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朝起きたら思念だった

作者: 邪蛇丸

彼女の事を考えて想っていた。

そして思うことを考えていた。

そうしたら、急に

ヴぁーってなって

ブァーってまわりが変わって

バァーって現れて、何かになった。


朝起きたら思念になっていた。

音、口から出ることばは皆同じ音だ。でも僕は形がない思念になってしまったので、ちょっと違う。

そういう意味では書く『言葉』の方がより僕に近い。特に日本語は僕と相性がいいような気がする。

文字自体が意味を持つ表意文字だから、グローバルとされる表音文字の英語とかよりもより繊細に、しかし時に誤解も生じるけど、やっぱり言葉は僕に近い。


僕の持ち主である彼女はハタチの大学生。

学校では文学を学び、女子高生時代に感情が抑えきれず、大好きな作家のファンサイトに書いた詩が意味不明にバズって、今ではネット上でエッセイストのまねごとをしている。

たまたま時代が彼女に味方したのか、華やかにYouTuberが取り上げられた後、再び地味なブログ一部の変わった人が戻り、いま彼女はささやかだが人気ブロガーとして収入を得て、バイトもせずに大好きな本を読み、時々何かを書いて暮らしている。

もちろん、彼女にだって悩みはある。嫌なこともたくさんある。

一番大きな彼女の悩みは小説が書けないことだ。

多分それは思念である僕が邪魔している。

だから、僕の悩みは大好きな彼女を僕自身がきっと邪魔しているのだろうということだ。

 彼女の悩みに戻ると、なぜ小説が書けないかだが、それは言葉に思い入れが強すぎてこだわりすぎてしまって長い文章が書けない。

 今でも詩の一行一文に何日もかかることがある。ゆえに物語となる小説は構成要素が多すぎてしまうのだ。

 でも、僕は誰かに何かを伝えたいとき彼女が「言う」を使うか「云う」か、あるいはあえて「いう」なのかを迷っている横顔がとても好きだし、いとおしく思う。


 朝起きると僕は思念だった。

 もうすぐ彼女は完全に目を醒ます。

 彼女の眠りからもうすぐ目覚める、ほんのいっときだったけれど、僕は彼女からいっばいの幸せをもらった。

 お礼に今までやったことないけど、彼女のノートにこの文章を残すために最後の力を使って写ろうと思う。


小説、書けるといいね。

でも、書けなくても幸せでいてね。

がんばれ! 僕の大好きな珠香

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