中1
れんが…
転校して来た!しかも、私の隣の席。
私は窓の外を見ていた。彼がいる。口パクで何かを言っている。私は、いつものように付箋に書いて窓に貼った。彼は、それを読んで…
その姿を見ていたれん。
私は、ふと、視線を窓の外の空に向けた。
時は、遡る。
れんは、私の幼馴染。よく、遊んだ。お互いの家に行くことも、しばしばあった。うちに来てご飯食べたりゲームしたり。家が近所ってこともあるかもしれない。
幼稚園の時のある日のこと。彼と野原で遊んでいた。自然が豊かで川があり、芝生が広がり花の咲いたところ。よく、二人で遠目のところに行く時は、ここに来る。彼が、私に、花びらを持ってきた。桜の花びらを。そして、れんは
「あげる!」
と私に渡した。
「あのさ…」
と彼は、私に花の冠をかぶせた。
「大人になったら、結婚しようね!」
と。私は、勿論、
「うん!」
と言い、手を繋いで帰った。2人で微笑みながら。
小学生になり、れんと奇跡的にクラスがずっと一緒だった。学校でも友達とれんとみんなで遊んでいた。かくれんぼをしていた時のこと。茂った草のところに隠れていた。するとれんだった。
「ねえ!」
と言い出す。突然、その後に、
「好き!」
と言う。私は、固まった。何も答えられなかった。
すると、
「みーつけた!」
と見つかってしまった。
それから、私は、後ろを振り向いたが、彼は
いなくなっていた。そして、みんなのところに行った。
それで…
最悪な出来事。中学生の時。
あのいじめが始まったのは…
れんのことで。
中学生の時もれんとは、仲良くしていた。家にも相変わらず遊びに来るくらい。一緒にご飯食べたり馬鹿笑いしたり、話したりと。からかうれんのことを意識し始めたのは…
れんが、中学生の時、私に、ある日、
「好き。」
って。私は、顔が赤くなった。照れた私に彼は、からかう。
「そんなじゃないし!」
と。れんを叩く。すると、
「いてーよ!」
と。私は笑った。そして、れんも笑った。桜の花びらが私の上から降ってきた。
それから、れんとは、ますます親密になった。
そんなところに…
番長が現れた…
ある日のこと。
学校で、れんもいて友達もいて、楽しく話していた。すると、同じクラスの番長が、
「ちょっと、来て!」
と私に言う。私は、彼女の後をついて行った。
私は、
「なに?」
と言うと、
「とぼけるな。」
と。私は何のことか、わからなかった。
「ねえ、離れてくれない?」
「なにが?」
「だから、れんくんと。」
「え?」
と言うと、
「わかった?」
「反発したら、どうなるのか、わかるでしょ?」
「え?」
「だから、れんくんのことが好きなの!」
と言う。私は、思わず、
「え?」
と、口に出た。
「いいから、れんくんの前から消えて!」
と。私は、それでも、れんといた。
またある日、呼び出された。
「来て!」
と。私は、恐る恐る行った。すると、水をぶっかけられた。
「どうなるのか、行ったよね!」
と。私は、
「私もれんのこと好きだから…好きだから…」
と。
「どうなってもいいの?」
と。びくびくしながら、過ごすようになった。
そして…
始まった。
私に対してのいじめが…
それは、最初は、れんのことでだった。
番長は、
「いいから、さっさと離れろ!」
と凶悪。あり得ないくらい。少しでも私とれんが目があっただけで、呼び出され、
「お前なんか、消えろ!」
と凶器を出す。
「殺されたくなかったら、さっさとれんくんの前から消えろ!」
と。さらに、いじめはエスカレートしていく。日々。そして、
「れんくんにこのことを言ったら、まじで、殺すよ!」
と暴言を吐く番長。番長の目は人が全然違った。私は、体育館の器具置き場に閉じ込められたり、蹴られたり…そんな状態がずっと続いた。
私は…しだいに
れんを…
避けるようになった。すれ違っても挨拶されても完全無視。れんに言おうとすると、
「あ、言い忘れたけど、れんくんに言ったらもっと、痛い目にあうよ!」
「警告したから!」
と。標的が完全に私に変わったんだ。
教科書に落書き。破られたりゴミ箱にいれられたり。物を隠されたり…トイレに入ると、水を上からぶっかけられたり…友達に声をかけても無視される。れんとは、クラスも変わってしまい、会うことがなくなった。
れんとの間がなくなっても、続いた。対象は変わらず、そのまま私に対してなのもの。
学校に行っても私の居場所は完全にない。友達に無視される。れんは、すれ違っても知らないふり。
体育館に閉じ込められることは、しばしばあった。そして、蹴られ、あざをつくり…
とうとう、耐えきれなくなった私は、学校に行かなくなった。
それからは…
れんに会うことは一度もなかった。
そのまま、時だけは過ぎていった。
何度も何度も泣いて叫んで…
でも、私は、知ってしまった。
番長とれんが…
付き合い始めたことを。
時は戻り…
窓の外の空をぼんやりと見ていると、
「お前、なにぼーとしてるんだよ!」
とれんが言う。私は、
「別に…れんには、関係ないこと!」
と。そのまま、また、視線を窓の外に向けた。彼が視界に入っていなかった。
そして、しばらくすると、チャイムが鳴った。
窓から桜の花びらが入ってきた。少しどこか寂しさを感じた。
でも、今、そのれんの理由が…明らかに。そして…