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日付を付けます。

店長が戻り、姫先輩が休憩に入って暫く。

私は焼き菓子に、消費期限を貼る作業をする。


フィナンシェ用のシールと、文字の小さい判子を準備した。

シールは落ち着いた色合いをしていて、触ると和紙に似た少しざらついた感じがする。

表面には『financier』と焼き菓子の名前と、店名の『Cadeau』が印刷されていて、裏にはカタカナで『フィナンシェ』と表示されている。


オシャレなんだけど、私はフランス語がわからないから、『financier』と印刷されていても、焼き菓子を見て『フィナンシェって書いてあるのかな〜』と、思うしかない。

う〜ん、せめて簡単な単語位は覚えておいた方がいいかなぁ。

大将のレシピも、フランス語で書かれてるから、卵を計るにもどれが卵黄でどれが全卵かいちいち聞かないとわからないし……。


裏側に当たる部分に、材料名称が記してあって、その下の細い枠に消費期限を押す箇所がある。

そこに、さっきの判子を押すのだ。

判子の数字を、このフィナンシェの消費期限に直すんだけど、小さな文字だからかなり見辛いよ〜


まとめて印刷してくれればいいんだけど、破れたり貼るのを失敗するとシールが足りなくなるから、仕方ないんだけどねー。

ちょっと、面倒かも。


地味な作業をしていると、お客さんに焼き菓子のラッピングを頼まれた。

それは凝ったラッピングじゃなくて、透明な袋に入れてお客さんに指定してもらったリボンで結べば完成の、慣れてない私でも出来るシンプルなものだ。

だけど、何か違うんだよなー。


「卯月さん、これなんですが…」


小さな紙袋を準備してくれてた店長に、リボンを結ぶ直前のを見てもらう。

受け取った店長は、暫く眺めた後、中身の前後を入れ替えてから返してくれた。


「大丈夫よ。リボンお願いね」


「はい」


なるほど、前後を変えるだけでしっくりくるようになった。

さすが、店長だ!


「おまたせしました、ありがとうございます」


入れ方ひとつで印象が変わることを知った、14:16のことだ。



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