1話 始まりエクスプレス 挿絵あり
2作目連載となりました!ありがとうございます鉄飛行機です!!
『Silent Syndrome』(サイレントシンドローム)は、私が中学生の時考えていた最初の物語なんです。『サイキッカー辛過ぎワロタ』で学んで培った想いやスキルをーー全力をこの作品にぶつけようと思います!
是非多くの人の目に触れると嬉しいです!
「お兄……ちゃん……!最期に、私の……お願い、を……」
俺の一つ年下の妹ーー犬神悠里が、この言葉を途中で息を引き取った。
2年前。街に現れた謎の通り魔に刺され、悠里の人生は強引に幕を閉じた。
まだ中学生だった俺は何も出来ず、ただ冷たくなっていく妹を抱き抱える事しか出来なかった。
俺はその日を、忘れた事は一瞬もない。
悠里の最期に言い残したかった願い……俺はその答えを探している。
※
「おーい渉。ねぇってば渉。かまって渉」
俺を隣でしつこく揺らす少女は、俺が返事を返すまで名前を呼び続けている。
そんな俺ーー犬神渉は、どうやら眠ってしまっていたらしい。いつの間にか、昔の夢を見ていたようだ。
……また、あの時の夢。
2年経った今でも、あの時の哀しみは消えない。たった1人の妹だったから、思い出す度辛くなる。
夢の余韻に浸っていた所だったが、隣の少女はお構い無しだ。
「ねぇわーたーるー!起きてよー!」
「うるさいな!もう起きてるよ!大人しくしてろよ!」
腰掛けている座席。窓の外で動く景色。そして周りをキョロキョロと見渡して思い出す。
そうだった……俺達、新幹線に乗ってたんだった。
それにしても、この号車乗ってるの俺達ともう1組だけかよ。まぁ、終電だしこんなものか。
「なぁ、俺どれくらい寝てた?」
隣で駄々をこねて座っていた少女に尋ねる。
「えっ?うーん。1時間半くらいかな?まったく、寝るとか有り得ないよねー。ボクと遊んでくれなきゃ」
「あのなぁ……俺疲れてんだよ」
「じゃあ寝ながら遊んでよ!」
「そんなサイキッカーじゃあるまいし……」
「遊んで遊んで遊んで!」
一人称『ボク』の少女。長髪で腰まで伸びた髪色は、紅の赤。そして中学生と見間違える幼い容姿。
「……ほんとお前って子供だよな」
俺は思ったことを指摘するのだが、赤髪の少女はいつも決まって言い返す。
「失礼な!ボクは身長小さいだけで、渉と同い年の16歳だよ!」
今でも信じられないが、少女は高校2年生である俺と同い年だ。
号車の最前席に座っていた俺達2人。
そのずっと後ろで座っていた2人組の内1人が、立ち上がって隣のもう1人に話しかけた。
「私ちょっとお手洗いに行ってくるわ」
そう言って前にあるお手洗いに向かって歩き出す。
ふらつかないように、左右の座席に掴まりながら前へと進む。
そしてすれ違おうとした所で、俺はその少女と目が合った。
ショートヘアーで、全身黒の礼服姿の少女。
俺は直ぐに少女が知り合いである事に気づき、向こうも俺の顔を見るなり名前を口にした。
「渉!?どうしたの!?旅行!?」
「菜乃!?すげぇ奇遇じゃん!」
露草菜乃ーー少女はただの知り合いではない。
同じ学校の同じクラスで、中でも一番仲のいい友達。普段から放課後や休日も、予定があれば会って遊ぶ仲。
菜乃が同じ車両で乗り合わせていたことには驚いだが、今まで何処に行っていて何の用事だったのか……それは前々から聞かされていた。
黒の礼服ーーそれが今までの様子を伺える。
適当に会話を交わし、菜乃は思い出したようにお手洗いへと向かった。
隣に座っていた赤髪少女は、気になって俺に尋ねる。
「ねぇ渉ー。菜乃はどこに行って何していたの?真っ黒なお洋服なんか着て」
「ん?あれは礼服。実家に住んでた菜乃の親父さん……先日亡くなったんだ」
それを聴いた少女は、ごめんと言って縮こまる。
「なんでお前が謝るんだよ」
少女の頭をポンポンと叩く。
菜乃の親父さん……交通事故で死んだって聴いた……
即死だったらしい……
菜乃と遊んでいる時、母親から電話が掛かってきて、次の瞬間菜乃は表情を青くして飛び出したんだ……
俺も……家族が急に亡くなったから、その寂しさも怖さもわかる……!
ほんとに急なんだ……!
昨日まで……数時間前まで……!元気に笑って動いてたのに……!
菜乃はお手洗いを出て、すぐそばの手洗い場で手を拭いていた。
「もう……泣いちゃダメだ」
パッと、自分の表情を確認しようと、鏡で自分を見合わせたーーところだった。
後ろを男の人が通り過ぎる。
一瞬だったが、菜乃は見覚えのあるその体格と横顔に、血相を変えて追いかけた。
反対の号車。男が歩いていった方角。
「……パパ……!?」
1話ご愛読ありがとうございます!
これからも魅力的なキャラクターをどんどん作品内で暴れさせようと思いますので!w
どうかよろしくお願いします!
皆さんの通学通勤時を楽しく出来たらなと思いまして、平日朝7時から連載していこうと思います!
一話一話読みやすく2000文字いかないくらいの作品にしていこうと思いますので!気軽にこれからもよろしくお願いします!
第2話もよろしくお願いします!