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ミリアーナドラグーン王国へ行く*嫁にくれ

 ちっさいのと鞭男の声に気を取られ、隙が出来た脇腹に兄上の肘が入る。


「くっ、痛っ!」


「余所見なんてしてるからだぞ~?」


「だって~!」


「だっては無い。本当の戦闘なら即死物だ。それで?なんのようかな?」


 私の頭に拳を一つ落とすと、気をそらす羽目になった元凶に声を掛ける。


 信じられない光景を見たとでも言うかのように、元凶二人はあんぐりとアルトバール兄上を見詰めている。


 先日自分達をあっさりと伸したミリアーナにいとも簡単に土をつけられる相手が居ることに驚いたのかもしれない。


「これは失礼しました。始めまして私はケンテル共和国で陸軍大将補佐官を拝命しておりますソラと申します」


「ゼス帝国の近衛騎士をしているロアッソと言う。御名前を伺っても宜しいでしょうか?」


 姿勢を正して自己紹介をすると、一礼し、目の前の兄上の名前を聞いてきた。


 今は兄上と汚しても差し支えがない服を身につけて居るために王族だとは思っていないのだろう。


「あぁ、レイナス王国の国主をしている。アルトバール・レイナスだ」


「レイナス王陛下でしたか、これは大変失礼を」


「いや、気にするな。所で見付けたとは?」


「はい、先日そこの御仁に二人がかりで負けまして再戦をと探しておりましたものですから」


「明日行われる武術大会にはレイナス王国も参加されますか?」


「うちも、数名参加させる予定だ」


 アルトバール兄上、絶対その二人あたしが出ると思ってるよきっと。


「言っとくけど私は出ないから」


「「え!?」」


「だって守護者じゃないから出れないもの」


 守護者の武術大会に庇護者は参加できない、悔しいけど。


「あー、紹介しておこう。レイナス王国の王女ミリアーナだ」


「「王女殿下!?」」


 そうですけど何か文句ある?


「俺は姫君に負けたのか・・・・・・」


「あの強さで姫君・・・・・・」


 ふたりは小さく呟くと、その場に跪き兄上を見上げたのだ。


「「是非ミリアーナ姫を妻に下さい!!」」


「あー、一応理由を聞こうか」


 普通は自分よりも強い女性を貰うという発想にはならないのだ。


「「姫君になら背中を預けて闘える」」


 残念な御知らせです、脳筋が増えました。


「私は自分よりも弱い者には嫁がない」


 それ以前に他国の姫を娶るのは相応の身分が必要なのだ。


「お話中失礼しますが、姫への求婚は勝ってからにしてください」


 不機嫌を隠そうともせずクラインセルトが話に混じってきた。


「いきなりなんだね」


「我々は義兄上殿と話をしているのだ。邪魔しないで欲しいな」


 義兄上呼ぶな!認めてないぞ?


「あー・・・・・・とりあえず、舞踏会が済んでからにしようか。うん、そうしよう」


 兄上、現実逃避しないで下さい!!


「ミリアーナ姫、明日は是非私の応援に来てください」


 まだ何やら言い争っているロアッソとクラインセルトを放置して素早く私の手を取るとその手に口付けを落とす。


「あっ!抜け駆けすんじゃねぇ」


「ミリアーナ姫!綺麗な手が汚れてしまいます!」


 その様子に気が付いたロアッソとクラインセルトが走りより、ロアッソはソラを引き剥がし、クラインセルトがミリアーナの手を懐から出したハンカチで拭う。


「失敬な、私は姫と交流を図っていたまでだ」


「とりあえず、部屋に帰るわ。なんか疲れた・・・・・・」


「そうだな・・・・・帰るとするか」


 あまりの展開に考えを放棄したレイナス兄妹でした。


 

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