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4話 取り消す力

「全く聴いてられないよ。ちょっと代わって渉」


ニールは呆れ顔でそう言って、俺を退かして前に出た。

高速で迫り来るアタッシュケースにも微動だにせず、ニールはスッと右掌を向けて立ち向かう。

俺はそんなニールを見て、ほくそ笑む。

ーーあんな腰抜け幽霊に見せつけてやれ。お前の力を。

ニールはスーッと息を吸いーー

掌に願いを込めて唱えた。


『キャンセル』


刹那。

アタッシュケース接触直前に唱えたその力。激突が免れない速度で投げられたはずのケースが、ニールの掌に触れる直前その場でピタッと静止し、何事も無かったかのように地に向かって落下した。

投げた本人が混乱する中、ニールはドヤ顔で台詞を吐き捨てた。

「『激突の衝撃をキャンセル』したの。ボクにそんな攻撃は効かないよ」

ニールの持つ異質の能力。物事を取り消す力『キャンセル』。

それはある人物のみ持つ事を許されるーー異能力。

菜乃の父親は、ニールの能力に驚いた表情を見せたが、すぐに満面の笑みへと表情を変えた。

「ハハハ……!それは間違いなく霊力……!そうか……!お前もか!お前も『幽霊』か!」

1人その事実に初耳だった菜乃は驚いているが、俺はニールが『幽霊』で、もう既に死んでいる女の子である事は知っていた。


俺が以前ニールから聞いたことのある知識はこうだ。

霊力ーーそれは誰もが秘めているという異能力。俺も当然持ってこの世に生まれているらしい。しかし多くの人が、その異能力の存在すら知らずに一生を終えるのは、肉体というリミッターが能力発動の邪魔をしているらしいのだ。

けれど死んで肉体が亡くなった霊だけの存在である幽霊は、その異能力の発動を自在に操る事が出来る。

幽霊が扱う異能力ーー霊力だ。


「そうだよ。ボクは『幽霊』だ。2年前、事故で死んじゃった」

それを聞いた菜乃の父親は、頭を抱えて言い返す。

「なら君は僕側の存在だろ?何故生前の人間なんか助ける?そんな恐怖も何も無い、能天気に生きてられるそいつらなんかを」

これが、一度死を経験した者の、他人の見方だ。

あの優しかった菜乃の父親だが、ここまで人格を狂わせる。

けれどニールは堂々と笑っていた。

一度死を経験したニールだが、笑って言い返すことが出来た。


「確かにもう一度死ぬのは怖いけど……!けど!ビクビクして今のこの幸せを逃したくないから!」


ニールはそう言って、一度こちらを振り返って微笑んだ。

俺はその笑顔で確信した。ニールは他の幽霊とは違うんだ。

隣の菜乃に言い聞かす。

「菜乃大丈夫。ニールは俺達の味方だから」

それを聞いた菜乃は、初めて安心したような表情を変えたのだ。

「知ってるよ。ニールちゃんは私のお友達だもん。渉も、私の味方だよね?」

俺は即答で首を縦に振った。

そんな俺達の光景を見ていた男は、怒りを頂点にーー

「菜乃お前ー!パパの言うことが聞けないのか!」

拳を握り締め、こちらに向かって急接近。殺気がひしひしと伝わってくる。

けれど俺は菜乃の味方だからーー

ニールに護ってもらってばかりじゃ気が済まない。

今度はニールを退かして前に出る。そんな俺を見て、ニールはクスクスと笑っていた。

「何カッコつけちゃって。渉の足、震えてるよ?」

「うるさい。そういうのは言わないもんだろ」


俺は接近する幽霊に対しての、取っておきとも言える秘策を、ズボンポケットから取り出した。


「これがあれば負ける気がしない!対幽霊の必殺武器!」

4話ご愛読ありがとうございます。

ニールの霊力『キャンセル』それは、この物語のキーパーソンです!

幽霊に対して渉は、とっておきの秘策を取り出します。

その秘策とはーー!第5話も引き続きよろしくお願いします(๑•̀ㅂ•́)و✧

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