表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/54

消えたパズルのピース

アルカード様が指し示した扉へ、私は吸い寄せられるように歩み寄った。

けれど、その真鍮のドアノブに手をかけた瞬間、指先が凍りつくような冷たさに襲われた。


「……っ、冷たい……!」


力を込めて回そうとしたけれど、ノブはびくともしない。重苦しい沈黙が扉の向こうから伝わってくる。今の私には、まだこの奥へ入る資格がないというのか、それとも――。


(一刻も早く、あの肖像画をリアムに見せなきゃ……)


私は扉を諦め、ドレスを翻して「秘密基地」へと急いだ。

シダの葉を掻き分け、ガラクタの山を必死に掘り返す。

けれど、さっき隠したはずのリアムの肖像画の破片は、どこにもなかった。


「嘘……。誰かが持っていったの!?」


絶望が胸を締め付けたその時、視界の端を「白い影」が横切った。

ゴミの山のさらに奥、小さな穴の淵で、一匹の白いうさぎのぬいぐるみが、口にあの肖像画を咥えて私をじっと見つめていた。


「……ピピン? いいえ、違うわ」


それはピピンよりも一回り小さく、生気のない、真っ白なうさぎ。

うさぎは私が声をかけると同時に、あざ笑うように肖像画を咥え直して穴の奥へと消えていった。


「待って! 返して!」


私は迷わず、その小さな穴へと這いつくばって飛び込んだ。

狭い通路を抜けた先に広がっていたのは、城の華やかさとは無縁の、湿り気を帯びた迷路のような洞窟だった。

どこまでも続く暗闇。うさぎの姿はもう見えない。


(……このままでは、迷ってしまうわ)


私は一旦穴を這い戻り、ピピンのガラクタ山の中にあった「大きな毛糸玉」を掴んだ。

再び洞窟へ戻ると、入り口の尖った岩に毛糸の端を固く結びつける。

聖女の智慧が、私に冷静さを取り戻させた。


「……真ん中の道ね。神様、どうか私をお導きください」


私は毛糸玉を抱え、三つに分かれた通路の真ん中へと足を踏み入れた。

足元で糸がするすると解けていく。それはまるで、私の運命を繋ぎ止める細い命綱のようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ