死に損ないと同じ土俵に立たせるな……!」

しばらく歩き、トンネルの外へ出た所で、月明かりに照らされていたもう1人の男が、少年に向けて笑顔で話しかける。

「今晩も幽霊退治ご苦労様ですクソ坊ちゃん。怖さで泣きわめく貴方を見たかったのですが、相変わらずのムッツリ顔でしたねぇ」

20代前後であるその男は、明らかに年下の少年に敬語を使っているのだが、笑顔で嫌味を台詞に混ぜる。

男は常に満面の笑みを絶やさない。しかし闇夜に浮かぶ違和感は、不気味な笑みだけではない。

クソ坊ちゃんと呼ばれた少年は瞳の色を元に戻し、冷めた口調で指摘する。

「室槙……毎回思うが、何故お前のその普段着は何時も浴衣なんだ?そしてその呼び方を止めろ」

月明かりしかない線路の上に、何故か浴衣姿で現れていた青年は、景色から完全に浮いていた。

室槙(むろまき)と呼ばれた、違和感全開の浴衣青年は笑って言い返す。

「これが私のトレードマークです。決してキャラ作りではありませんよ。それより貴方は、毎日毎日幽霊退治をしてますが、一体いつまで続けるのですか?」

それを聞かれ、少年はふっと笑う。

「愚問だな室槙。僕の目的は2つ……1つは全幽霊の殲滅。この世に無数の幽霊がいるなら、僕はその全てを滅殺するだけだ……!」

拳を強く握り締め、怒りを震わせる

「……もう1つは?」


「……もう1つ……それは、『犬神渉』を潰すこと……!」

8話ご愛読ありがとうございます!

謎の2人組……この2人が、今後の物語を大きく動かしていきます!

幽霊の敵……しかし渉の敵!?一体何者なのか!?


今後もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ