最強伝説トマト❨★❩ばぁば
卓越した手腕で父の代からの高級自動車ディーラ―
ーーいわゆる『漆黒企業』DDオートを築き上げ、
そのまま炎上、夜逃げ、借金逃亡。
行方をくらましたA社長。
その実母――ばぁばは、
「伝統的価値観の権化」でありながら、
息子の元嫁Bから託された孫娘を守り育てることに、
確かな現実感を持つ傑物。
大学の課題レポート作成のため、
Pは、ばぁばにとって孫娘の命の恩人――R代表を経由して、コンタクトに成功。
ばぁばの家の裏手にあるトマト❨☆❩畑で、
剪定作業を手伝う条件のもと、単独インタビューが実現した――。
ここは縁側じゃねえ、トマト畑のど真ん中。
ばぁばはハサミ片手に、Pの横で枝をバサバサ切っている。
もう汗だくで、顔はトマトみたいに真っ赤っ赤。
「ああん? なんだってえ? P! もう一度、最初っから話してごらん!」
よそ行きの仮面も、口調も、かなぐり捨てたばぁば。
知らん学生相手の対応なんか、そんなもんだ。
Pが大声でCの話を繰り返す。
空港で軽薄にパスポートをひらめかせて去る姿。
「若造の無責任さ」
ばぁばは腐ったトマトをブン投げて、切り落とした蔓をガシガシ踏みつけた。
「なんだってえ? パスポートひらひらさせて、女房も子も地元もポイ捨て?
しかも相手は、結婚式のスピーチ頼んだ友達の女?
子供こさえたときゃ、まだ四乃と結婚中だろ? クソ野郎じゃねえか!
家庭を顧みない男の、身勝手さのドン底じゃ!」
植木バサミの柄で、Pの頭に軽くコツン。
「あたしゃCなんて知らねえ。
でも、そういう輩は、“地元捨ててふらふらするクズ”の典型。
T師と繋がり? ふーん、昔は苦労したんだろうけど、今は今!
そんな男は放っとけ!」
お次はRのアプリ炎上。
「女が目立とうとするからこうなる」
ばぁばは畑の片隅に、かーっペッ。
「Rはいい子じゃ。Bも都会で金稼いでるし、大したもん。
炎上? 昔はゴミを畑で燃やしとった。
妬み? 暇人どもが。
ギャーギャー言っとるヒマあったら、働け!
ジェンダー? SNS? 知るかボケ!
アプリで腹が膨れるか? 無駄な足掻きじゃ!」
Fの話。
「F? まあかしこい。自分弁えて、家族守る一点は褒める。
でもよ、他人の家庭ほじくり返して社長にチクる?
結局“世間騒がせる女”の仲間じゃねえか。関係ねえ」
四乃。
「四乃ォ? あのわがまま嬢ちゃん。
良妻やめて旅館継ぐ? 女は家庭守るもんじゃ!
……まあ、地元戻ったのはマシ。
あたしもAのクソ息子が消えたとき、孫だけ守った。
“地元で自由”? まあ目をつぶろう。
でもね、女が勝手に動き回るなんて、反対じゃ!」
Pの希望は?
「若者の純粋さ」
ばぁばは、うちわでPの頭をペチン。
「あたしも孫守るのは全力じゃ。
お前みたいな大学生は嫌いじゃあねえ。
地元で頑張る若者は好ましい。
Cは反面教師! しっかり勉強しろ!
でも免許取りたてで山道? バカでねえか!」
最後に、ばぁばは収穫したてのトマトをガブリ。
「全部“世間のから騒ぎ”。
Cのクズ行動も、Rの炎上も、四乃のわがままも、関係ねえ。
あたしは孫守って地元で生き抜くだけ。
それ以外は、クソくらえじゃ!」
トマトの汁がPの顔にビチャッ。
ばぁばはゲラゲラ笑って、またガブリ。




