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恩返しの日々
それからトゲトゲお化けは、少しずつ少しずつ、恩返しをはじめました。
転んだ子にハンカチを貸しました。重そうな荷物を持っているおばあさんを手伝いました。前にきつくしてしまった友だちには、勇気を出して「あのとき、ごめん」と小さな声で伝えました。
最初は、ことばが震えてしまってうまく言えません。それでも、そのたびに相手は「いいよ」「気にしてないよ」と、優しく笑ってくれました。
優しさをもらうたびに、優しさを返すたびに、トゲトゲお化けのトゲトゲは、ひとつずつ、ひとつずつ、消えていきました。
やがて、トゲトゲお化けの心は傷だらけなのに、とてもあたたかな形になり、いつの間にかトゲトゲが全部消えて、普通の女の子に戻ったのです。
男の子もまた、少しずつ変わっていきました。つかれた日は、「今日はちょっとしんどい」とぽつりと女の子に打ち明けられるようになりました。すると女の子は、「じゃあ、いっしょに帰ろう」と笑います。
優しさは、片方からだけではなく、行ったり来たりをくり返しながら、二人のあいだに、ゆっくりとたまっていきました。




