ミリアーナドラグーン王国へ行く*卑怯?戦術でしょう?
「おまたせしました。さぁはじめましょう?」
愉しいですねぇ二刀流とー鞭ぃー。どう闘うのかなぁ。
「取り合えず泣かせるか」
「お手並み拝見ってね」
木剣を軽く振るとヒュンと風を切る音がなる。思っていたよりもずっと軽い。
鞭をしならせて最初に仕掛けたのはソラ選手、木剣よりも長さにして三倍はリーチが長い。
うねりのかかった鞭は動きに一貫性がなく蛇のように足元を何度も執拗に狙って放たれる。
うおっと、あっぶなー。
「へぇ、器用に避けるなぁ、ならこれはどうかな?」
それまでの鞭の叩きつける動きから巻き付くような動きに変わる。うお!闘いにくい!
「逃げてばっかじゃ俺達には勝てないぞっと!」
「あっ!おいでませ」
それまで様子を見ていたロアッソが鞭を避けた所に切りかかる。
身体に回転をかけての双剣を避けきれないため持っていた木剣でいなした。
「言うだけの腕は有るようだな」
「うふふ、ありがとう」
「随分と余裕があるのだな!」
執拗に私を狙っていた鞭がロアッソに向かって放たれる。
あー、怒ってる怒ってる。ロアッソに対しておこってるような?なんで?
「余裕?んなもんねぇよ。強いやつ見つけたから楽しいだけだ」
「それに対してはまったく異論はありませんね」
二人揃って私を見るとニヤリと笑った。なんか嫌な予感するですけど!?
「ん?なんだかギャラリーが騒がしいな」
「そうだなぁなんかあったか?」
周りを気にしつつも攻撃は弛まない。
普通隙が出来るもんなんだけどさすが国を代表する従者達といったところか。
「おい!お前ら、どっかの王族の姫さんが消えたらしい!捜索命令が下った!遊んでないで手伝いやがれ!」
あー、もしかしてバレたか?繰り出される多彩な攻撃を躱しながら流石にこれ以上は兄上に迷惑が掛かるだろうし。
名残惜しいが仕方がない、そろそろケリを着けますか。
「お二人さん?」
「あぁん!?」
「なんですか?」
「またねー!」
地面を蹴って素早く目の前にいるソラの背後を取ると木剣を後頭部から首筋にかけて素早く叩き込む。
突然上げられた速度に防御や回避が間に合わず、ソラは地面に沈んだ。
よし一人撃破。
「この野郎!」
「私急いでるから」
斬りかかったロアッソの脇を滑るように背後に回り込みこちらもすばらく首に木剣の柄を叩き付けたが、先程のソラを見ていた為かさすがに素直には食らってくれない。
「同じ手は食らうかー!」
「ちっ!しかない!そーりゃ!」
双剣を振りながら距離をとって後退したロアッソに一気に追撃する。
スルリとロアッソの前に回り込み木剣を振り上げると、つられて双剣を防御の為に頭の上に構えた。
チャ~ンス!そーりゃ!
打ち込まれた木剣の威力を流すために踏ん張った足元がお留守ですよ?が・ら・あ・き♪
騎士や近衛と言った立場に誇りをもった“男性”が無意識に攻撃することを避けるあの場所へ思いっきり蹴りあげる。
「だぁ~!!やりやがった~!」
「そこは駄目だろそこは~!!」
外野から野次が飛ぶ。
当のロアッソと言えば蹴りあげられた急所を押さえて地面をのたうち回っていた。
若干反則感はあるものの勝ちは勝ち。
「お騒がせしました。じゃ!」
自分が蹴られたわけでも沈められた訳でもないのに股間を隠して茫然自失になりかけているギャラリーを置き去りにして庭園へ走り込む。厄介そうなので逃げるが勝ちでしょう!!!
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