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名づけ親F

 ここは中古車販売店の事務所の一角。

 ちょっと砂埃っぽい空気の中、Cの店はいつものようにゆるい雰囲気を漂わせていた。


 今日ものぼり旗が外でパタパタと風に揺れる。


 Rは簡素なデスクにノートPCを広げ、隣に置かれたマグカップから漂うコーヒーの香りに少しだけ癒されていた。


「では、これより、地図アプリ命名会議を行う!」

 Fが大げさに宣言し、ペンを握りしめる。


 CとFがホワイトボードを前に、まるで子供の遊びのような真剣さで、アイデアを出し合う。

 Rは苦笑しながら、ノートに走り書きしていたメモをちらりと見る。


「ストリートビューとSNSを掛け合わせたコンセプト、だよね?

 短めで覚えやすく、日本語要素もありつつ、カッコいい系でいこう」

 と、Cが言った。


 Cはそのまま、ホワイトボードにマーカーを走らせ、勢いよく候補を書き連ねる。



---


[日本語+英語ミックス系]


MichiMapミチマップ ― 道+マップ。直感的で分かりやすい。

Hashiriハシリ ― 「走る」「巡る」。アクティブなイメージ。

TabiSnapタビスナップ ― 旅と写真の融合。SNS感たっぷり。

Moyouモヨウ ― 街の景色や「模様」。ビジュアル重視の響き。

Rojiロジ ― 路地。ディープな街の魅力を凝縮。



---


[クール系・短め重視]


Vistビスト ― ViewとListの融合。シンプルで洗練。

Orbiオルビ ― Orbitから。地図を巡るイメージ。

Scopeスコープ ― 探索感、見渡す感覚を強調。

Panoパノ ― パノラマ。視覚的な広がり。

Veyoヴェヨ ― オリジナル造語。響きがクール。※Cの主観



---


[SNS寄り]


SnapWayスナップウェイ ― 写真と道の組み合わせ。

MichiGramミチグラム ― 道+SNS感。

Viewlyビューリー ― 見る+共有の軽快な印象。

PhotoRojiフォトロジ ― 路地の写真をシェアする雰囲気。



---


 Rはホワイトボードを眺め、首をかしげた。


 どれも悪くないけど、ピンとくるものが欲しい。ふと、Cの書いた「Roji」に目が留まる。


「ロジ、Roji、いいね! これに何か良さげな単語を組み合わせたら、めっちゃハマりそう!」


 Rの声に勢いがつく。

 Cはニヤリと笑い、ホワイトボードに新たなリストを書き始めた。


「よし、じゃあ『Roji』をベースに、短くて覚えやすく、SNSと地図感のある組み合わせでいくか!」



---


[Roji組み合わせ候補]


RojiMapロジマップ ― シンプルに路地と地図。

RojiSnapロジスナップ ― 写真シェアのSNS感。

RojiWalkロジウォーク ― 街歩きの体験を強調。

RojiLoopロジループ ― 街を巡る、回遊するイメージ。

RojiTrailロジトレイル ― 探索や冒険のニュアンス。

RojiSpotロジスポット ― 注目のスポットを記録・共有。

RojiLineロジライン ― 道筋やルートを強調。



---


 Cはペンを置き、腕を組む。

「個人的には、発音とブランド感で言うと、RojiSnapとRojiWalkが強いかな。SNSっぽさと街歩きの雰囲気がバッチリ出てる。もっとオシャレ系で、英語と日本語ミックスした感じが欲しいなら、別の案も出せるけど?」


 Rは少し考え込む。

「なんとかRojiがいい。なんか、ウラRojiみたいな、秘密っぽい感じがいいよね?」


 Fが目を輝かせて割り込む。

「そうそう! ウラRojiみたいな、ちょっと隠れたスポット感!」


Cはうなずき、ホワイトボードに新たなリストを書き足す。



---


[〇〇Roji候補]


ウラRoji ― 裏路地感。秘密のスポットを探す雰囲気。

ミチRoji ― 道や散策の楽しさを強調。親しみやすい。

ヒカRoji ― 光る路地。フォトジェニックな印象。

トコRoji ― 「ところ」と「歩く」を掛け合わせた親しみやすさ。

マチRoji ― 街歩き感。リアルで親近感のある響き。

カゲRoji ― 影や隠れた路地。ミステリアスな魅力。

ネコRoji ― 気ままに歩く猫のイメージ。可愛らしさも。



---


 Cがホワイトボードを指差す。

「個人的にはウラRojiが強いと思う。シンプルで、秘密感や探検感、SNS映えの要素が全部入ってる。どう?」


 Rは眉をひそめる。

「URArojiって、そのまんますぎてなんかダメ。もっとひねりが欲しいな」


 Cは顎に手を当て、考える。

「うーん、そう言われると確かに……じゃあ、トレRojiとかどう?」


「トレRoji?」 Rが繰り返す。


 Cが少し興奮気味に続ける。

「トレジャーっぽい響きで、短くてキャッチー。日本語と英語のミックス感もあって、覚えやすいんじゃない?」


 Fが手を叩く。

「お、いいね! トレRojiは直感的だし、探索って感じがバッチリ。ヒットするかどうかはブランド展開次第だけど、ポイントはこんな感じだよ~!」


 Fはホワイトボードに走り寄り、分析を書き始める。



---


[トレRojiのポイント:検索性]


「トレ」と「Roji」の組み合わせは独自性が高く、検索エンジンやApp Storeで他のアプリと被りにくい。

ただし、「トレ」は電車やトレーニング、登山系アプリと少し競合する可能性があるから、ロゴやキーワードで差別化が必要。



---


[視覚・SNS印象]


短くてカジュアル、かつスタイリッシュ。「路地っぽい」モチーフをロゴやアイコンに取り入れれば、SNSで目立ちそう。



---


[覚えやすさ]


「トレ」と「Roji」は日本語話者に親しみやすく、口に出しやすい。海外ユーザーにも発音しやすいシンプルさ。



---


 Rはノートに「トレRoji」と書きながら、つぶやく。

「えーと、じゃあトレRojiで決まり?」


「待って、ひらめいた!」 (ピコーン)


 その瞬間、Fが勢いよく立ち上がる。


「これ、ひっくり返そうよ!」


 全員がFを振り返る。

 Fはホワイトボードに大きく書きなぐる。



---


[レトロ+Roji=レトRoji]


「今、レトロブームじゃん? 昭和も平成も、なんかノスタルジックな感じがウケる! 平成まで入るの、世代的にはちょっと複雑だけど……語感もいいし!」


 Rは目を丸くする。

「レトRoji……? うわ、なんか可愛いし、確かにレトロ感ある! 路地裏の隠れたスポットをシェアする――この地図アプリに、ピッタリかも」


 Cも笑いながら頷く。

「お? レトRojiか~、悪くないじゃん? シンプルでキャッチー、SNS映えもバッチリ。ロゴはレトロなネオンサイン風とかどう?」



---


 Rはノートに「レトRoji」と大きく書き、笑顔で言う。

「よし、これでいこう! レトRoji、これで決まり!」


 事務所の小さなスペースに、Cの軽快な笑い声と、Fの盛り上がる声が響く。

 ホワイトボードには「レトRoji」の文字が残り、

 Rのアプリが世に出る第二歩が刻まれた瞬間だった。マグカップのドリップコーヒーはすっかり冷めていたが、Rの心はあつあつだった。




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