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ミリアーナドラグーン王国へ行く*なぜこうなった?

 清々しい朝です。


「おはようございます。良く眠れましたか?」


「おはよう。ゆっくりだったな」


「・・・・・・おはようございます・・・・・・」


 広間で向かい合わせにせきに着いて私を迎え入れたのは兄上と何故かクラインセルトだった。


 何故こんな時間から部屋にいる!?


「クライン、このパイは絶品だな」


「はい、この芋は我が国北部の特産品なんですよ」


クラインセルトが持ち込んだらしいパイを紅茶で食べ進めながら、特に違和感もなく兄上がクラインセルトに問い掛けた。


「ミリアーナ姫もいかがです?」


うん、いい笑顔。朝から無駄にキラキラしてる。しかもちゃっかり兄上と馴染んでる。


「いただきます・・・・・・」


 いそいそと自らパイを切り分けて紅茶を入れるクラインセルトの姿に兄上は感心したような声を上げた。


「慣れてるなぁ、普通は侍女や使用人に用意させるものだろう?」


 やっぱり疑問に思うよね兄上。


 普通は侍女の仕事なのだ。


 軍事訓練の野営などでミリアーナや兄上も食料の確保や捌く、焼くと言った簡単な調理は出来るけど。


 ただ紅茶やお茶菓子となると話は別。


 湯に茶葉を放り込めばいいと言う物ではないのだ。


 茶葉を浸けている時間が短ければ味が出ず、長すぎてしまえば途端に渋味が増してしまうのだから。


「ええ、ですが自分でいれた方が美味しいので仕方がありません。ミリアーナ姫?砂糖とミルクはどうしますか?糖蜜漬けの檸檬も用意してありますけど」


 さも当然と言った様子で兄上の隣に腰を降ろしたミリアーナの前にパイの盛り付けられた皿を用意すると、紅茶の入っているカップを置いた。


「糖蜜漬けの檸檬?」


 レイナス王国では聞かない名前だ。


 兄上も聞いたことが無いのだろう、隣を見上げると首を振られててしまった。


「檸檬はドラグーン王国の最南端の村で採れる植物ですね。生でも食べられるので料理にも使用されますが、酸味が強く輸送の際に傷みやすいので砂糖や蜂蜜に漬け込んで売りに出されています」


 話の流れからひとつの小瓶を取り出す。


 瓶の中には黄色の果実が輪切りの状態で収まっており、一軒ジャムのようにもみえる。


「紅茶をいれたカップに一切れ果実を入れて飲むんですよ」


 小瓶を開けると、ふわりと爽やかな香気が広がる、中から一切れ取り出すと、琥珀の紅茶に入れて一混ぜしミリアーナへと給仕してくれた。


 同じ様に兄上にも新たに紅茶を入れて差し出した。


 口に含むと柑橘類の一種なのだろう。


 甘味があるがスッキリとして飲みやすい。


「美味しい・・・・・・」


「それはよかった」


「パイも旨いぞ?」


 兄上は檸檬の糖蜜漬け入り紅茶が気に入ったようでおかわりを請求している。


 たしか部屋に来る前から紅茶飲んでなかったっけ?飲み過ぎでしょ。


「甘い」


 これが本当に芋!?滑らかな口当たりの生地がとても甘美。


「良かった!もっと食べますか?」


 生き生きしてる、スッゴク生き生きしてる。


 う~ん、良い男嫁さんになりそうだなぁ。


「う~ん、産まれてくる性別間違ったんじゃないか?」


 兄上も同意見だった模様。


 だよね~、ドレス似合いそうだ。


「御休憩中失礼致します」


 和やかなティータイムに入室の許可を求めて、レイナス王国から追従してきた騎士、ロンダーク・ビオスが入室してきました。


 いつも冷静な彼は今回、同行できないシリウス宰相の代わりに兄上の暴走阻止要員兼お目付け役としての役目を任されたある意味可哀想な人だ。


 あまり表情を動かさないロンダークには珍しく顔に困惑を浮かべながら兄上のそばまでやって来ると皮紙を丸めて封蝋の押してある書状を手渡した。


「陛下、実は先程ドラグーン王国の新王陛下から随行の守護者達の武道大会が提案されました」


 武道大会って何故にいきなり?


「唐突だな」


 警戒感も顕に兄上の顔が歪む、あまりにも突然過ぎるのだ。


 怪しい、怪しすぎる。


 罠か他国の戦力の把握、はたまた娯楽か理由はどうあれ封蝋の捺印は確かにドラグーン王国の最高権力者の物だ。


「唐突です。何でも新王陛下自ら発案された御様子でして闘技場の使用許可も自らお出しになったとか」


「陛下がですか?」


 驚きを隠せない様子でクラインセルトがロンダークに問い掛けている。


 来客の前で挨拶すら出来ない王の行動としてはどうしても引っ掛かるのだ。


 これが宰相の企画なら納得もいくのだけど、そうではないらしい。


「ざっと目を通した感じだと間違いないだろう。祝宴初日にドラグーン王国の騎士達が他国の守護者と腕試しをしていたらしい」


 うん、それは知ってる。ばっちり観戦してたから。


「何でも試合を進めるうちにゼス帝国とケンテル共和国の騎士が戦っていたそうなんだが」


 あー、もしかしてあの双剣術のちっちゃいのと鞭男かなぁ。


「そこに桁違いに強い守護者が乱入して二人相手に圧勝したらしい」


 ぐっ!げほっ!ちょっと待て


「ほぅ、そんなに強い守護者を連れた国がありましたか」


「何でもひとりはゼス帝国の近衛騎士、もうひとりは陸軍大将補佐官の地位にあるものだったようだが、二人とも豪傑として他国にも名が知れている人物だったらしい」


 うわー、あの二人有名人だったのね~。


「どうにもその話に興味を抱いた新王陛下が自分も観てみたいと言い出した訳だ」


 誰よそんな余計なこと報告したの。


「どこからの情報なのでしょうか」


「さぁな、その情報については書かれていない、どっちにしてもこれは何人か出さねばならないだろうなぁ」


「あの~、兄上・・・・・・」


「なんだ?」


「そのゼス帝国とケンテル共和国の守護者伸したの、私です・・・・・・」


「「「何~!!!」」」


 突然のカミングアウトに見事にハモった男性陣でした。




本作者は皆様のブックマークと評価とPVを糧に運行しております、またご感想も御待ちしておりますのでよろしくお願いいたします(*≧∀≦*)

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