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5話 幽霊に立ち向かう必殺武器

怒り狂う幽霊接近まで、あと1メートル。

ニールと菜乃を守るように、俺はある秘策を取り出して立っていた。

「これがあれば負ける気がしない!対幽霊の必殺武器!」


小刀。鞘から抜くと、鋭い鋭利な刃物が光に反射して輝いていた。

けれどーー菜乃の父親は、怯むことなく接近する。

「小刀だ!?そんな物は、幽霊の僕に効くはずがない!」

先程自身で首に親指を突き刺したように、おそらく刺すや切るなどといった攻撃は、幽霊には通用しないのだ。

それを分かっているから、怯むことなく接近する。

しかし俺は、これから繰り出す攻撃に絶対の自信があった。

「じゃあ喰らってみなよ!」

接近を許した俺は、鞘を捨て、サッと小刀を逆手に持ち替えーー

「死んで味わえ!幽霊の苦しみを!」

菜乃の父親が叫びながら拳を振るう。それを懐に潜る様に交わしーー

「あんたが人間捨てた時点で、もう勝ち目はない!諦めろ!」

ーードスッ。

逆手小刀を、幽霊の腹部目掛けて突き刺した。

次の瞬間。


「ウガぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

出血は無いものの、小刀を刺した瞬間菜乃の父親が苦しみ出す。

刺さりが浅かったのか、転倒した拍子に抜け落ちる。

腹部を抑え、小刀から離れるように引きず去った。

「何だ!?ただのナイフじゃないのか!?」

俺はゆっくり小刀を拾って回収し、見下ろすようにネタを晒す。

「この小刀の刃は、お前達幽霊の天敵ーー『銀』で出来てるんだよ!」


見ていた菜乃が、隣のニールに尋ねる。

「『銀』……!?それが、幽霊の弱点!?」

「うん。何故かボク達幽霊は、あの銀を触れると霊がこの世から引き剥がされていくような……そんな苦しみに襲われる。出来ればボク、銀なんか見たくもないよ」

「そうなんだ……十字架とかニンニクが弱点なのかと思った」

「……それ、ドラキュラじゃない?」


菜乃の父親が、ゆっくりと立ち上がる。

するとその時、騒ぎに駆けつけた車掌が、向こうのドアーー運悪くも、幽霊が背にするドアから現れた。

「大丈夫ですか!?これは一体!?」

咄嗟に菜乃の父親は、振り返って車掌のづ骸骨を叩き殴る。

「邪魔するな!」

激しい音とともに、車掌の身体は壁に激突して崩れ去った。

なりふり構わずに暴れる父親を見て、菜乃は泣きながら俺に頼み込む。

「お願い渉!パパを……!パパを助けて!」

見てられないのだ。

これ以上、菜乃にあんな父親を見せたくない。

「もちろんだ!すぐに楽にしてやろう!」

覚悟を決め、小刀を再度握り締める。

今度は、俺が仕掛ける番。銀の小刀を、突き立てるように駆け出した。


「……武器を持ったからって、いい気になるなよ……!所詮人間は、幽霊には勝てないんだよ渉君!どこのホラー映画でもそうだ!人間が、1人の幽霊に次々と消されていく……それがお決まりのパターンだ!」

幽霊の男はそう言ってーー

見せていなかった、圧倒的異能力ーー『霊力』を見せつける。

俺は菜乃を苦しみから救うために、勝負を急いでしまった……いやーー

俺は幽霊の弱点である銀の武器のおかげで、幽霊より優位に立っていると思い上がっていたのだ。

その油断から、つい幽霊の持つ『霊力』の存在を警戒していなかった。

ーーしまった!

そう思った時には遅かった。


幽霊の瞳の色が、透明に変わる。

『インビジブル』

刹那。菜乃の父親の姿が忽然と消え、俺の小刀が空振りした。

「何!?消えた!?」


ドタドタドタ……!

謎の足音が遠ざかっていくのを聞こえていた。

透明なって姿を消したあいつが、逃げて行ったのだ。

くそっ!透明になれる霊力かよ……!幽霊らしい異能力ではあるが……!

このまま菜乃の父親を逃がしておくわけにはいかないのだ。

けれどニールは、能天気に笑って言った。

「逃げて行ったんならよかったじゃん?ボク達誰も怪我してないし」

「バカ!このままだと、他に被害者が出るだろうが!幸い、終電車って事で乗客が極めて過疎ってるから良かったものの……それでも人は乗ってるんだ!」

それにこのままだと良くない事がまだある。

もうすぐこの列車が、終点に辿り着くであろう時間なのだ。

透明幽霊なら、他の乗客に紛れて簡単に逃げ伸びれる。

俺はニールの腕を掴み、直ぐに透明幽霊の後を追う。

「追うぞニール!」

ドタドタドタドタ……!

逃げていった方角の、最初の号車にたどり着いた所で、俺はその異変に気が付いた。

思わずニールを掴んだまま立ち止まる。

「どうしたの渉!?早く追わないと!」

人が1人も乗ってない空号車。しかし気になった点はそれじゃない。

人が1人もいないから、これは本来おかしいのだ。

「……ニール。『キャンセル』発動の準備を頼む」

「え!?だから菜乃のお父さんは向こうに逃げてーー」

そこまでニールが言った所で、俺は確信を持って言い返す。


「いや……!透明幽霊はこの号車にいる!」

5話ご愛読ありがとうございます!

読んでて楽しい!そして書いてて楽しい作品になっているんじゃないかなって思ってます!w

次話は、とうとう序章の新幹線幽霊事件の最終局面です!

これからもっと、渉とニールの物語が盛り上がりを見せること間違いなしです!

6話もよろしくお願いします!

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