case1 猿渡の絶望
未来が明るいと決まったわけじゃない
あれから何時間歩いただろうか
廃れた街、自身の家はとうの昔に潰されていたようだ
猿渡「これが未来だって?一体何があったって言うんだ」
猿渡は瓦礫を踏みしめて歩く
猿渡「しかし、タイムマシンが上手く動いたのは良かった」
自身の体を見た所、猿渡の体には傷一つ入っていなかった
猿渡「記憶も残っているようだし、別に何とも無いな」
しばらく歩くと人影が見える、しかし何かがおかしい
??「うわぁぁぁ‼︎なんで、なんでこんな未来に来てしまったんだ⁉︎」
発言から察するに同じ時代かそれ以降から来た人間だろう、ボロボロのスーツの男が走ってきた
スーツの男「なんで機械も、生き物もあんなに凶暴なんだ⁉︎」
すると男の背後から大きな影が見える
(ウジュ・・・グチ・・・・)
それは全身から膿の様な物が流れ出す巨大なタコだった・・・・
猿渡「おいおい、マジかよ‼︎」
猿渡は近くにあった建物の中に逃げ込む
建物に入った途端、スーツの男の叫び声が聞こえる
スーツの男「嫌だ‼︎こんな所でこんな奴に‼︎」
猿渡は恐る恐る窓から外を見る
見えたのは巨大なタコの足に絡め取られる男の姿
猿渡「・・・・っ‼︎」
タコは暫くスーツの男を弄び、そして・・・
スーツの男「なんだよ、なんだよその口はぁぁぁぁ⁉︎」
猿渡からも見える程巨大な口とどす黒く鋭利な無数の歯があった
スーツの男「・・・・・・もうおしまいだ」
その一言と共に男は鋭利な歯で八つ裂きにされ、血しぶきと共に飲み込まれた
タコはグチャグチャと音を立てて食べながら次の獲物を探してか何処かへ行ってしまった。
猿渡「こんなの、生き残れる筈がない‼︎」
猿渡は武器になりそうな物を探して建物の中を物色する
喫茶店だったのだろうか、オシャレなテーブルと割れたティーカップがそこら中にある
猿渡「そうだ、何か情報を‼︎」
猿渡は奥の雑誌スタンドの方へ向かう
そこには新聞紙と古い杖が立てかけてあった
猿渡は新聞紙を手に取るとこの自体に関連性のある記事を探す
猿渡「・・・・これだ‼︎・・・・え?」
新聞の記事にはジョーカーと言う名前が大きく載っていた
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『ジョーカー局長 自身が作り上げたロボットと遺伝子操作動物に襲われる』
2510年4月4日 PM15:50頃
(株)開発局 シェデイ局長 ジョーカー局長こと浦野条歌氏が日本時間上記時刻に自身が開発した人工知能搭載蟹型ロボット『グラブ』、同じく人工知能搭載犬型ロボット『フェンリル』の自身が監督する試験運転中に機械の誤作動で右腕、左肩を負傷、幸い死人はおらず、現場には浦野局長のみいた様子
浦野局長は電話で部下に救援を要請し、ロボットを緊急停止した。
また同日、PM23:40頃
遺伝子操作実験中に開発した3m程の蛭に右足大腿部から吸血されている所を通りかかった部下に発見され、一命を取り留める
浦野局長はタイムマシン『鉄の処女』や自立運転惑星探査機『トランプ』などを世に送り出した有名な開発者だが、今回の事件で開発局の信頼に傷が入ったと思われる
なお、浦野局長自身のコメントを頂きました
『素晴らしい、こんなに素敵な作品を作り上げて私は幸せだ、これからどんどん改良を重ねます』
浦野局長は今回のロボットと遺伝子操作実験を改善する予定との事です。
また世界に革命をもたらしてくれると嬉しいですね
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猿渡「・・・・この結果がこれかよ、改善どころか改悪じゃないか‼︎」
その時、背後から何かの物音がした
??「誰かいるのか?」
そこには立派な髭を蓄え、高そうな服を着た初老の男がいた
猿渡は手短にあった布を羽織る
新聞紙を広げ顔を隠す
もし自分の時代の人間だったら囚人だとバレると騒がれるからだ
猿渡「あぁ、ちょっとね、新聞紙を読んでいたんだ」
猿渡はそっけない態度で返す
初老の男「・・・・新聞紙か、情報収集は肝心だね」
猿渡「まぁ、ここで死ぬわけにはいかないからな」
猿渡は当たり障りなく返す
初老の男「私もこんな未来は受け入れ難い、君が何故情報を教えてくれないのか知らないが、また会えば情報交換でもしようじゃないか」
そう言うと初老の男は立ち去っていく、去り際に見えた右手には指が3本しか無かった
猿渡「情報交換・・・か、また会えばな」
猿渡は新聞紙をリュックに詰め込み、杖を見る
猿渡「・・・・何も無いよりはマシか」
猿渡は杖を片手に歩き出した
その時、何処からか音が聞こえる
[ザザッ・・・ザ・・・・]
どうやら街の避難警告塔からの様だ
[・・・・あー、あー、聞こえてる?まぁ聞こえて無くてもいいんだが]
その時聞き覚えのある声が冷たく耳に滑りこんでくる
猿渡「ジョーカー局長か⁉︎」
猿渡の叫びは虚空に消え
ジョーカー局長は語り出す
[さて、タイムマシンを完成させたいと願う馬鹿が50人を超えたのでこれから君たちには私の発明品達と戦争をしてもらうよ?]
しかし、現在も、過去も明るいと思うだろうか?
実は光なんてものはほんの少しの誰かが握っているだけで実は暗いのではないだろうか
はい、如月 上下です
まぁ、なかなか暗い話ですね
明るい話もそろそろ書こうと思っていますのでよろしくお願いします。