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義妹に虐められていても婚約者である彼さえ味方でいてくれれば大丈夫、そう思っていたのですが……。  作者: 四季


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24話「偉大な決定を祝福するため」

「私は貴方と共に生きます」


 思わぬ形の出会いから始まって、それでも、ここまで築いてきたこの関係は確かなものだ。


 幼い頃からの友人ではない。

 それゆえ知り合ってからの期間はあまり長くない。


 第三者から見れば出会ったばかりと思われるだろうけれど、少し良い風に言われて浮かれていると嗤われてしまうかもしれないけれど――それでも今の私には明るい未来へと進める自信があるのだ。


 彼とならきっと希望に満ちた未来を掴めるだろう。


「本当ですか!?」


 暫しの沈黙の後、ディコラールは急に大きな声を発した。


「良いのですか!? 本当に!?」

「はい。ぜひ。お願いしたいです」


 彼はしばらくまだ呑み込めていないというような顔をしていたけれど。


「……ありがとう、マリーさん。とても嬉しいです」


 やがて彼はそう言った。


「では、偉大な決定を祝福するため! 最高級の茶葉を開けましょう!」

「えええ?」

「凄く驚きますね、変でした?」

「いえ……変、ではない、ですけど……展開がぶっとんでいて少し驚きはしました」


 すると彼は楽しげに笑みをこぼす。


「すみませんでした、張り切り過ぎましたね」


 彼はそんなことを言っていた。


 ――その後始まるお茶会。


 もっともお茶会と言っても参加者は私と彼の二人だけなのだけれど。


 メイドが淹れてくれた最高級紅茶とディコラールが前に買って置いていたらしいお菓子がテーブルに乗せられる。


 甘い良い香りがする。

 香りを嗅いでいるだけでも心地よい。


「これが高級な茶葉の紅茶ですか?」

「そうなんですよ」

「ディコラールさんのお気に入りですか?」

「いえ、実はまだ飲んだことはないんですよ」

「あ、そうだったのですね」

「マリーさんのお口に合えば良いのですけど……前もって試し飲みしておくべきでした、すみません」


 とても穏やかな時間。そして幸せな時間。こんな時間を手に入れられる未来を知っていたなら、かつての傷ついていた私ももっと前向きな形で希望を抱けていただろう。あの頃の私に教えてあげたい。未来には光があることを。生きてさえいれば希望の海を泳げることを。


「ではいただいても良いですか?」


 ティーカップの持ち手へ指をかける。


「はい! 暑いので気をつけてくださいね。マリーさん、お先にどうぞ!」

「ありがとうございます、いただきます」

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