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夜会

 豪華で荘厳なシャンデリアと色とりどりなドレスを纏ったご婦人やご令嬢。


 えー、現在ドラグーン王城で王族の方々が御入場されるのを待ちながら父様の隣で聡明なお世継ぎキャンペーンを実施中です。


 一体いつまで顔に微笑みを貼り付けておけば良いんでしょうか。


 そろそろ表情筋が引きつりそうです、明日は顔面筋肉痛かも。


 レイナス王城にある大広間が四つは入りそうなこの会場で今夜は王太子の婚礼の前に各国の君主やドラグーンの貴族を集めて夜会が開かれています。


「あっ!カストル久しぶりだな。」


「おう!アルトバール!元気だったか?このたびはミリアーナ姫が王太子殿下に輿入れするとか、おめでとうございます!」


「あぁ、やっとおの跳ねっ返りが嫁に行ったよ。まさか大国に嫁ぐとは予想してなったがな。」


 前から歩いてきた美丈夫を見付けるなり父様から話し掛けに行ってしまったので私も後を追います。


 がっしりと抱き合った美形二人についつい邪推したくなるのはもと腐女子の悪癖ですね。


 「カストル、紹介しよう私の息子のシオルだ。シオルご挨拶を。」


「始めましてカストル様、レイナス王国のアルトバールが第一子シオル・レイナスです。本日はお逢いできて光栄です!」


 初対面の方には元気良く笑顔で対応が基本ですよね。


「こちらこそ、私はカストル。レイナス王国の隣国レイスで国王を勤めているよ。シオル殿はおいくつかな?」


「はい!今年で四歳に為りました!」


「四歳!?本当に?あまりにもしっかりしているからもっと年齢が上だと思っていたよ。うちの息子も四歳なんだが、どうにも大人とばかりいるせいか妙に大人びてしまってね、よければ友人になってやってほしい。」


 ですよね、自分でもなまじ前世の記憶があるし、同年代の子供が城に居ないもんだから四歳の子供がどんな感じかわかりません。


「此度の婚礼にうちも息子を同席させているんだよ。本来なら妻が出席するんだが、体調を崩してしまっていてね。紹介しよう・・・・・・あれ?あいつ一体どこに・・・・・・。」


 後ろを振り返ったカストル陛下が固まった。視線の先には妙齢のご令嬢方に囲まれた超絶美形!


 サラサラとした金茶色の髪した男の子はご令嬢の手を取り、その甲に口づけを落としていた。


 いやいやいや、幼児相手に見悶えるとかショタコンの気があるんですかね。


「アールベルト!」


 カストル陛下の声にこちらを確認するとご令嬢方に声をかけてから優雅にこちらへやって来ました。


「お待たせ致しました父上。」


「レイナス王国のアルトバール陛下と、御子息のシオル殿下だ。シオル殿下はお前と同じ歳だそうだから仲良くして頂きなさい。」


 カストル陛下の声にこちらを見たアールベルト殿下の紺碧の瞳が私を真っ直ぐにみる。


 なんだろうなぁ。笑顔なんだけどスッゴク違和感が・・・・・・。


「御初におめに掛かります。レイス王国の第一王子アールベルトです。」


 わかった!笑顔なのに目が笑ってない!?


「こっ、こちらこそ・・・・・・。シオルです。よろしくお願いします。」


 仲良くですか!?自信ないんですけど!


「私はカストル陛下と少し話をしているから暫く子供同士で親睦を深めてきなさい。」


「「はい・・・・・・。」」


 楽しげに話始めた二人から離れながら隣を歩くアールベルト殿下を横目で観察する。


「僕の顔に何かついていますか?」


 ついては居ないけど可愛いなぁとはいえないわ。


 ぼんやりとそんなことを考えていたら嫌悪感丸出して睨み付けられた!


「男に可愛いなんて言われて喜ぶような趣味はないんでね。」


「えっ、ええと。」


「口に出てるよ。どうやら僕らは性格が合わないらしい。失礼する。」


 そう告げるとさっさと私を置き去りにして女性の輪に突入していった。


 あー、ごめん父様、仲良くなるの無理っぽいわ。


 暫くして国王陛下の入場が近づいたので父様を捜して会場を放浪する。


 広い会場でもある程度爵位によって相応の場所が決まっているのだろう。


 玉座がある他の場所よりも一段高くなっている辺りから離れるほどに爵位は下がっていく。

 

 玉座に近付けば父様を見付けることが出来るとふんで壁際をすり抜けて進むと、一人の給仕が一台の配膳カートを押してシオルの隣を通り過ぎた。


 カートには使用済みの食器が数枚の銀食器やナイフ、フォークが乗せられている。


 配膳カートの邪魔にならないように柱の影に移動したとき、目に入った物に息を呑んだ。


 カートには見映えを良くするためか、赤い布が荷台から下段を隠す様に車輪にかけて掛けられているのだが、目の前を過ぎたカートの下段から地面を擦っていたのは私とあまり変わらない大きさの小さな左手だった。

 


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