case2 霞崎✖️磯園 「未来予測」
磯園邸 門前
都内でもなかなか大きな邸宅の前で霞崎はインターホンを押して待つ
霞崎「それにしても、磯園邸は相変わらず大きいよな〜」
自身の霞崎邸も大きい方だが、磯園邸はその2倍程の建物と敷地がある
すると、目の前の門が開く
建物の前に磯園が立っているのが見え、霞崎は車に乗り込み、門をくぐる
ガレージに車を置くと、建物の入り口まで歩く
霞崎「相変わらずの豪邸だよな〜」
独り言を呟きながら歩くと入り口に着く
磯園がいた
磯園「明日でも良さそうなのに、そんなに急ぐ事かい?」
磯園は少し不服そうだった
霞崎「俺は有言実行をすぐにするタイプの人間なんだ、諦めてくれ」
霞崎は適当な言葉を吐く
磯園「ん〜、まぁ、嫌いじゃないよ」
磯園はそう言うと邸宅の中に入っていく
霞崎も続いて入る
霞崎「おぉ〜、相変わらず博物館みたいだよな」
邸宅の中は、ガラスのショーケースに飾られた鉱石や壁に埋め込まれた化石などがある
磯園「父の収集癖も止まるところを知らないからね〜」
磯園はまんざらでもなさそうに言う
エレベーターに乗り、3階の青い扉の部屋に入る
それまでは化石や鉱石の話を聞いていた
磯園「そして、この部屋にタイムマシンがある」
扉を開けるとそこには
霞崎「・・・・プレハブか?」
部屋の中に小屋があった
磯園「今回開発された中では完璧なタイムマシンだよ」
霞崎「でも、どちらにせよ何かを奪われるんだろ?」
完璧であろうとそのリスクはあるはずだ
磯園「いや、その事なんだけど」
磯園は語る
自身の父親がジョーカー局長と知り合いだと言う事
元々このタイムマシンはジョーカー局長が使おうとしていた事
このタイムマシンは実は完成している事
その鍵は磯園の父が所有していた鉱石だった事など
霞崎「え、じゃあこのタイムマシンに乗っても何ら障害はないのか?」
磯園「そう言う事、でも勝手に使おうとしても使えない様に鍵がかかってるみたいなんだ」
霞崎「え、じゃあ駄目じゃないか」
霞崎は落ち込む、目の前にタイムマシンがあるのに使えないなんて
磯園はニヤニヤしながらポケットから何かを出す
磯園「後で父に未来の土産話をしてやってくれ」
磯園は何ら変哲のない鍵を差し出す
どうやら了承を得たようだ
霞崎「やった‼︎分かったよ‼︎早く行こう‼︎」
霞崎は目をキラキラとさせてタイムマシンへと走る
磯園は友人の笑顔に呆れながら鍵をタイムマシンに挿す
タイムマシンの中は普通の生活用品だらけでこれと言ってタイムマシンらしさは無かった
磯園「じゃあ、行こうか、何年にする?」
霞崎「2520年‼︎」
霞崎は手を振り上げて答える
磯園「・・・・・・ゲームの武器のコードを探すんだよね?」
磯園は友人の壊れっぷりに驚く
磯園「その時代にあると思う?」
霞崎「ある‼︎あのゲームは歴史に残る名作に間違いない‼︎」
霞崎は堂々と答える
磯園はすでに頭が痛くなってきたが、友人の言う通りに入力する
磯園「じゃあ、僕は寒いのが嫌だから7月で」
入力を終えるとタイムマシンのドアからカチッと音が聞こえる
二人共無言になる
どうやら振り落とされ無いように鍵がかかった様だが、揺れも起きていない
窓一つないこの空間では外で何が起こっているのかすら分からない
チーン
軽快な音が鳴る
カチャと扉のロックが外れる音がする
霞崎「・・・・・・え、もう着いたのか?」
霞崎は驚きで何とも言えない顔をしている
磯園「・・・・・恐らく、とりあえず外へ出てみよう」
タイムマシンから降りると廃墟だらけの風景が広がった
磯園「・・・・残念ながらここにお目当てのコードは無さそうだよ、帰ろう」
そう言って横を見ると友人の姿が無い
タイムマシンの中にも無い
磯園「え⁉︎おーい‼︎霞崎‼︎」
ガシャガシャ
磯園が叫ぶとそれに応える様にタイムマシンの後ろの方から音が聞こえる
とりあえず音の聞こえた方へ向かうと
霞崎「うーん、もうちょっと」
友人が埃を付けながら瓦礫の下から黒光りしている何かを取っている様だ
磯園「・・・・・何をしているんだ?」
今日で何回呆れたのかもうわからない
霞崎「んー?、いやさ〜、何かこの箱が気になってな〜」
こういう時の霞崎の勘はとんでもない事によく発展する、良い方にも悪い方にも
霞崎「お、取れた取れた」
それは45cm程の黒い箱だった
磯園「なかなか大きいな、何が入っているんだろう?」
磯園も少し気になった
霞崎が箱の蓋に手をかけると簡単に開く
霞崎「どれどれ?・・・・・・⁉︎」
磯園「お前⁉︎これは⁉︎」
中には大量の手榴弾と見たことの無い様な大きな銃が入っていた
手榴弾は黒と白が半分ずつ、銃は一丁
中には手書きの説明書があった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
これを読んでくれた人へ
私はもう長くはない、このメモを見ているなら中身は見た筈だ
時間がない、説明する
黒手榴弾 は一般的な手榴弾だが威力はある
白手榴弾は威力は黒より弱いが下記の銃にセットする事で黒以上の威力を叩き出す
銃(筒煙)
この銃は銃筒の中に入る瓦礫なんかを打ち出す事が出来る、又、白手榴弾を打ち出せばあの化け物を一撃で破壊する事が出来る
君に託す、手榴弾は様々な所に設置してある、自由に補給してくれ
では
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
磯園「本物じゃないか、それに化け物って・・・・」
磯園は背筋が凍る
横の霞崎を見ると
霞崎「なんだこれ⁉︎ゲームより面白いじゃないか‼︎」
もう諦めるしかないのかもしれない
磯園「・・・・ご自由に・・・」
こいつとは長い付き合いになりそうだ
磯園は手榴弾を一つ手に取り眺める
歯止めが効かないならもっと回してやればいい
猿渡到着まで、あと二日
如月 上下です。
さて、こちらも動き始めました。
まだまだ続きます。