case2 霞崎 ✖︎ 磯園
これは猿渡が未来へ行く少し前の話
2085年 12月
まだ肌寒い
しかしそれは外の話
スモーキーアッシュがかった長髪を後ろで無造作に留め、どんよりとした目、軽く筋肉で引き締まったボディライン、部屋着にしてはビシッとした高価そうな服を着ている男は室内で微動だにしない
霞崎 亭鶴 と言う男は5部屋ある自室の内の一つ、ゲームルームで大型スクリーンと向き合って指を動かしていた
霞崎「あぁっくそ‼︎なんだよこいつ‼︎チートばっかり使いやがって‼︎」
当時大人気のゲーム「デッド ショット アウト」にのめり込んでいた
6ヶ月間、トイレとトレーニング以外自室から出ていない為、メイドも心配でちょくちょく見に来る程そのゲームは名作だった
多種多様な武器と衣装
豊富なイベントミッション
アップデートされるたびにどんどん広がる世界
そして目玉はそのリアル過ぎるグラフィック
とオリジナル武器の作成が可能と言う事、そして無制限の人とミッションに行けると言う事
ミッションと言うのは運営側が作り出したモンスターや人型NPCの討伐なのだがごく稀に、過度の規約違反を犯したバッドプレイヤーを抹消するミッションが配布される
各プレイヤーへの配布条件は
バッドプレイヤーにゲーム内で20回以上襲われている事
バッドプレイヤーによって自身のゲームに何らかの不具合をもたらされた場合(毎回、運営側から修正パッチが無料配布されている為すぐに直る)
この条件のどちらかに当てはまればミッションは配布される
霞崎は前者だった
現在そのバッドプレイヤーの抹消ミッションに乗り出している
霞崎「あぁ〜?・・・・・おいマジかよ、 Seahorror ・・あいつ、正気じゃねぇ‼︎」
Seahorrorと言う名の抹消対象は身体中から刀を出したまるでウニのような状態で霞崎の操作するキャラを八つ裂きにした
霞崎「あぁ‼︎くそっ‼︎あいつ強過ぎるだろ」
コントローラーをテーブルに置き、ソファーに寝転がり
霞崎「何か打つ手はないか?」
霞崎は暫し考える
・・・・・ガチッ
頭の中で何かが噛み合う
霞崎は立ち上がり、電話をかける
霞崎「もしもし、 磯園 か?」
霞崎は磯園と言う男に電話をかける
霞崎と磯園は中学校の時からの友人で大人になった今でもたまに遊んでいる仲だ
霞崎は磯園に先程のチート使いについて説明する
霞崎「だからさぁ、未来で適当な武器のパッチをメモリーカードに保存して、こっちで使える様にいじればあいつに勝てるんじゃ無いか?」
磯園『でもそれって規約違反じゃないのか?』
霞崎「オリジナル武器って事で大丈夫だろ、だからタイムマシンを貸してくれ」
磯園は渋々了承する
磯園『でも父にバレると怒られるからすぐに終わらせてくれよ?』
霞崎「分かった分かった‼︎じゃあ今から向かうからよぉ」
霞崎は準備を済ませると使用人に「磯園邸に行ってくる、父が戻ったら伝えておいてくれ」とだけ言うと自身の車に乗り込み、磯園邸へと向かう
ここからもう一つの物語が始まる
如月 上下です
前回のプロローグから緑風 源次かと期待されていた方、すいません
源次の物語を進める為にどうしても霞崎と磯園の物語が必要になっているのです。
次回もご期待下さい