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義妹に虐められていても婚約者である彼さえ味方でいてくれれば大丈夫、そう思っていたのですが……。  作者: 四季


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17話「彼らの結末」

 そこからはロロルレニアが圧倒的な強さを誇った。


 まるで伝説の戦士が覚醒したかのように本気を出した彼女を止められる者はどこにもいない。それこそ、本物の戦士くらいでなければ、彼女を制止などできはしないだろう。それゆえただの男性であるガインスが彼女を押さえ込むことなど不可能で。無力なガインスはただただ攻撃を受けることしかできなかった。


「い、や……だ……ぁ、ぁぁ、ぁ……い、いだ、い、よぉ……づら、い、づらい、よ、お……ぅ、ううっ……、こわ、い、よぉぉ……ゲホッ……う、ぐ、ぐう、ぅぅぅ……ぱぱぁ、ままぁ、だ、だずげで……ぇ……」


 ガインスは子どものように泣きじゃくる。

 けれどもロロルレニアは彼を許さない。

 親の仇でも追いかけているかのように彼女は目の前の男を徹底的に追い詰めるのだ。


「まだまだ終わらないわよ」

「い、やだ……やだ、ぁ、よ、ぉ……ぉぉぉ……うぅ……も、もう、い、や……や、だ、よぉ、おおお、ぉぉぉぅ……ぅ、うぅぅ……ぼうやべで……」

「あんたが生きてる限り続けるから」

「ぁ……や、だ……やだやだやだやだやだあああああああああああ!」

「騒いでも無駄よ」

「やだよぉ! やだよぉ! もうやだやだやだやだやだあああああああ! もう、これ、いじょぉ……やだあああああああああ!」


 ガインスは大地を揺らすほどの勢いで叫んだ。


「やだ! やだ! やだよもう! やだ! やだってばやだってば! やだ! もうやだよ! やだやだやだやだ! やだよ! やだよ! やだよやだよやだよ! やだやだやだ! やだ! やだ! やだああああああああああああ!」


 けれどもロロルレニアは躊躇わない。


「叫ぶ元気があって何よりね」


 彼女はそっと黒い笑みを浮かべた。


「ぎゃあああああああああああ!!」




 その後、ガインスは、ロロルレニアに仕留められた。


 彼の最期は呆気ないものだった。しかも可愛がっていた女性に暴言を吐かれたうえ痛めつけられるといった明らかに理不尽なもので。だがそれはある意味自業自得であったと言えるだろう。彼に迷惑をかけられた者が現状を目にしたなら、皆口を揃えて言うはずだ。自業自得でしかない、と。


 ガインスはこの世を去った。


 だが、人を殺めたロロルレニアもまた無傷とはいかず、殺人の罪で逮捕されることとなった。


 ガインスは亡き人となり。

 ロロルレニアは犯罪者として自由を失い。


 彼らに幸せな未来は訪れなかった。


 希望ある未来、なんて、そんな大それた話ではなく。日常的な平穏さえ、彼らは手に入れることができなかった。至って普通な日々、のんびりまったり過ごす日々、それすらも手に入れられなかった彼らは、物理的な意味も含めて闇へ堕ちた。


 彼らに幸福が訪れることは二度とない。


 どんな小さな幸せも。

 どんな細やかな喜びも。


 彼らの未来にはありはしないのである。


 だがそれもまた彼ら自身が選んだ道。


 二人以外の誰のせいでもない悲劇だ。

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