明日の準備をします。
お松さんも帰って、厨房にはひとりだけ。
さて、先にメッセージ書きをしようかな。
次の日の予約伝票が貼ってあるボートを持って来て、そこに書いてあるメッセージを書いて準備しておくのだ。
朝なんて、忙しいやら、チョコペンは固まってて使えないやらで、大変なのだ。
せめて、朝の予約分をやらなきゃな。
やっぱり、『おたんじょうび おめでとう』と『Happy Birthday』が、圧倒的に多い。
その一文の前か後に、名前が入る。
「1、2、3…って、3人分っ!?」
あっ、びっくりし過ぎて大きい独り言が出たよ。
10センチ位の楕円のプレートに、『おたんじょうび おめでとう』と、3人分の名前を書く。
ひー…、かなり小さな字を書かないと納まらないよ。
「あー…うぅ〜」
あとちょっとで、全部入る。
「おっ、やった!」
綺麗に入った!
あ〜、すごい達成感。
達成感に浸ってると、ガラッと勢い良くスライドドアが開いて眼鏡女子が顔を出した。
しばし見詰め合った後。
ニコッ
そんな効果音が付きそうな笑顔をこちらに向けて、無言でドアを閉めた。
「ええぇ〜、待って待って!せめて、一言位は弁解させてください!」
ドアの向こうでニヤニヤしている、眼鏡女子はバイトのつゆりんだ。
絶対、わかっててやってるな!
バイトに弄ばれる、15:34のことだ。




