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義妹に虐められていても婚約者である彼さえ味方でいてくれれば大丈夫、そう思っていたのですが……。  作者: 四季


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15話「出口がない」

「何やって……くれてるのよぉぉぉっ!!」


 ロロルレニアは傍にあった椅子を両手で持ち上げると、それを一気に放り投げた。


 ずん、と、重い音が響く。


 彼女が投げた椅子は容赦なくガインスに襲いかかる。


「うわっ」


 ガインスは何とか椅子をかわした。

 しかし次の瞬間にはさらなる攻撃。

 というのもロロルレニアが続けてもう一つの椅子も投げつけたのだ。


 二つ目の椅子はガインスの身体にぶつかった。


「いって!」


 怒りに顔を赤くして「おい! 何するんだ!」と叫ぶガインスだったが、ロロルレニアは「うるさいわね!」と鋭く返すだけ。


「まだまだやるわよ! 覚悟なさい!」

「お、おいおい! やめろ! 危ないだろ!」


 ロロルレニアはハードカバーの本を数冊投げる。

 ガインスは何とか当たらないよう避けた。


「負けを認めるならやめてあげてもいいわよ!」


 今やロロルレニアは目の前の男を傷つけることしか考えていない。


「そういう問題じゃない! 物を投げる女とか普通に考えてヤバいだろ!」

「挑発を繰り返す男の方がヤバいんじゃないかしら? ……ほら、もっといくわよ! もっともっと、痛い目に遭わせてあげる! 反省しなさい!」


 今の二人の姿を見て、少し前まで好きだとか愛し合っているとか言っていた二人であると理解できる者など、きっとこの世には一人もいないだろう。


 それほどに、今の彼女たちは明確に敵対している。


 やがてガインスは必死になってロロルレニアに近づく。そしてその細い手首を掴むと「いい加減にしろよ!」と叫んだ。かなり強い圧をかけるような言い方。けれどもロロルレニアは怯まないし止まらない。彼女は鬼の形相で「うるさいわね!」と反抗的な言葉を放つ。その瞳の鋭さといったら、まるで肉食獣であるかのようだ。


「暴れるなよ!」

「黙ってちょうだい!」


 二人のやり取りはどこまでも平行線。


「だ! か! ら! 一旦落ち着けって!」

「挑発して怒らせたのはそっちでしょ!?」

「はあ!? だからって怒って乱暴なことしたら駄目だろ! 馬鹿だろ!」

「やっぱり挑発した自覚はあるんじゃない!」

「あれはふざけてただけだ!」

「そういう問題じゃないわ! 馬鹿はそっちよ! 馬鹿なのはあんたでしょ! それなのにあたしを馬鹿と言うなんて! 最低すぎよ!」


 まったくもって進展がない。


「謝りなさいよ!」

「はあ!?」

「揉め事を生みだしたのはあんたでしょ! 悪いのはあんた! だから取り敢えず謝って!」

「ふざけんな!」

「謝ってって言ってんのよ!」

「はああ!? いい加減にしろよ! さすがに調子乗り過ぎだろ! それは!」

「あたしを悪者にしないで!」


 喧嘩はどこまでも続く。

 激しさは増すばかり。


 平和な結末など訪れはしない。


「もうこれ以上、あたしを悪く言わないで!」

「いやだって明らかに悪いのお前だろ!」

「あんただってろくでもないじゃない!」

「それでもお前よりはマシ! ずっとマシなんだよ! 当たり前だろ!」

「それはこっちのセリフよ!」

「何言ってくれてんだよ! ふざけるな! それはさすがにふざけすぎだろ!」

「ふざけてなんかないわよ! あたしは真剣に言っているの!」

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