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これからどうする?

《シオル視点》


 うむ、なんか気持ち悪いくらいトントン拍子で話が纏まっちゃったよ?

 

 普通信じるか?赤ん坊が証言者って、気持ち悪くないの?


 まぁ、いっかぁ。取り敢えず父様が張り切っていることだし、任せちゃお!現実的にいってもこれ以上は今のぷにぷにしたこの小さな手に余るしね。


「あうあ~あ(ロブルバーグ大司教様ありがとうございました)」


 父様にひとしきり愛でられて執務室を出た私とロブルバーグ大司教様は現在中庭で仲良くお散歩中です。


「ん?礼には及ばんよ」


 陽射しはぽかぽかお散歩日より。どうやらこの国の気候は日本とあまり変わりがないらしい。東北生まれの私としては少し暖かく感じるので過ごしやすい。


 前にロブルバーグ大司教様が来ていた時は空に太陽が二つ昇っていた。ちなみに現在はひとつだけ。


 やはり季節的な物だったみたい。暇潰しも兼ねて日の出から日の入りを観察していたらどうやら出ている期間は10日間程だった。とはいっても始めて散歩に出てから10日なのでもうしばらくかかるのだろう。


「あうああう(信じて貰えたのは大司教様のおかげです)」


「ほほ、それで、これからどうするつもりじゃ?」 


 中庭をぷーらぷらしていたのだけれど、昨夜の女性を知っているのは私だけなんだよなぁ。父様を信用してますよ?シリウス伯父様も一緒なので尻拭い、じゃなくてフォローもバッチリ。


 でもね~暇じゃーん!


「あーうあう!(もちろん捜索したいです!)」


「その言葉を待っておった!」


 ニヤリと笑うロブルバーグ大司教様も何やら楽しそうですね。


「あばぶ?(自分で動けないので手伝って下さいな?)」


 上目使いに斜め四十五度でおねだり目線で見上げたる。首をちょっと傾げるのが隠し味。


「わかったわかった!いくらでも足代わりに使われよう。しかし儂からひとつだけ忠告しとくぞ?」


「ばぶ?(なんでしょう?)」


「夜中に徘徊するのは関心しないの、そうゆうことはもう少し自力で動けるようになってからにするように」


あう!怒られた!目が笑ってないですよ?これは素直に謝る方が身のためだわ。


「あぶ!はぶば!(すいませんでした!もうしません!)」


 取り敢えず。


「宜しい。子供は素直が一番じゃ」


 謝罪すると鷹揚に頷かれた。この良き通訳兼教師を今更失うわけにはいかないのよ!素直に謝る!謝罪はタダだ!


「幼いうちは存分に頼るがよい。何、ツケは成人後払いにしてやろう」


 うん、訂正。タダじゃなかった。世の中タダより恐い物はないって言ってたの誰だったかなぁ。


「そうと決まれば善は急げじゃ!行くかの?シオル殿下よ」


「あぶ!(行きますとも!)」


 しわしわと年月を感じさせるロブルバーグ大司教様の人指し指を手のひらできゅっと掴み意気込みを新に城内の捜索をすることにしました。


 取り敢えず中庭の散歩を切り上げると、城内へと入った。


捜し人は女性なので女子禁制の騎士寮には居ないだろう。夜に城内にいたから仕事中、もしくは仕事明けだった可能性もあるんだよね。


 来ていたお仕着せはこの城の侍女のものだっから取り敢えず城内の散歩を理由に侍女が仕事をしている区域へと行ってみることにした。


 厨房付近にて


「大司教様!?どうされましたか!?」


「殿下と探険じゃ」


 水場にて


「大司教様!?何か御用でしょうか?」


「仕事を続けてくれ、城内見学じゃ」


 とは言うものの、城内は広いし、働く人数も伊達じゃない。いく先々で驚かれては責任者らしき人が用件を聞きにやって来た。


「殿下と城内を散策しておったのじゃが道に迷ってしまっての」


 飄々といく先々ではぐらかしながら進んでいたのだが、その行動を訝しんだ一人が近くにいた騎士を一人護衛につけて寄越した。


 ちなみにこの騎士様、皇太子付き。すなわち何度か見たことある人。名前は解んないけどね。


「昨夜シオル殿下を連れ出した者が城内に居るかもしれません。おとも致します」


「ん、すまんのぅ。ついでにしばらくこの城で世話になるのでな。城内の案内を頼みたいのじゃが」


 ん?なんかデジャブ。あー、思い出した。昨晩の夜勤さんで先に帰った人の声だ。


「あ~あうわ(よくそんなにスラスラと理由が出てきますね)」


「ほほ、年の功じゃよ。生後半年で達観し始めとる御主に言われたくはないのう」


 達観してませんよ?精神年齢が四半世紀越えてるだけです。


「あぶあぶば(そういえば、この近衛さん昨晩の夜勤さんです)」


「ほう?騎士様はなんと御呼びすれば良いかな?」


 ロブルバーグ大司教様は傍らに控えた騎士に名前を聞いた。


「はっ、失礼致しました。私はアルスと申します。シオル殿下の守護を担わせていた抱いております」


 ふーん、アルスって御名前だったんだ。アルス、アルス。よし覚えたぞ。


「大丈夫かの?疲れておるようじゃが」


「お心遣い感謝します、昨晩の騒動から参加しておりますが元が丈夫ですのでご安心ください。どちらからご見学されますか?ご案内いまします」


 アルスさん多分丸一日は寝てないよね。多分騎士寮に戻って直ぐに呼び出されたんだろう。ごめんね。


「これからシオル殿下の教師をするに当たって一通り案内してくれるかの」


 アルスさんはしばらく思案したあとロブルバーグ大司教様を見つめる。


「それではここから一番近い書庫からお連れします。ですが、機密となっている場所などはご案内出来かねますので御容赦下さい」


 申し訳なさそうにアルスさんが断りを入れている。まぁ、他国の人に機密は見せらんないわな。


「それで十分じゃよ」


「ではご案内致します」


 そう告げるとアルスさんが先頭に立って歩き出した。 

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