開店準備をはじめます。
洋菓子店の…いや、もういいや。
到着した配送車に、プチケーキ入り番重と、アントルメを乗せた後は、次の便の準備だ。
さすがに、全種類が間に合うはずがなく、各自ケーキを作り出す。
大将は、昼頃から3便が届くまでの時間に予約されているアントルメの種類と台数を確認する。
お松さんは、冷ましたパイをミルフィーユ用の大きさにカットしている。
川ちゃんは、この店舗限定のプチキッシュの材料を準備していた。
そして、私はというと、重さを量りつつクリームを絞り、シュークリーム用の袋に包んでトレーに乗せる。
シュークリームの数が発注数より多いことは、後で販売の人にいわないとなぁ。
もう1度、洗浄機を動かしてから店内に出る。
私はこれからやって来る販売の人と、開店準備をしなければならない。
まだ誰もいない店内はまだ薄暗く、いつもの華やかさがなくて寂しい。
埃避けの布を全部外し、ハタキを持って布が掛かっていなかったところを綺麗にする。
ショーケースを拭くため、中用と外用の布巾をいつもの棚から出して、水で濡らして固く絞っておく。
ちなみに、水道は厨房のではなく、店内からは見えないところにある販売の人用の簡易キッチンのもの使った。
中用の布巾を使い、ケーキ用のショーケース内を綺麗にする。
ケーキの名前の書かれたプレートを置くレールはお客さん側なので、よく磨きたいところだ。
…しかし、腕が短いために必死に伸ばすものの、なかなか届かない。
額がショーケースの柱に、ギリギリ当たらないところで、なんとか奮闘する。
あと、もう少しっ!!
「ラッシー、おはよう」
ゴッ
「だっ、大丈夫?」
「…えぇ、大丈夫です」
額を押さえつつ、平静を装い返事をする。
「おはようございます、卯月さん」
「えぇ、おはようございます」
時計は見てないけど、店長が来たところをみれば、もう9:00近いのだろうな。
…恥ずかしいので、こちらは見ないでほしいです、店長。