表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使の歌声  作者: りみ
2/2

第二話 神と天使

【〜〜〜♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜〜】

音楽会館ではピアノの音が鳴り止まない。

“特別音楽室”――今は誰も使ってない。“一人の男”を除いて。


竹中たけなか 裕也ゆうや――24歳の天才ピアニスト。

音楽会館の玄関には、大きいポスターに裕也の写真。そして、『天才ピアニスト、竹中裕也!!11月20日、リサイタル!!』

という見出し。

愛の多い家庭に生まれ育ち、何不自由なく育ったお坊ちゃん。ピアノが生きがいで、ピアノの才能に恵まれてて、今じゃ“天才”と呼ばれ、この音楽会館に走らない人がいないほどの実力者。

裕也は優しくて温厚で慈悲深い性格で。それゆえにファンも多くて。


裕也は、ピアノの神――神なのだ。


【パチパチパチパチパチ・・・・】

「!館長!」

「すばらしいね、裕也君」

「恐れ入ります」

館長は裕也が小さいときから可愛がってて、裕也も館長になついてた。

「・・・・・・・君のピアノの音は・・・・・・、“天使”も聞いてるようだ。」

「え?」

「・・・・・聞いたんだ。“天使の歌声”を」

「・・・・天使の歌声・・・・・?」

「甘くて、柔らかい声なんだ・・・・、本物の天使が歌っているかのような・・・・そんな声だったんだ。・・・・それも、“君のピアノにだけ”あわせて歌っているんだ・・・・・・・」

「・・・・僕のピアノに・・・・だけ?・・・・ハハッ、それは光栄ですね。天使に歌っていただけるなんて。・・・・なら、その天使に、一度会ってみたいものですね・・・・・・」



――施設。

施設では相変わらず亜香は孤独で。

苦しくて寂しくて死にたくて。


「ねぇ・・・・、あの子、“亜香”って名前だったんだって!」

「へぇー!あいつしゃべらないからさ、いること自体しらなかったぁ〜!」

「アハハッ!!!いえてるぅ!!・・・“あか”なんて変わってるよね」

「“垢”だらけだからじゃなぁ〜い?」

「アハハハハ!!!マジ言えてるぅ〜〜〜!!!」


亜香は誰にも相手にされない。いや、されないほうがいい。



《あんたみたいな子、産まなきゃよかった》

《あんたがあたしの幸せを奪ったんだよ!!》

《アァァァァァァ―――!!!何もかもおしまいだ、お前のせいで!!!・・・・一緒に死んでよ・・・・ねぇ・・・・死になさいよ・・・・死ね―――――!!!》



(・・・・・っっ・・・・!!!ゃぁっ・・・!!いゃぁぁっ・・・・・!!!)


言葉にならない叫びを上げる天使。

誰にも助けを聞いてもらえない孤独な天使。

過去の苦しみという鎖に囚われ逃げることが出来ない天使。

“愛”を知りたいのに邪魔されて知ることが出来ない天使。



今日も天使は叫び声を上げている。



――助けて、たすけて、タスケテ・・・・・・・・・・・!!!

怖い、こわい、コワイヨ・・・・・!!!

人間が怖い。愛が怖い。幸せが怖い・・・・・!!!



そんな天使の苦しみを、神は悟ったのだろうか。


「・・・・・・・、ここか・・・」

“神”――裕也は、施設にきていた。

“天使”に会うために・・・・・・・・・・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ