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13話 双方の戦力

セレラと翔琉は、今の攻撃が味方からの援護攻撃であることを知っているから、余裕の笑みを浮かべるのだった。

「相変わらず、いい仕事しますねあの人は」

セレラがそう言った所で、翔琉はマンションのベランダから飛び、セレラの隣に綺麗に着地する。

「当然だ……音の無い攻撃……それをやれるのはあいつしかいない。目には目を、歯には歯を……!今まで散々人を怖がらせた罰だ。今度はこちらが、たっぷり恐怖を与えてやる……!」



同時刻。

その場から離れたビルの屋上。

見渡しがいいビルの屋上なのだが、距離があって翔琉達の様子がはっきりと見えない。翔琉達側からもそれは同じく、その屋上の様子を目視では確認出来ない。そういう距離にそびえ立つビル。日が落ちていれば尚更だ。

そんなビルの屋上で、ある物を構えた少年が呟いた。

「当たった」

小柄で、小学生と言っても通用するであろう身長だが、中学三年生の幼い少年。頭の大半を、大人用のヘッドホンで覆っている。

少年ーー無情燐音(むじょうりんね)は、幼い体に似合わない物を持ち構える。

狙撃用のスナイパーライフル。

映画やFPSなどでよく見かけるライフル銃。自分の体より大きく、それを支え、スコープ越しで敵を覗くその姿は、不相応な違和感を醸し出している。

それを隣で、浴衣姿の青年がケラケラと笑う。

「相変わらず、お子ちゃまがライフル構えてると笑えてきますね。玩具じゃないんですよ燐音さん」

この男はいつもそうなのだ。笑顔というよりは高笑いして相手を馬鹿にする。

それでも燐音は、無表情のままボソッと言い返す。

「黙って室慎(むろまき)

室慎(むろまき)と呼ばれた青年は、何故か和服姿で街を歩く。自由奔放。メンバーをイラつかせる天才なのだが、これでも『アレスト』の1人だ。

「黙ってと言われても困りましたね。笑いが止まらないんですから」

ケラケラケラ。


次の瞬間、燐音の瞳色がーー灰色へと変化する。

そして右掌を、高笑いする室槙に向けた。

ケラケラ……

……

室慎の『声』が森閑とする。


それでも自身の腹を抱え、口を開けて笑っているのだが……

笑い声は静止した。

これが燐音の異能力なのだ。

けれど能力の持続可能条件は掌。狙撃作業に戻るには両手が必要なので、諦めて室慎の事を無視することにした。

……ケラケラ。

「おやおや。真面目ですね燐音さんは。仕方ないですね。燐音さんには頑張って早く仕事を終わらせて頂いて、帰って秋花さんにケーキでも焼いて貰いましょうかね」

「働いて」

燐音の一言で、室慎はやれやれと重い腰をようやく上げるが、「お腹が空いて力がぁ」と直ぐにまた座り込んだ。


「しかし、『ドッペルゲンガー』が相手ですか……厄介ですね。ハハハ」



翔琉の姿を偽っている幽霊が、弾き飛ばされた左脚部分を、残った片腕で抑えていた。

音の無い攻撃の正体。偽者は、1つの可能性を考えた。

「おいおいおい……!もしかして俺様は今、狙撃されたのか……!?けれど……!」

どんなに高性能の消音器をつかっても、弾丸が風を切る音だけは誤魔化せない。それの答えが分からないでいたのだ。

音を完全に消す。それが不可能である事を知っているからーー

「手前らもしかして、俺達と同じ幽霊か!?」

「一緒にするな!!虫唾が走る!!」

翔琉は即答した。悠里を殺した幽霊なんかと……同じにするな……!と。


少女の幽霊が、もう1人の幽霊と近づいて合流する。無音の援護射撃が、幽霊2人にとって大きな障害。戦いはそれだけで不利。

「遠距離射撃……!部が悪い!ここは退くぞ!」

翔琉の偽者は、左掌を少女の幽霊に差し出した。

「タッチだ!」

少女の幽霊は頷いて、その左掌を触れた。

するとーー無くなっていた右手左足が現れ、髪が伸び、顔や身体が変身変化。

一瞬で、隣にいる少女の姿瓜二つに変身した。

五体満足。動きが戻ったドッペルゲンガーの幽霊は、ニタァっと笑う。

霊力の詳細は分からないが、触れた相手の容姿をコピーして変身というものらしい。少女の幽霊の容姿データをコピーしたので、少女の右手左脚を引き継いだ。

それを真近に見ていた、セレラはぼそっと呟いた。


「まるで、トカゲみたいですね……」

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