喝!
法事も無事終わり、親族や会社関係者たちが談笑する、和やかな会食の席。
S家当主・四郎はその中心で、少しほっとした表情を浮かべていた。
そのとき、四乃の隣に座るCがすっくと立ち上がり、
低く響く声で、四郎に禅問答を挑んだ。
「喝!」
四郎は宗派の教えが頭をよぎり、反射で返す。
「説破!」
しかしこれは本来、禅僧間でのやり取りだ。
四郎はすぐに気がつき、口に出してしまう。
「……罰当たりだろ、きさまあ!Σ(ಠ_ಠ)」
親族や会社関係者たちは、一瞬で静まり返る。
だが、Cは落ち着いたまま顔を上げ、真剣な声で告白する。
「男性不妊で、四乃さんを不幸にしてしまうから、離婚したいんです」
四郎、唖然。
親族、呆然。
四乃、仰天――
その場の空気が、一瞬で凍る。
(C、急にどうした?……推しが……俺に向かって……しかも、親族と社員の目の前で……!?)
四郎は座布団を握りしめ、全ての理性がガンガン揺れる。
Cの視線だけが揺るがず、静かに、しかし確実に四郎を捉えている。
四郎は深く息を吸い、推しの圧倒的存在感に圧倒されつつ、
先ほど口に出した「罰当たりだろ、きさまあ!」の重みを噛みしめながら、
その場にへたり込みそうになるのを持ちこたえる。
四郎の頭脳は、フル回転が止まらない。
――コイツ!イカれてやがる!
一体全体何を考えている?
自分のしでかした事を理解していないのか!?
いや、まてよC。
完全に離婚ムードに流れが変わってしまっている!
これはマズイ!
せっかく家族になれたのに、これじゃあ離婚からの疎遠まっしぐら……推し活終了?
そんなこと、許されていいはずがない!(; ಠ_ಠ´)
「O太!」
四郎はすぐさま、S家雑用係に指示を飛ばす。
「今すぐタクシーを呼べ!総合病院で検査入院だ!」
四郎の声には、推しを守る決意と、抑えきれない動揺が混ざっていた。
S家親族たちは目を見開き、四乃は絶句。
会社関係者も言葉を失う。




