F秘書の1stミッション
これは夢? それとも現実?
Fには、なにもかもが驚きの連続だった。
ひとまず社長義弟となったCにメッセージ
《C君ドユコト? 私、急にS家の社長秘書になったんだが?》
Cからの返事はまだない。
なにはともあれ、せっかくの本社づとめ。コレって、ある意味ラッキーじゃん♪
Fは非常に切り替えがはやかった。
「Fさん。まずはこれDLしといてください」
Fは、ペーペー秘書から社用スマホを渡されると、指示通りに専用アプリをDLした。
次に社内メッセンジャーアプリを開くよう言われ、Fは迷わずタップ。
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◉【社内共有】
ChatGPT 四郎様モード v4.0 アップデートのお知らせ New✨
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◉【新機能追加】
✪ 「きさまあ!予測」改良版
v3.2以降の靴音・ネチネチ度予測に加え、
♥ 社長のお眼鏡に叶う物件情報を自動収集
✔ メールテンプレート機能
ビジネスマナーに応じて定型文を自動生成
✱ 社内ルール対応モード
出向者への誤報・暗黙ルールを優先警告 ⚠️
✧ 作業優先度最適化
会議・資料・電話などをリアルタイムで最適化
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⚠️ トリガーワード
「報告遅延」 ┬─┬ノ(ಠ_ಠノ)
「犬」 ▼・ᴥ・▼
「コストカット」$⇔¥
「義弟」 ♣✨
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❉ 緊急回避プロトコル
「犬かわいいですね」 (●♡∀♡)
「握手いやされます」 ☞♡☞
など送信で、機嫌リセット成功率 85% ⇧✨
※ 社内Botが自動でトリガー検知・回避を行っています。
※ 効果には個人差があります。
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「!?」
Fの脳内では、目まぐるしく『漆黒企業』警戒アラート❌️が鳴り響く。
社長に様付け――時代錯誤な二人称――暗黙ルール――そしてなにより恐ろしい、
個人差という単語。
前職の高級自動車ディーラー、DDオートのクソ社長夫妻が脳裏をよぎる。
ダークトライアド、ふたたびか。
「Fさん。さっそくで悪いんだけど、社長面談です」
New主任秘書がFの肩を叩く。Fは青ざめた(ꏿ﹏ꏿ;)。
Fは肩を叩かれたまま、視線を下げる。
「……社長面談って、どのくらい恐ろしいんですか?」
新主任秘書はにっこり笑い、無言で手をひらひらさせる。
Fは仕方なく、小走りで執務室へ向かった。
#F秘書&四郎社長
Fが執務室のドアを開けると、そこには四郎様。
社長机に机に両肘をつき、Fをじっと見つめている。
「……ようこそ、S不動産秘書室へ」
声は低いが、どこか楽しげだ。
Fは深呼吸し、社用スマホを手に持ったまま応じる。既に私用スマホの録音⦿アプリは起動済みだ。
「はい、社長。……えっと、ご要件をうかがっても?」
四郎社長は一呼吸置き、笑みをひらめかせた。
「義弟の件だ。ぜひ、3世帯同居してもらいたいと思ってる。君、彼との付き合いは、俺よりも長いだろう? 社労士の知恵を貸してくれ」
Fの脳内は瞬時にフル回転。
「……は、はぁ。よろこんで……」
でも本心では、どうしよう(*﹏*;)私どうなるの(-_-;)? もはや社労士関係なくない(ʘ言ʘ╬)? 疑問符で頭が一杯だ。
「まずだな、義弟はあの通り、減らず口で闘うタイプだ。感情論は通じん」
四郎社長の目が鋭く光る。
「なので、説得に必要なのは……情報整理と、論理的なメリット提示だ」
Fは社用スマホのメモアプリを開き、早速キーボードに指を置く。
「……なるほど、C君への同居メリットを提示すればよろしいのですね?」
四郎は小さくうなずき、社長席に深く腰かけた。
「君は出向中だから、直接口出しはできん。だが、情報整理とシナリオ作りは任せる」
その言葉には、微妙に圧があった。
Fはメモを取りながら思った。
――この社長、なぜここまで強い同居願望が……?
「それと、社内チャットでBotに触れすぎるな。OJT期間中は、まず自分の頭で考えろ」
四郎様はそう言い放つと、F秘書へ、執務室の隅にある椅子へ座るよう促した。
Fはこっそりため息をつく。
――『漆黒企業』警戒アラート❌️は鳴り止まないが、やるしかない。
F秘書の長い戦いは、こうして始まった……。




