上3
いつものように、窓の外を見ていた。すると桜の花びらが目に入った。
「え?」
と思わず、つぶやくと、もうひとびら。
外にいたのは、彼だった。
何か、言っている。私は、彼の口元を見ながら、彼が言っていることを捉えていた。彼が
「好き。」
と二文字が。私は、付箋に、
「私も。」
と書き、外にいる彼に見えるように、窓に貼った。
彼は、それを読んで、口パクで、
「出て来て!」
と言う。付箋に、
「授業は?」
と書いて窓に貼った。彼はそれを読んで、
姿を消した。私は、窓を開け、彼を探していると、後ろから、
「誰だー?」
と私の目を両手で隠す。私は、
「かい!」
と言うと、
「ハズレー!」
と言う。その後に、
「かいでしょ!」
と言うと、
「ファイナランサー?」
と聞く。
「うん!」
と言うと、彼は、私の目から両手を外した。
「正解!」
と微笑んだ。桜の花びらを私の手の上に乗せ抱きしめた。その後に、
「行こう!」
と学校からそっと、抜け出した。門から出るところで、先生に見つかり、
「なにしてるだ!」
と近づいてくる。彼は先に出ていた。私が出ようと登っていると、彼が手を出し、私は、彼の手を握り、脱走した。そして、学校から二人で微笑みながら、走った。
学校から少し離れたところで、一旦止まった。はあはあしながら、笑いあった。
「連れて行きたいところがあるんだ!」
と彼は言う。それで、彼は、
「ねえ、目をつぶってて!」
と言う。私は、目をつぶった。
「まだ、開けちゃ、だめだよ。まだだよ。」
と言いながら。私は、目をつぶったまま。彼は、私を誘導した。
「段差、気をつけて!」
と。私の手の引っ張る。
少ししてから、
「まだ?」
と聞くと、彼は足を止めた。しばらく、間が空いてから、
「いいよ!目を開けて!」
と言う。私は、目を開けた。すると、そこには、オレンジ色の空と自然が広がった野原。そして、芝生が青い。風が暖かい。風に当たりゆらゆらとしていると、彼が私のほっぺたに冷たい物を当てた。
「冷たい!」
と彼のほうを向くと、
「はははっ」
と笑う。
「どうぞ。」
と手に持ったカンを渡す。私が取ろうとすると、彼は、手を引いた。彼は、再び手を出した。私は、手を出した。また、引っ込める。
「ねえー!」
と拗ねたふりをすると、
「はははっ」
と笑う。彼は、手を出した。私は、出さなかった。すると、
「はい!」
と渡そうとする。私は疑った。すると、再び
「はい!」
と渡そうとする。私は手を出すと、彼は、私の手を引っ張り、唇と唇を合わせてキスした。夕日が私たちを包み込んだ。
その後に、彼は私に買ってきたドリンクを渡した。少し口に含み、飲んだ。彼は、
「取り換えよう!」
と彼が、私のを取った。そして、
「おいしい!」
と一口だけ飲み、
「はい!」
と返した。彼は、
「飲んだ?」
と聞く。私は、
「飲んでない…」
と言うと、
「飲まないの?」
と言う。私は、
「あっ!」
と言うと、
「もしかして、気にしてるの?」
といじめる。
「別に…」
とカンの淵を見ていた。彼は、私の持ってたのを取り、私の唇に近づけさせ、飲ませた。間接キス。顔が赤くなる。彼は、私のその姿を見て、
「はははっ!」
と笑った。私は、彼を叩くと、
「ごめんね!」
と言うが、私は拗ねた。その姿に彼は、
「もう一度する?」
といじめる。私は、怒る。彼は起こった私を抱きしめた。そして、
「帰ろうか!」
と立ち上がり、座っている私に手を出す。私は、彼の手を握り、
「うん!」
と。彼は、私を立たせ、二人で、夕日の中を歩いた。
家に帰ると、玄関には、見慣れた靴があった。
「おかえり!」
と中に入ると、
「おかえり!」
と母が言う。夕飯の支度をしていた。母は、思い出したように言う。
「あ、そういえば、れんくんが来てるわよ!」
と。私は、そのまま、二階の自分の部屋のドアを開けると、
「おかえり!」
と。れんだった。
「え?れん?」
と。れんは、
「こないだは、どうも。それにしても久しぶりだな。お前の家に来たの!」
と。私は、
「そうだね!」
と座った。私は、
「ゲームでもする?」
と言うと、
「なつかしいな。」
「そうだね!ゲームなんて、しばらく全然やってなかったよ。」
と言った。
「俺も。」
と二人で、楽しんいた。
「お前、相変わらず、弱えな。」
「そんなことないしー!」
と言い合いしたり、話したりしていると、
「れんくん、良かったら夕飯、食べて行って!」
と母が入ってきた。れんは、
「ありがとうございます。」
と母に言う。そして、れんは、話を変え、
「あのさ、こないだ…」
と切り出す。私は、
「え?」
と言うと、
「遊園地で…」
と言う。
「あの時、言えば良かったんだけど…」
「何を?」
「あいつのこと…」
と、空気が少し沈んだ。
「別に気にしてないから!」
とれんに言うと、
「でも…」
「だから、気にしてないって!」
「いいから、こんな話、やめよう?」
と、言うと、
「ごめん!」
と、誤る。私は、
「なんで、誤るの?」
と言うと、
「だって、やっぱり…」
「だから、気にしてないって!」
私は、
「あーー!おなかすいた。」
と誤魔化し、部屋を出た。ドアが閉まった途端、ドアを前に座り込み、涙が溢れた。
母が呼ぶ。
「二人とも降りてきて!できたから。」
と。私は、彼に
「出来たって!」
と呼びかけ、二人で下に行った。テーブルには、食卓が並んだ。母は、
「れんくん、適当に座って!」
と呼びかけると、れんは、座った。
「お母さんの料理とか、久しぶりー!」
とテンションが上がっていた。そして、みんなでわいわいしながら食べた。
食べ終わると、れんは、
「今日は、帰ります!」
と母に言い、
「お邪魔しました。」
と、私の家を出た。私は、窓から、
「れん!」
と呼ぶ。
「いつでも、来ていいから!」
と叫ぶと、れんは、涙目になっていた。
「おー!」
と言い、彼は帰って行った。
夜、夢を見た。悪夢。あの時が蘇った夢だった。私は、涙を流しながら寝ていた。
それは、私の友達が…
自殺した夢を。実際に起こったこと。自殺した彼女に恨まれた夢を。どんどんと暗闇に引き込まて行く。
朝、母が
「大丈夫?」
の起こしにきた。
「唸らされてよ。」
と言う。私は、
「そう…」
の返した。時計を見ると、8時だった。私は
「やばっ!」
と、バタバタと起き、バタバタと支度をし、家を出た。ギリギリに教室に入った。
そして、チャイムが鳴った。先生が入ってきた。
「おい、お前ら!」
と呼びかける。私は、窓の外を見ていた。
「転校生だー!」
と、先生は、
「おい!入っていいぞ!」
と。転校生が入ってきた。そして、自己紹介をした。
「佐藤れんです。」
と。私は耳を疑い、前を向くと、れんだった。私は、思わず、
「れん!」
と立ち、叫び呼ぶ。教室がしらっとする。先生が、
「知ってるのか!」
と言う。私は、
「あ、はい!」
と。
「そうだ!お前の席は…」
と迷う先生。
「じゃあ、菜葉の隣に。」
と。彼は、
「よろしくな。」
と席に着いた。私は、そっと、
「ねえ、れん…」
と呼ぶと、
「なんか、話があったんじゃない?」
と聞く。
「え?」
と彼は言う。その後に、
「別にねぇよ!」
と答え、前を向いた。
「あ、そう!」
と私は視線を窓の外に戻した。
その時の私は、わかっていなかった。彼のことを。あの時のことも。
窓の外には、彼がいた。いつものように、口パクで何かを言っている。私は、彼の口を見て捉えていた。私は、付箋に書いて窓に貼り彼に伝えていた。
その姿をひっそりと彼は見ていた。そして、彼の思いを知ることになるなんて思いもしなかった。
これから、第二の…渦が…ついに。
一体、どうなる?
彼の私への思いを…
私は、きっと…