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ミリアーナドラグーン王国へ行く*男じゃないよ、こんなんでも姫です・・・・・・・

 クラインセルトの言葉通りビアンナの作るパンケーキはフワフワとした生地でほんのりと甘味がありとても美味しかった。


 パンケーキの上にのせられたバターの塩っけがより甘さを引き立てて口のなか一杯にバターの芳ばしさが広がっていく。


その後どうやらバリスが呼びにいったらしい来訪者が数名クラインセルトに会うためにやってきたけど、みなクラインセルトの姿を見たとたん酷く喜んだ。


 中には盛大に男泣きを始めるものまで出る始末。


「みんなありがとう!またゆっくり来るよ!」


「そうかい、いつでもまってるよ、ミリアーナさんだったかい、クラインを宜しくね。あんたもいつでもおいで」


 ビアンナは私にに向き直ると丁寧に頭を下げた。


「はい、本日は楽しく過ごさせていただきました。ありがとうございます、また機会がありましたらよろしくお願いいたします」


 にこやかに別れの挨拶をしていたら、耳に飛び込んできた言葉に落胆した。


「いやー、最近の騎士様は美形だなやクラインと並ぶと姫と騎士様は絵になるなや」


「んだな~、クラインが姫様なら完璧だなぁ」


 おい!なんかまた間違ってないか?


「ミリアーナは姫だよ?」


「「「え~!!!」」」


 一斉にハモった声になかば半分諦めました。いつものこといつものこと、気にしないったら気にしない!


「クラインはちゃんと判ってたのね?」


 そっちの方がビックリだ。


「どっから見ても女だろ?」


「そう言えるのは兄上とクラインだけだよきっと・・・・・・」


 名残惜しそうなビアンナ達に見送られて外に出ると辺りはすっかり日が落ちてしまっていた。


 こんな風に暗くなってから夜会や訓練以外で外を出歩いたのは初めてかもしれないなぁ。


「今日はたのしかったぁ、ミリアーナのお陰かな?」


「それはどうも。そうだ、昨日なんで倒れてたの?」


 昨日倒れていたクラインセルトに躓かかなければ今日の出会いもなかった。


「あ~あれね、恥ずかしながら寝不足です・・・・・・忘れてください」


「ふふふ、またお姫様だっこで運んであげるわよ?」


「・・・・・・そうならないように努力します!」


 本人は覚えていないとは言え、どうやら相当嫌だったもよう。


 苦虫を噛み潰したような顔でそっぽを向いてしまった。


 しっかり耳だけが真っ赤に染まっていたけどまぁ、そこは見なかったことにしてあげよう!いじり倒したいけど!


「クラインセルト様!」


 背後から声を掛けられて振りむくと、仁王立ちをした男がゆっくりと近付いてくる、服装からしてきドラグーン王国の騎士だろう。


「ゼラム・・・・・・」


 スタスタとクラインセルトの前までやって来ると、右手を振り上げてクラインセルトの左頬を叩いた。バチン!と響き渡った音と共に細い身体が衝撃に吹き飛んだ。


「ちょ!」


慌てて駆け寄り抱き起こすと唇が切れたのか口角からツゥっと鮮血が伝う。


「あなたは自分の立場を何だと思っておられるのか!?」


 怒りを隠そうともせずに男、ゼラムが続ける。


「身勝手な振る舞いは、あなただけでなく多くの者を危険に晒すと言うことを忘れられたか!」


 ゼラムの言葉はもっともだった。国民の暮らしを守る、それは貴族でも王族でも同じだ。


 城下に碌な守護者も連れずに訪れて命を狙われるような事になれば、抵抗するすべの無い国民に大なり小なり被害が出ることになるだろう。


「すまなかった、軽率だったすまない」


 クラインセルトを引っ張りあげて立たせ、ゼラムの顔を見た後私は深々と頭を下げて謝罪した。


 クラインセルトも思うところが有ったのだろう、ゼラムに頭を下げる。


「すまなかった、ミリアーナ姫は私が御誘いして連れ出した。罰なら受ける」


 暗に私は悪くないのだと含みを持たせるクラインセルトは迷い無い瞳でゼラムを見つめ返した。



 






 本作者は皆様のブックマークと評価とPVを糧に運行しております。

 

 またご感想を頂きました読者様、ありがとうございます。誤字脱字のご連絡を頂きましたのでその都度修正をかけて参りますのでよろしくお願いいたします(*≧∀≦*)

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