特集:山の心を地元の未来に
【特集】女性登山家から観光の担い手へ
― 数々の難峰を渡り歩いた末にたどり着いた、Mさんの原風景とは ―
取材・文:****新聞デジタル編集部
公開日:2025年10月9日
「山は、どんな自分でも受け入れてくれる場所でした」
祖父母と過ごした山あいの夏。谷のせせらぎと野鳥の声を聴きながら、幼いMさんは思った。
“あの光景が、私の最初の居場所でした。”
地元観光協会に新たに加わったMさん(以下、M)は、かつて国内外の高峰を制した女性登山家。
今は、地元の自然と文化を未来に繋ぐ仕事に情熱を注いでいる。
【不登校から山へ。「また来るね」と言える強さ】
小学校高学年から登山に夢中だったM。だが、中学で不登校になり、教室に居場所を見つけられなかった。
M:山は、どんな私でも否定しない。登頂できなくても、「また来るね」って思えるんです。
通信制高校に通いながら山と向き合う時間を増やし、大学では探検部に所属。
登山だけでなく、仲間と穴場カフェを探す楽しみも知った。
「登山=孤高の挑戦」というイメージを軽やかに覆し、
“探検って、誰かと笑いながらするものだな”と気づいたという。
【阿蘇の野焼きと、「生かす火」】
大学時代、九州・阿蘇で行われる「野焼き」に何度か参加した。
野焼きは景観を守るだけでなく、牛の放牧に必要な「草原」を維持する。
M:最初は、せっかくの若木を燃やすなんて、と憤ったんです。でも木はやがて林となり、最後は森に。すると山が人を拒むようになる。放牧という、人と山との営みが完全に失われてしまう。
それでも怖かったです。火って、人の手を離れると一瞬で強くなる。
でも、あれは山を「生かす」ための火なんだと知りました。
この経験が、「登る」だけではなく「守る」視点をMに育てた。
【登山家からアクティブレンジャー、そして観光協会へ】
大学卒業後、プロ登山家として国内外で活動しながら、環境省のアクティブレンジャーとして勤務。
国立公園の現場で、登山道整備や自然保全、環境教育にも携わった。
M:現場で感じたのは、守られていない山の多さです。
国立・県立公園以外の山は、地元民やボランティアが頼り。
過疎が進むと、手入れの届かない山道が増える。
登れない山が増えるというのは、悲しいことなんです。
その想いが、地元観光協会で働く原動力となった。
【麓のお茶っこから学んだもの】
登山家時代の忘れられない一幕を、Mは穏やかに語る。
海外遠征の途中、麓の村で疲れ切っていた彼女に、年配の女性が声をかけた。
「あんた、寒いでしょう。お茶でも飲んでいきなさい。」
ふるまわれたのは湯気の立つ素朴な茶碗。
M:厳密には言葉が通じなくても、そんな風に言われた気がしたんです。
笑いながら「こういうの、SNSで見せられたらバズるんですかね」とつぶやくM。
M:でも、私、スマホよりデジカメ派なんです。データも入れっぱなし。瞬間は切り取れなくても、あとに残る写真で当時を振り返れる。今がまさにそう(笑)
SNSはやらない。
けれど、彼女の撮る一枚一枚には、人と自然の温度が確かに写っている。
【DXで「地元の記憶」を未来へ】
観光協会に転身した今、MはDX推進チームの中核メンバーとして活躍中。
地域の「今」を未来へ残す仕組みを作っている。
M:山を守るために、テクノロジーを使うんです。
【Mから読者へ】
頂上を目指す人も、ゆったり歩く人も、
隠れカフェを探す人も。
みんなの視点が、地元を輝かせます。
あなたの一歩が、未来の地図を描くんです。
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【読者コメントピックアップ】
「“山が人を拒むようになる”という言葉にハッとした」
「デジカメ派、わかる。Mさんの感覚が好き」
「この人、逆にカッコいい」
「学校には登れないが山には登れる」
【編集後記】
Mの言葉は、山の静寂のように深く、揺るぎない力強さを持っていた。
不登校、登山家、レンジャー、そして観光協会職員へ。
彼女の歩んだ道は、まるで一つの登山道のようだ。
道は違っても、頂上に向かう姿勢は変わらない。
(****新聞デジタル編集部 編集長)
【次回特集】
「老舗温泉旅館の伝統といま ― 変わらぬ“まちのかたち”」




