不完全かつ未完成な『始まりの夜』
タイムマシン
過去、未来、どこでも行ける人類の夢の機械
2085年
12月、タイムマシンは未完成な状態での発表にも関わらず、注文が殺到、工場に保管してあるタイムマシン全てを売ってもまだまだ勢いは止まらなかった。
しかし、人々は躊躇った、購入したものの未完成と言う事とそのリスクに怯えていたからだ
製品の注意書きには大きな文字で危険マークが付いていた
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※この製品は未完成です
未来へ行けば完成するかもしれませんが
その代わり、未完成な状態で未来へ行くとあなたから何かが奪われます。
それは体の一部だったり、大切な人や記憶など
様々なものが奪われます。
この製品は購入の際に説明して承諾印を押して貰った通り、返品は出来ません
なお、未完成による事故には一切責任を取りません
タイムマシンでの事故で適応出来る保険は死亡保険のみとなっております。
では、完成を待たずしてご購入されたお客様、この度はありがとうございます。
なお、完成品が出来た際には追加料金が必要ですが、未完成品を完成品に仕上げます。
では、長く危険な旅をごゆっくりお楽しみ下さい
開発局 シェディ
局長 浦野 条歌
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この説明も要因なのだが
開発者が大きく関係して皆使いたがらないのだ
浦野 条歌・・・通称 ジョーカー局長
元々は海外にいたらしいのだが
それでも日本にまで曰く付きの話は流れて来る
処刑道具の大量生産
囚人解放事件
大型時限爆弾の紛争地域での大量試験運用
掘れば掘るほどどんどん黒い話が出てくる
そんな男が開発したタイムマシンなど誰が使うものか
我々はそんな事を考えて大量のタイムマシンを運んでいた
富裕層はタイムマシンを買ったはいいが、今の自分の人生を崩したくないなどと言って使わない
これに腹を立てたジョーカー局長はタイムマシンを一ヶ月間使わなかった場合、遠隔操作でタイムマシンを爆破するなどと言い出した為、富裕層の何人かはタイムマシンを使用した。
結果、100人中帰ってきたものは3人だった
そしてその3人は腕や内臓などが欠落していた。
これを恐れた残りの富裕層はタイムマシンを収容所へ預けた。
囚人にタイムマシンを使用して貰い、無事に帰ってこれたら釈放、その囚人は巨額の援助を受けられる
もし帰ってこられなかったら
死亡欄に名前が書かれる
・・・収容所内・・・
冷めた空間に看守の足音が響く
鍵と拳銃がこすれ合う音も微かに聞こえる
カツン
音は一つの牢前で止まる
看守「No.556・・・お前は3日後に死刑となる予定だが、チャンスをくれてやる、来い」
囚人は布を被っていて顔が見えない
No.556「・・・・はい」
看守「ちなみにこの期間中はお前に名前を戻す決まりとなっている、猿渡 零」
猿渡「・・・・ありがとうございます」
看守「うむ、では説明しながら特別官舎へと向かおうか」
猿渡「・・・はい」
看守「ん"ん"〜‼︎では説明する、今回お前に課せられた任務はタイムマシンでの時間旅行を1ヶ月間楽しんだのち、タイムマシンを完成させて帰ってくることだ」
猿渡「分かりました、通貨や時差などの問題はなさそうですか?」
看守「それも考慮してある、未来から戻ってきた貴族の方々が未来で使用出来る時計と未来で使用出来る銀行のリストを入手してきたようだ」
看守「戻ってきた3人はタイムマシンを完成させて戻ってきたらしいが、未来の世界については口を閉ざしたままなのだそうだ」
猿渡「では、今回はタイムマシンの完成と未来の技術について調べたら釈放して頂けるんですね」
看守「そういうことだ、ほら、着いたぞ」
そこには黒い建物がそびえ立っていた
看守「これは、お前の人生の終始を決めるチャンスだ、俺が言うのも何だが、頑張れよ」
今、パンドラは開かれる